11月集会成功にむけたアピール ―「労働組合を甦らせる」の原点へ
「労働組合を甦らせる」の原点へ
― 11月集会の成功にむけたアピール ―
田中 康宏(国鉄千葉動力車労働組合委員長)
11月労働者集会(動労千葉、関西地区生コン支部、港合同、国鉄闘争全国運動のよびかけ)にむけた第1回実行委員会が、7月30日に都内で開催されました。
韓国・民主労総ソウル地域本部から「11・6東京集会と11・12ソウル集会を一体で全世界に呼びかけたい」と提案されていることが報告されました。動労千葉の田中康宏委員長の提起を紹介します。
●国鉄闘争と国際連帯で勝負!
今年の11月集会は、絶対にこれまでの延長線上ではないひと皮むけた前進をかちとりたい、という思いで一カ月早く実行委員会を呼びかけさせていただきました。世界は大激動の渦中に入っています。資本主義体制の終末が近づき、矛盾が噴出しています。そして世界中で闘いの炎が燃え上がっています。韓国の民主労総の仲間たちが全世界の労働者の先頭に立っています。改憲と戦争の危機、労働法制の解体、この日本で進行している歴史的攻撃。こうした条件すべてが、われわれに、今こそ労働運動を甦らせるために持てる力のすべてを出しきって闘おうと呼び掛けています。
この間、二つの新たな事態がありました。
一つは、11月集会に向けて、民主労総ソウル地域本部から重大な提案がされたことです。それは、「11月6日東京と、12日ソウルでの労働者大会について、4日から13日まで、連続した一つの行動としてプログラムを組んで、全世界に呼びかけたい」という提案です。共同の課題としての労働大改悪、そして朝鮮半島をめぐる戦争の危機の高まりに対して全世界の労働者がスクラムを組んで闘う。
われわれの持てる力を遥かにこえるような大変な提案です。でも、何度も議論し、これに全力で応えることを通して、今年の11月を根本から変えようと決意しました。この提案はわれわれに対する最高のエールだし、叱咤激励です。この提案をきっかけにして、11月労働者集会を爆発的に成功させる、国鉄闘争に勝ちきる力、無数の職場に闘う労働組合を甦らせる力を持った闘いに飛躍させる。そういう大きなチャンスだと考えたのです。
もう一つは、国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな動きです。われわれは、昨年の最高裁決定を受けて、JR東日本に対し、「解雇を撤回して1987年に遡って採用せよ」と申し入れていたわけですが、9カ月の沈黙を経て回答してきました。「裁判の当事者ではないから回答する立場にはない」。わずか2行の回答です。しかし、「回答しない」と文書で回答したこと自体異例のことです。ついにJR東日本を、国鉄分割・民営化の当事者として引きずり出したのです。
直ちに新たな申し入れを出しました。「JRの設立委員長自身が、最高裁が不当労働行為と認定した不採用基準の策定を指示したと言っていることについてどう考えているのか見解を明らかにしろ」というものです。また1か月回答がない。しかしJRは「何らかの態度表明はせざるを得ないと考えている」「時間がほしい」と言っています。明らかにJRを追いつめているのです。
これは画期的なことです。戦後最大の労働運動解体攻撃を突き崩す手がかりをつかもうとしているのです。国鉄闘争全国運動、全国から寄せられた解雇撤回10万筆署名の力がこうした地平をつくりあげたのです。だから、三労組の会議でも、とくに関西生コン支部からの強い提案で、今年の11月集会は、新たな決意で国鉄闘争の勝利にこだわろうということで一致しました。
●闘う労働組合を組織しよう
したがって、11・6集会の課題は、第一に、原点に返って国鉄闘争をあらためて中心に据えること、第二に、やはり原点に返り、職場から自らの力で闘う労働組合を組織すること、職場に闘う労働組合の芽をつくるための具体的な闘いを開始すること、そして第三に、労働組合をつぶして戦争をしようとする攻撃、改憲と戦争、労働法制解体攻撃への総反撃を開始する怒りの声を全部集める場として11月集会をかちとること、第四に、今年こそ1万人結集の実現をもって、国際連帯闘争の発展をかちとることです。僕たちが1万人を結集する力をもつことができたら国際連帯は一気に広がる。東アジアから情勢を動かす。そうしたら、ヨーロッパにも、アメリカにも、中東にも広がる。こういうふうに考えないといけないと思います。
