7・26相模原「津久井やまゆり園」事件に対する声明

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0318号08/01)(2016/09/01)

7・26相模原「津久井やまゆり園」事件に対する声明

神奈川労働組合交流センター 2016年8月15日

 7月26日深夜、神奈川県相模原市の大規模障害者入所施設(津久井やまゆり園)で、同施設の元職員(26歳)が、重度複合障害者19人を次々に刺殺し、27人に重軽傷を負わせる驚愕的な事件が起きました。この事件を知った障害者とその家族は「障害者抹殺」という恐怖が胸をよぎり、同時に入所者と生活を共にしてきた施設職員の怒りと悔しさ・悲しみには、計り知れないものがあることは想像に難くありません。
 私たちは、この「事件」を断じて許しません。「命よりも金儲け」の新自由主義と対決し、改憲と朝鮮侵略戦争に突き進む安倍政権を打倒しよう! 神奈川労働組合交流センターは、「命を護り、命を育み、共に生きる社会」=「人間的社会的共同性の奪還」をめざして闘い抜く決意です。

安倍政権の改憲・戦争政策こそ、7・26事件の元凶だ!

 警察権力や当局は、この事件を「薬物中毒・異常性格者による特殊な犯罪」に仕立て上げ、再発防止と称して警備強化に加え、「措置入院」や「予防隔離」の強化を狙い、障害者差別を助長し増幅しています。
 凶行に及んだ青年は、犯行に先立つ2月中旬に、衆院議長大島理森宛に「犯行予告」を出しています。その中で彼は、「障害者は役に立たない存在」などの差別的言辞を丸出しにし、ナチス(ヒトラー)張りの「命の選別」(安楽死・優生思想)を公然と主張しています。
 そして《作戦内容》を披瀝し、自分こそが政府の代行者だと、安倍におぞましいエールを送り、障害者抹殺の正当性を主張しています。絶対に許せません。
 7・26事件は、参院選で安倍政権が「改憲勢力3分の2」を背景に改憲と戦争国家に突進していく真只中で引き起こされました。歴代自民党の政治家どもは元より、元都知事・石原は「(障害者には)人格があるのか」と言い、麻生副総理は「高齢者はいつまで生きるつもりか」「ナチスのやり方に学べ」と発言し罷免もされず平然としています。
 やれ競争だ成果だ査定だと労働者人民を差別・分断し、障害者や高齢者を「資本と国家に役立たない税金の無駄使い」として切り捨ててきました。医療・福祉の現場を「命よりも金儲け」の新自由主義でズタズタにしてきた安倍政権の超反動政策こそ7・26事件の元凶です。とりわけ朝鮮侵略戦争の切迫情勢が生み出した「障害者抹殺」事件だということをはっきりさせましょう。

「民営化・組合つぶし」の新自由主義が、7・26事件を生み出した!

 1980年代の「国鉄分割・民営化」を突破口に、新自由主義が社会保障や福祉、交通運輸・教育・自治体の現場を破壊していきました。
 小泉政権による「聖域なき構造改革」―06年、「障害者自立支援法」施行―12年「障害者総合支援法」と、介護保険制度への統合が進められ、「権利としての福祉」から「サービス(商品)としての福祉」への大転換が強行されてきました。営利優先に向けた合理化が職場や介護環境を破壊していきました。
 事件のあった「津久井やまゆり園」は、1964年に県営施設として開設されましたが、04年に社会福祉法人「かながわ共同会」を指定管理者とする最初の公設民営化施設となります。松沢(神奈川県前知事)は新自由主義政策・「インベスト神奈川」の推進のために、約6000億円もの財源確保のためにさらなる民営化を進め、同時に県公務員の賃金カットが数次にわたって強行されました。これに対して私たち神奈川労組交流センターは、09年2月に賃金カット絶対反対を掲げて県庁前座り込みと要請行動、さらに独自集会とデモを闘い、民営化絶対反対、階級的労働運動をつくりだそうと訴えてきました。
 松沢の後、県知事となった黒岩は、国鉄分割・民営化攻撃の「土光臨調」になぞらえ「黒岩臨調」攻撃を打ち出し、増田〈元岩手県知事・道州制論者。先の都知事選での自公推薦候補者)を座長として、県財政の危機を口実にした県営施設の全廃攻撃を強行しようとしたのです。
 こうしたなかで、「やまゆり園」でも施設への補助金が削減され、「経営の合理化」が一挙に進みました。食材の納入も地元商店から大手食材会社に切り替えられ、出来合いの食事を大型トラックで運び入れるようになり、これまで苦闘しながら積み上げてきた「地域社会との共同性」からも切り離されていきました。
 重要なことは職場の労働条件も悪化していったことです。160人もの障害者を入所させながら夜間に1人の職員が20人の入所者を担当し、しかも夜間割増もない県最低賃金の時給905円という現実。夜間専門の「生活支援パート」(非正規職員)を多数募集し、18時から翌朝8時半までの14時間半勤務(休憩2時間)につかせてきたのです。
 このような職場に3年余り勤務していた26歳の青年労働者は、「入所者も職員も疲れ果て、生気がない」と犯行動機を語っています。職場における労働者の《過酷な勤務・低賃金・使い捨て労動》の現実、そして《団結破壊と分断化》の現実こそ、「障害者は生きる価値がない」とその抹殺を公然と正当化する「優生思想」を生み出し、絶望的凶行へと駆り立てたのです。

労働組合の団結で「命を守る闘い」に立ち上がろう!

 しかしはっきりさせなければなりません。労働者こそ社会(職場)の主人公です。労働者こそ生産活動を担い、命を育み、社会を動かす主体です。それ故に、労働者の団結と闘いこそが、「絶望」を「希望」に転ずる力となるのです。労働組合的団結を甦らせ、介護・福祉労働に必須の「人間的協働性・共同性」を奪還すること、これが7・26事件に対する私たちの回答であると考えます。
 いま世界各地で、労働者階級が陸続とゼネストに決起し社会を変えようと闘っています。こうしたなか、韓国民主労総ソウル本部と動労千葉をはじめとした3労組が、歴史的な《東京―ソウル11月国際共同行動》を全世界に発しました。この労働者国際連帯=「万国の労働者、団結せよ!」こそ、新たな社会を創り出す「希望」です!
 障害者も高齢者も、現場で働く労働者も、殺し殺されてなるものか! 職場に労働組合を、そして職場に団結を! 闘う労働運動の拠点を築き、戦争・改憲絶対反対のゼネストを闘いとろう! 労働者の団結と国際連帯で革命の扉を開き、「命を守る闘い」に共に立ち上がろうではありませんか!