入管法と民族差別と闘うために労働組合が果たす役割

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0338号05/02)(2018/05/01)

入管法と民族差別と闘うために労働組合が果たす役割とは何か

上田 豊(神奈川労組交流センター事務局次長)

 4月22日、第29回外登法・入管法と民族差別を撃つ全国研究交流の集い(全国実主催)が神奈川大学横浜キャンパスで開かれ、在日・滞日外国人労働者と共に450人が集まりました。開催のため尽力していただいた神奈川大学の的場昭弘教授(国際センター所長)に深く感謝いたします。
 集会を前にして訪問した朝鮮学校の先生は、集会が29回を重ねていることに驚かれました。私は、安倍の改憲と戦争を阻止する重要な集会となっていることに、責任の大きさを再確認させられました。
 全国実を代表して基調報告を行った田中喜美子さん(牛久入管問題を考える会)は、米英仏のシリア侵略戦争を弾劾すると共に、「戦争を止める力は、どこにあるのか。パククネを打倒した1700万人のろうそくデモにある」と断言しました。
 そして「新自由主義世界の入管法・入管体制を体現する入管収容施設で何が起きているのか」と問題提起し、4月13日牛久入管で難民申請中のインド人男性(30代)が自殺したことを明らかにしました。彼は昨年4月、3カ月ビザで入国して難民申請し、7月却下され品川入管に収容、12月牛久入管に移送されました。今年4月12日仮放免申請の却下を知り、翌13日シャワー室で首にタオルを巻きつけ倒れているのが発見されたのです。収容所では花も手向けない入管当局に怒りが巻き起こり集団ハンストが行われました。
 昨年1年間、日本で難民認定を申請した外国人は1万9628人ですが、認定されたのはわずか20人です。日韓条約が調印された1965年、当時の法務省官僚が「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」と国会で発言したことを思い出しました。当時と状況は変わっていないばかりか、逆に入管行政の実態はより劣悪になっていると痛感しました。
 田中さんは「こんなことを許していいのか。このことを共有してほしい」と語り、「労働組合の力で技能実習生、外国人労働者と共に闘おう。6・20世界難民デーに、品川入管をデモで包囲しよう」と呼びかけました。
 集会で恒例となったクルドの子どもたちの演劇では、入管収容所での職員による暴言、病気になっても放置され命の危険にさらされる現実、みんなで話し合ってこれに対抗するという一場を真剣に演じていました。大人になったら自分が収容されるかもしれないという現実は、絶対に許せません。
 しかし、厳しい現実に決して負けていません。発言した在日・滞日労働者や難民申請者は、怒りをぶつけ闘っています。昨年以上に、地域合同労組に結集している仲間が次々と登壇し、明るく力強く発言しました。
 私たちは、昨年12月、川崎反戦集会&デモ(婦民全国協呼びかけ)を全力で闘いました。地域に責任を取るとはどういうことなのか。今年は県独自の実行委員会を開催し、地域ビラやポスター貼りなどを行い、入管闘争を労働組合の正面課題として闘う、新たな第一歩を開始しました。
 「朝鮮核戦争は絶対反対! 労働者はひとつ! 『私を生きさせろ!』」を高く掲げ、在日・滞日・難民申請者、すべての労働者の国際連帯の力で、戦争・改憲阻止、安倍打倒へ! 「改憲・戦争阻止!大行進」運動を大きく発展させましょう。

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Posted by kc-master