情勢との関係で、11月集会の位置を確認したいと思います。何よりも韓国の闘いです。7月20日に10万人規模のゼネストが行われました。そして9月には鉄道労組をはじめ公共部門の労働者が全面的民営化や成果退出制と呼ばれる解雇自由化等に対して無期限ストライキに立ちあがろうとしている。この1年数カ月にわたる闘争の中でも最大規模の闘いになる可能性があります。パククネ政権との激突になる。こういう状況の中で11月集会が開かれるということです。この闘いに絶対連帯したい。それは日本で闘う労働組合を甦らせることです。
イギリスでも、新自由主義への怒りの声が「EU脱退」というかたちで噴き出す中で、イギリス教組1万人がストライキに入っている。フランスでも5カ月にわたるゼネストが闘われた。アメリカでは警官による黒人射殺事件が相次ぎ、各地で内戦的な激しい衝突になっている。トランプなんかがあんなことを言い出したら社会全体がこうなるに決まっています。トルコでの軍隊反乱も心配です。19の労働組合が閉鎖され、135の新聞とテレビが封鎖されている。僕らの知っている仲間たちがどうなっているのか。日本では相模原事件です。社会が完全に壊れようとしている。戦後の支配の仕組みが全部崩壊しようとしている。これまでのものが何も通用しなくなっている。革命的情勢なんです。
問題は日本です。安倍政権は改憲と戦争に突進しています。今の情勢を見たら、鈴木達夫さんを押し立てて参議院選をやって本当に良かったと思う。だからここまでやり抜いてきたものすべてを11月集会に結集させたい。
安倍は選挙で勝ったとは思っていない。沖縄や福島など現実に闘いが目に見える形で始まっているところでは現職大臣が負けている。
僕らがやることは一つです。これだけ社会に衝突があり、対立があり、生きていけない現実がある。それを現実の運動・闘いとして組織し明るみに出すことです。何が衝突しているのか、階級対立が労働運動という形をとって誰の目にも見えるようになった時に、それが無数の労働者の希望になり、展望になる。そのために職場生産点で団結を取り戻す。これが11月集会の課題です。
●雇用の根本的破壊との闘い
安倍政権は、「働き方改革」と称して戦後労働法制を全面的に解体する歴史的な攻撃に踏み出しています。「同一労働同一賃金」「最低賃金1千円」「社会から非正規職という言葉を無くす」等、これまで労働側が掲げてきたことを全部取り込み、簒奪する形で、逆に正規の労働者の賃金を非正規なみに突き崩していこうとしているのです。「正社員改革」と称する正規職ゼロ化攻撃。こうして全部をひっくり返していく凶暴な攻撃です。そうすれば最低賃金1千円なんて資本にとって濡れ手に粟です。
さらにそれと一体で「解雇自由化」「就業規則万能化」「労働組合根絶」が画策されている。国鉄分割・民営化攻撃を全社会に拡張する攻撃です。労働契約法の5年ルール、昨年9月に強行された労働者派遣法の歴史的改悪をもって、3年、5年で何千万という労働者を一旦解雇のフルイにかけ、雇用が継続されても非正規職並み超低賃金、解雇自由の「限定正社員」。郵政では、職場や勤務地がなくなった場合は解雇と書かれている。これが安倍の「働き方改革」です。
CTS(千葉鉄道サービス)で起きていることがその典型です。考え方の抜本的転換が起きている。これまでの国家のあり方そのものを労資関係から根本的に覆していく国家改造攻撃です。その意味で改憲攻撃そのものです。この攻撃に反撃を開始する。それが11月集会のもう一つの課題です。
これと表裏一体で起きていることですが、安倍政権が連合を切り崩そうとしていることを真正面から見なければいけない。実際、存立基盤を揺るがされて連合はガタガタになっている。安倍と手を結んで裏にいるのはUAゼンセン。連合を徴兵制も9条改憲も認める組合に再編しようとしている。つまりこれは9条改悪攻撃なんです。
●労働運動の変革と国鉄闘争
この労働運動の現状を打開しなければいけない。これだけの攻撃を受けながらゼネストになっていないのは日本だけです。その最大の原因は国鉄分割・民営化によって日本の労働運動が一旦打ち砕かれたことにある。だから国鉄闘争にこだわるんです。
