特集 2月国鉄集会 集会総括 新たな闘いの展望を切り開いた

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0324号03/05)(2017/03/01)

特集 2月国鉄集会の報告
2月国鉄集会の総括
国鉄分割・民営化から30年、新たな闘いの展望を切り開いた2月国鉄集会

白井徹哉(国鉄闘争全国運動事務局長)

●分割・民営化から30年

 国鉄分割・民営化による不当解雇から30年となる2月、全国各地で国鉄集会が開催されました。国鉄分割・民営化と30年にわたって闘ってきた国鉄闘争の新たな闘いの出発となる集会となりました。労働運動の歴史において、国家をあげた攻撃にこれほど長期に非妥協的に闘争を貫いた歴史はないわけですが、それが新たな闘いの展望を切り開いていることの意義は計り知れないものがあります。
 国鉄闘争全国運動は2010年以来、国鉄闘争、ひいては労働運動の絞殺を狙う政治和解に対して「国鉄闘争の火を消すな!」を合言葉に闘いを継続し、ついにJR採用差別裁判 において最高裁をして不当労働行為を明確に認めさせ、「(不当労働行為がなければ)JR東日本に採用されていた可能性があった」(地裁判決)とまで言わせました。
 いまこそ国鉄闘争はその真価を発揮して階級情勢を転換させるときです。労働運動再生のあらゆる努力を今こそ国鉄闘争のもとに結びつける運動を展開するときです。

●分割・民営化体制の崩壊

 ときあたかも国鉄分割・民営化から30年を前にしてJR体制=国鉄分割・民営化体制は根底的な動揺を深め、国鉄分割・民営化の破綻と崩壊が一つの社会的・階級的焦点として具体化・物質化している状況になっています。
 それを象徴的に示すのが麻生副総理の発言です。
 「(JR北海道の経営危機について)この話は商売のわかっ ていない学校秀才が考えるとこういうことになるという典型ですよ。国鉄を7分割して〈黒字になるのは三つで他のところはならない〉と当時から鉄道関係者は例外なく思っていましたよ。『分割は反対』と。 経営の分かっていない人がやるとこういうことになるんだなと思ったが、僕は当時力がなかった。今だったら止められたかもしれないとつくづく思う」
 麻生発言は、支配階級の危機感と恐怖をよく示しています。自分たちが30年前に遂行した国鉄分割・民営化こそがまさしくもはや自分たちがコントロールできない社会の根底的崩壊をもたらし、それが社会的分断を生みだし、さらには階級的反撃と激突の構造へと行き着くことへの危機感と恐怖心です。
 「線区半分の維持困難」というJR北海道の危機をもっとも鋭い焦点として、九州・四国・貨物会社のみならず東海や東日本、西日本の各社は固有の危機と矛盾を深め、また総体としてJR体制=国鉄分割・民営化体制が総破産に突き進んでいます。
 鉄道の切り捨てに続くのは、病院・学校・上下水道・郵便……あらゆる社会インフラの撤
退と縮小です。地域社会の崩壊は地方都市から大都市圏にまで及んでいます。日本没落と人口減の中でどう生き残るかという問題として〝選択と集中〟に強烈に舵(かじ)を切っています。安倍政権の成長戦略=「選択と集中」路線の先頭にJR資本が立つ構図です。国家と資本が生き残るための「選択と集中」攻撃が始まっています。

●館山集会が示したもの

 こうした状況に対して館山市では2月4日、地元住民と動労千葉の呼びかけで3月ダイ改と内房線切り捨てに反対する集会が行われ、大きな注目を集めました。JR体制の崩壊は、社会的危機だけでなく、社会的な反撃と激突を生み出すことを示した集会となりました。
 館山集会は、国鉄分割・民営化以来30年間の闘いと、館山運転区廃止反対闘争以来の10年に及ぶ闘いの蓄積が、JR体制の崩壊がもたらす〝条件〟と結びついたものです。労働者が団結して闘うことにこそ社会の普遍的利害があります。集会を報じた新聞記事は「集会を陰で支えたのが国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)」と表現しました。
 2013年の韓国鉄道労組の23日間のストライキが民営化反対の世論を獲得し、それが昨年来の韓国の闘いに発展したことに通じるものがあります。館山集会は、韓国階級闘争と同様の条件が日本にもあること、そしてその端緒をつかみはじめたことを示しています。ここに労働組合再生の可能性が示されています。
 2月国鉄集会は、国鉄分割・民営化と30年にわたって闘いを守り抜いてきたことが、根底的崩壊を開始した新自由主義(国鉄分割・民営化体制)と闘う階級主体的立脚点を確立するものであることを示す出発点となりました。

●安倍改革に反撃を

 安倍政権の「働き方改革」は、「労働生産性の向上」を焦点とした労働分野の「選択と集中」路線そのものです。正社員ゼロの総非正規雇用化・解雇自由・就業規則万能化の攻撃です。それは戦後労働法制の全面的・原理的な転換を狙う攻撃でもあります。
 労働契約法は、労働条件の最低基準を集団的に規制する労働基準法や、集団的労使関係法である労働組合法とは原理的に異質な法律であり、すべての労働条件を個別労働契約に還元する法律です。解雇の金銭解決制度や残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)は労働条件を集団的に規制すること自体を破壊するものです。
 「働き方改革」は、労働者が団結して集団的に労働条件の規制を迫ること自体を葬り去る攻撃なのです。しかしこの攻撃こそが労働者階級がこれまで通りでは本当に生きていけない現実をもたらすと同時に階級的な反撃と激突情勢を成熟させます。いまこそ団体交渉やストライキ、労働委員会など、労働組合として当たり前の闘い、労働者が団結して闘うことを対置しなければなりません。国鉄闘争の意義もまた決定的です。
 動労千葉を先頭に第2の分割・民営化との激突が始まっています。国鉄分割・民営化体制の崩壊はストレートにはJR東労組=革マルとの結託体制の瓦解の開始として現れています。JRで 働く青年労働者の大反乱を組織し、動労総連合を全国で建設することは核心的な闘いです。東京・大阪―JRを貫く反民営化闘争を突破口に全国の地域・職場から闘いを開始しよう。国鉄闘争の旗の下に労働運動再生のあらゆる努力を結びつけよう。〈解雇撤回・JR採用〉の対JR署名を10万筆集めよう。6月には8回目となる国鉄闘争全国運動の全国集会が予定されています。国鉄闘争の継続と発展をかけ昨年を超える結集を実現しよう!

特集0324

Posted by kc-master