下水道の民間委託8月1日実施を阻止!
下水道の民間委託8月1日実施を阻止!
奈良市従の正規・非正規労働者が団結し、非和解で闘った
吉谷 宏子(奈良市従業員労働組合)
2016年7月26日、奈良市役所前に次々と集会参加者が集まってきました。市従組合員を始め、関西全域、さらには全国から総勢180人。奈良市従の歴史においても、まったく初めてのことです。参加した市従組合員の感想は「あの日集まってくれた人は、ただの応援団ではなく、下水の問題を自分達の問題ととらえて、本気で労働運動をやっている人たちだね。すぐに伝わったよ」と言っていました。それくらいものすごい熱気でした。
そして、8月1日の民間委託は阻止、4回目の民間委託阻止という奇跡的な勝利を勝ち取ることができました。
※本気で組合に責任をとる決断
この集会を迎えるにあたって、私達は、改めて本気で組合に責任をとる決断をしました。そして「集会だけでなくデモもやろう!」となりました。そう決断できたのは、この時「組合解散」とも言えるような情勢だという認識をはっきりさせたからです。
本当に昨年からいくつもの攻撃がかけられました。下水道民営化や清掃の民間委託の攻撃、体制内幹部の屈服と裏切りに対する私たちの屹立、4月以降、日本共産党による市従組合破壊攻撃も起きました。さらには5月以降、警察権力と市長が一体となって、清掃組合員を逮捕し、清掃職場に介入し、民間委託を強行してきたことは本当に大きかったです。清掃の仲間へのマスコミを使った許し難いバッシングは今なお続いています。
※下水道民営化反対を柱に
その中で、私たちが徹底的に柱にしたのは、下水道民営化との攻防でした。昨年7月に当局提案された内容は、「完全民営化によって職場をなくす。非正規の解雇、正規の職種変更」であり、これまでの攻撃の質と全く違うものでした。
正規の仲間と何度も議論を重ね、まず、私達が怒りの先頭にたって行動しました。それは、組合役員選挙の立候補宣言です。この立候補宣言を口実に、体制内は「執行委員選挙は無効」という暴挙に出てきました。さらに、再選挙では私たち絶対反対派の4人を信任投票で落選させるという前代未聞の事態となりました。
この過程で、最大の団結の拠点となったのは教育支部の仲間たちでした。「なぜ不信任になったのか?」と議論し「教育支部のこれまでの絶対反対の闘いをなきものにする暴挙だ」とはっきりさせて、支部の声明を出して、定期大会で発言をしました。
教育支部の仲間たちが、私達のことを心配したり、一緒に怒ってくれたり、いろんな意見が出ても、やっぱり最終的には絶対反対の方針で共に闘ってくれることが、奈良市従全体の団結の底力になっています。
同時に、執行委員選挙をめぐっての私達の本気の思いと、下水の正規の仲間の民間委託に対する怒りが急速に結合していきました。そして、私たちの呼びかけに対して、下水の非正規の仲間は、組合に加入し、解雇を覚悟して正規との団結をつくる決起をしました。彼らの決起に自分達の飛躍が問われ続けたという感じです。
※ストライキで闘う団結署名
この過程で決定的だったのは、「ストライキで闘うことを求める団結署名」を集めた闘いです。ストライキで闘おうという欲求を真正面から訴えて議論をつくりだしていけば、「なぜ本部はストをしないの?」と素朴な疑問が生まれたり、「ストは嫌だけど、下水の闘いは応援したい」など、現場労働者は受け止めてくれました。また、体制内と自分達は何が違うのか、具体的にみんなに迫って分岐をつくる決断をしたことです。それは要するに新しい執行部として名乗りをあげる闘いでもありました。
※非和解で闘う中の団結
自治労などの組織の中にいると、当局と非和解で闘うことはもちろん、何より体制内と非和解で闘うことは本当に大変なことです。体制内は、一見、戦闘的に見えるから幻想をもってしまいます。しかし、本当に存在をかけた絶対反対の決起をしたとき、その労働者に最も悪質なやり方で襲ってくるのが体制内幹部です。
また職場の人間関係が複雑になるのは、闘う現場労働者にとっては、深刻な問題です。だから、時代認識と路線がはっきりしてないと、絶対に路線を貫くことはできません。個別の性格や能力問題、人間関係では決してなく、目の前で起きていることには歴史的必然性がある、その中身の議論が路線議論です。
決戦になればなるほど、予期しないことが突然起きたり、様々な問題とぶつかります。その時、絶えず、「核となる自分達」の団結に一切をかけてきました。大衆現場で結果としてうまくいかなくても、自分達の団結、獲得目標がはっきりしていれば、総括ができます。総括すれば、必ず次に進めます。
現場で戦術的にグラグラぶれることはよくあることです。それを絶えず、議論で認識をはっきりさせて、方針まで練り上げて、ただちに実行して、総括する。このサイクルをずっと続けて、今の闘いがあります。
だから「核となる自分、自分達」は1人であってもかけがえのない存在だし、本音でぶつかりあいながら路線を深めていける関係をつくっていけるように努力しています。
少し抽象的な表現になってしまいましたが、要するに、このような絶対反対の闘いは、どの職場でもつくっていけるということです。
最後に、この奈良市従の闘いは、組合現場の仲間はもちろん、奈良や関西全体の団結の中で生み出されました。この闘いは、参議院選挙で「新しい労働者の政党をつくろう」という闘い、つまり階級的労働運動を登場させる挑戦と一体でした。また、7月12日の動労水戸のストをはじめとした、動労総連合の常磐線再開絶対反対の闘いと一体だったと思います。
そして、日韓共同行動として開催されようとしている11月労働者集会を革命情勢をたぐりよせる闘いとして、この道を突き進んでいきましょう!