国鉄分割・民営化は1987年のことです。だけど国鉄分割・民営化は、過去の問題ではなくて、いま現在の問題です。この点が一番大事だと思います。われわれが闘いを継続していなかったらとっくに過去の問題になっていた。僕らの闘いがいま現在の問題として敵に強制しているのです。喉仏にとげが突き刺さったまま、あるいは外注化・非正規職化反対闘争が非和解的に継続したまま、労働法制解体をめぐる攻防に入らざるを得ない。いよいよこれからが勝負です。
「国鉄とJRはまったく別法人、雇用は承継しない、民営化した新会社への新規採用、誰を採用するかは採用の自由」。こう定めた国鉄改革法が「国鉄方式」の攻撃を可能にしました。誰もがそれに震え上がった。
われわれが打ち砕き、のり越えようとしているのはここなんです。改革法が出来たのが1986年。この年に労働者派遣法が施行されている。これは労働基準法の根幹を打ち砕いた。ここが第一次労働運動解体攻撃でした。
いま安倍がやろうとしていることはそれに次ぐ、戦後最大の労働改悪攻撃です。だけど今回はやり様によっては勝てる。だって、敵の支配が崩れ落ちている渦中で起きている攻撃だからです。絶対勝負になります。
雇用・労働政策の歴史的転換に立ち向かおうということも、国鉄闘争がなかったら口だけの批判に過ぎなくなる。国鉄闘争があるから、これを粉砕する現実の運動として提起できるのです。その闘いの出発点を11月に築きたい。
●改憲・戦争の攻撃と国鉄闘争
もう一つは、改憲・戦争情勢と国鉄闘争についてです。当時中曽根が戦後政治の総決算と言った通りで、「国労をつぶし、総評・社会党をつぶし、立派な憲法を安置する」。これが攻撃の本質でした。だけど30年間この攻撃に抗い、止めてきた。だからいま問題になっているのです。相手が崩れ落ちる時まで引きずった。やはり労働運動を甦らせることです。改憲攻撃は、教育やマスコミの支配や労働運動そのものの再編や、労働現場をめぐって具体的に進行します。いよいよ改憲・戦争が職場生産点の問題になる。
民主労総ソウル地域本部からの提起を最大の援軍ととらえて、本物の労働運動の組織者として飛躍するチャンスにする立場で応えなければいけない。
改めて、その点についての確認ですが、日本の労働者集会は3労組と全国運動が呼びかけて集会実行委員会が開催します。ソウルの集会は民主労総が主催します。ソウル地域本部が訴えてきたことは、この両方をひとつの一連の闘争としてソウル本部と動労千葉、関西生コン支部、港合同で全世界に呼びかけませんかという構造なんです。ここに世界中から集まってほしいと。これは現在の情勢のもとで決定的な意味を持っています。
国鉄闘争を軸に11月集会を闘おうということと、われわれ自身が変わることによって世界が変わるんだということ、戦争は止められるんだということ、それはまさに一体の課題です。
「東京・ソウル11月国際共同行動」「韓日労働者から世界の同志たちへ!」という名称で、呼び掛け文の文案を煮詰めています。これを大きな衝撃として労働運動が変わっていくようにしたい。
初めての試みですから大きなポスターなども作りたい。北海道から沖縄まで単に東京に集まろうということではなくて、実行委員会に結集する全国各地の皆さんが自らの闘いとして世界に呼びかけていくという構想を持ちながら、自らの職場・地域で闘いを開始し、東京の集会を成功させるというようにしたい。
組織化についての基本的考え方ですが、第一は、自らの職場、地域、労組で、具体的に人を組織するということ。つまり、闘う労働運動の芽を無数につくりだすことに徹底的にこだわることです。
第二に、各地の職場、産別、地域に、無数の実行委員会を立ち上げて欲しいと思います。言われたから作ろうというのではなくて、地区、産別の組織的前進のためにはこうしたほうがいいと徹底的に議論して立ち上がってほしい。
第三に、10万筆署名を取り組んでくれた労組に全力でオルグに入ろう。その過程で新10万筆署名の取り組みを11月集会組織化の武器にしてほしい。
新署名はいま2万筆ほどですから、11月集会までにさらに5万筆を集める。11月に7万筆ぐらいにすることを目標にしたい。それと、今回は新しいことを始めるので賛同を集めたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。