埼玉新採教員解雇撤回裁判 請求棄却の不当判決弾劾!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0318号07/01)(2016/09/01)

埼玉新採教員解雇撤回裁判 請求棄却の不当判決弾劾!

控訴審に向けてさらに闘いを前進させよう

二田 譲 (元埼玉高教組)

7・29埼玉地裁の不当判決弾劾

新採教員の不当解雇をめぐって、2014年8月以来闘ってきた本裁判は、7月29日、原告側の請求を棄却した。本判決は「政治的判決」以外のなにものでもない。
 2013年4月に原告は教員として採用され、中学校の英語担当となる。1年間の勤務はほとんどが夜10時頃までで、かつ、2学期以降、数々のパワハラ、「自主退職」の強要がなされた。これを拒否し分限免職処分となった原告は、この不当性を訴えて裁判を起こした。
 以来2年余り、県市教委側の「原告がいかに教員として不適格であるか」なる主張に対して、私たちは事実に基づいて県・市教委側の主張がいかに「いいかげん」であるかを明らかにしてきた。
 県教委は「処分は合理的で違法性はない」と主張したが、原告弁護団は、その主張の根拠であるはずの、原告が勤務した中学校の校長、指導教員、さらには市教委の指導実態、指導の具体的内容を法廷で明らかにすることで、免職処分の不当性を主張・立証してきた。
 2016年1月に行われた法廷での証人尋問では、当時の中学校長が、原告に対する指導記録が存在していない、すでに破棄してしまった、という決定的な事実を証言した。加えて2学期以降、原告には指導といったような指導はほとんどなされていなかったという事実も明らかになった。
 にもかかわらず、証人尋問で明らかになった「証拠が破棄されている」という決定的な事実にはひとこともふれずに、原告に免職を言い渡す段階で作成された教育委員会の文書をそのまま「事実」と認定して、判決は、免職は当然としたのである。この教育委員会の文書は、そもそも免職の正当性を主張するために「後づけ」で作成された文書である。本来、処分の根拠とされるべき、指導の現場記録、指導の記録という「原証拠」の段階での事実認定がまったくなされないうえに、証拠を破棄したという、それ自体が「公文書の隠滅」にもあたるような事実を不問にして、判決は下されたのだ。まさに県・市教委の言い分をうのみにし追認しただけの政治的判決であった。

新採教員の条件付採用は、解雇自由・総非正規職化攻撃だ!

 新採教員は、一般公務員が6か月であるところが、条件付採用期間が1年である。しかし、教員としての資格は、採用試験で明確に認定されている上であるから、よほどのことがない限り免職処分などありえない。それが本来の趣旨だ。
 しかし、2000年代、教育労働者に次々かけられてきた攻撃、とりわけ「教員免許更新制」「不適格教員排除」など、中曽根以来の新自由主義「教育改革」攻撃のなかで、その一環として、2006年条件付採用制度の「厳格な運用」という文科省通達が出された。通達以後、急激に新採教員の免職が増え始め、私たちの調査では、埼玉では原告と同期の2013年度、退職に追い込まれた新採教員は義務制(小中)で28人、高校で4人に上っている。2015年には狭山市内の小学校で1人の新採教員が夏休み中に「自死」に追い込まれている。条件付制度の厳格な運用とは、毎年、全国の都道府県、各市町村教育委員会に対して、「一定数の新採教員を切れ! その実数を報告せよ!」という圧力が政府文科省から加えられているということなのだ。
 新採教員には、免職処分に対して不服申し立てできる制度はない。自主退職強要に対して拒否できない現実を我々は見据えるべきであろう。この現実は、臨時教職員の増加が顕著になっていることとも関連している。埼玉県は、非正規教員の数が沖縄県に次いで全国2位であり、4000人を超えている。
 自主退職強要の際に、教育委員会は「免職処分となると経歴に傷がつくから、自分から辞めた方が良い」と勧める。心ならずも自主退職に応じざるを得なかった新採教員は、教員免許を持ったまま民間で働くか、あるいは臨時教員としての職を得てふたたび「教壇」に非正規として立つか、迫られていく。条件付採用制度は「解雇自由」、「総非正規化」攻撃なのだ。

控訴して闘う!

 原告と弁護団は控訴した。私たちは原告の決意を断固支援し、非正規教員の闘いと共に、この闘いを拡げて行く。条件付採用制度は、絶対に廃止に追い込まなければならない。そのことを改めて認識して闘いを強めて行く決意である。