労働運動への共謀罪先取り攻撃を粉砕 かねひろ弾圧との闘いに勝利

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0338号06/01)(2018/05/01)

労働運動への共謀罪先取り攻撃を粉砕したぞ!
※かねひろ弾圧との闘いに勝利!

(写真 公判闘争で挨拶する許用皓支部長)

山本 知子(かねひろ弾圧被告団)
 昨年5月12日、国会で共謀罪法案の審議真っ只中、関西合同労組春闘行動に対する「建造物侵入でっちあげ」弾圧が強行されました。私たちはこの弾圧を共謀罪先取り攻撃として見据え、 1年間徹底的に闘い抜きました。2月26日神戸地裁芦高源裁判長は、 検察側論告を上回る反動的内容で「罰金各10万円」という絶対に許せない有罪判決を下しました。しかし懲役実刑判決を下せませんでした。安倍政権の労働運動絶滅攻撃は私たちの団結で崩れさりました。
 この勝利は、許用皓(ほよんほ)阪神支部支部長ら3人の不当逮捕に対して即座に反撃をしたことが決定的でした。そして全国からの激励が獄中の闘いを支え、安倍の労働運動絶滅の狙いを打ち砕きました。「公訴棄却を求める署名」は全国から3500筆を超えました。多大な激励とご支援ありがとうございました。6月以降に大阪高裁において控訴審が始まりますが、労働運動への共謀罪粉砕第1号として勝ち取っていきます 。

1 かねひろ解雇撤回闘争の意味~安倍は何を恐れたのか~

 私たちは弾圧をどう見るのかという論議を経て、自分たちの闘いの意味をはっきりさせていきました。
 かねひろ解雇撤回闘争は、無期雇用であった許用皓支部長を嘘(うそ)と騙(だま)しで3カ月契約に落とし込み、解雇したかねひろ運輸に対して、18年にわたり「非正規職撤廃!原職復帰」を求めて闘い抜いた闘争です。この闘いは、2008年森精機の派遣労働者が派遣先でストライキ決起する闘いにつながりました。「ハケン村」のような救済の対象ではなく、非正規労働者が自己解放的に決起した闘いです。このように、かねひろ闘争は、18年大量解雇攻撃、労働改革との激突の先陣の闘いです。だからこそ、安倍政権の階級意思として労働運動絶滅攻撃を仕掛けてきたのです。

2 会社の営業権は労働基本権を上まわるのか

 今回の弾圧は、労働基本権を刑事事件にデッチあげたものです。これに対して、私たちは、ブラック企業かねひろ運輸資本の私益を守るために、労働者の生存権、団結権、争議権をふみつぶすのかを問い続けました。関西合同労組の黒瀬委員長は「たとえ裁判で負けても現場の闘いで解雇を撤回させることはあり、争議は当たり前の労働運動だ」と証言をしました。これに対して、神戸地裁芦高判決は、完全に無視し踏みつぶしました。労働基本権に触れれば無罪を認めざるを得ないからです。
 そもそも憲法28条は、2・1ゼネストに上り詰めるまでに至った戦後の労働者階級の力が強制したのです。戦前も労働者階級は、ストライキで実力闘争で闘いぬいてきました。私たちは、28条改憲攻撃に対して、さらなる労働運動の爆発によって回答を与えていきましょう。

3 労働運動に向けられる共謀罪攻撃をいかに粉砕するのか

 昨年は、 連続的な共謀罪弾圧が行われました。かねひろ弾圧も、大坂正明弾圧と一体的に行われています。公安3課は、あたかも関西合同労組を「中核派が操っている労組ならぬ団体」と描き出し、何か「背後の指令による共謀関係」がないかと7時間に及ぶ家宅捜索を行いましたが、結局、公安3課の捜索の異常性、不当性が明らかになっただけでした。
 共謀罪は、団結罪です。労組の当たり前の相談や会議をも「共謀」とみなす。労組に関われば大変なことになるとし、恐怖で階級を分断することです。
 弾圧を粉砕する道は、より強固な団結を形成することです。獄中で命と人生をかけ、解放感をもって闘い続ける存在に階級は魂を揺さぶられ、その団結に獄中者もまた勇気をもらい闘い続けることができます。今回の弾圧は、むしろ団結を強化し、深く広くしました。「弾圧ありがとう!」「共謀罪にはさらなる共謀を!」と言いきる明るさが、弾圧を粉砕する力になります。
 なにより最大の武器は、完全黙秘・非転向です。これは、技術的に調書を取らせないということではありません。敵国家権力に1ミリも譲歩しない戦闘宣言として完黙を貫く時、権力がギリギリと追い詰められていくのが実感できました。
 関西では、弾圧に先立つ3月31日に近畿救援会を立ち上げ、「①完全黙秘・非転向、②労働者の団結で総括、③救援連絡センターとの団結、④星野闘争の先頭で闘う」の4原則を立てました。これが今回の弾圧を粉砕する力となりました。労組交流センターの大原則として打ち立てていきましょう。

(写真 3・5春闘行動でのかねひろ社前闘争)

4 国際連帯とゼネストで共謀罪を粉砕しよう!

 「戦争が始まる時、必ず在日への弾圧から始まる」(2月総会議案 )。安倍政権は、在日朝鮮人労働者の決起、在日と日本の労働者が階級としてがっちりと団結し、 世界中の労働者と直接に国際連帯を築いていることに、心底震え上がっているのです。
 許支部長は、在日としての誇りと人生をかけて、「労働者階級は民族・国籍・国境を越えて一つである」ことを体現してきた存在です。迫りくる朝鮮戦争に対して、昨年10月9日許支部長は弾圧を打ち破りながら、命がけで「朝鮮戦争に反対する在日朝鮮人の会」を立ち上げました。
 2月26日には、訪日中の韓国民主労総旭硝子非正規支会の仲間が、尼崎工場抗議行動の後、神戸地裁判決公判をともに闘ってくれました。
 反動判決に対して傍聴席から弾劾の声が飛び、退廷命令が出る中、許支部長が「資本を裁かず闘う者を裁くのか!」と裁判長に詰め寄りました。司法が資本の手先であることを明確にさせ、日韓の労働者がともに労働大改悪に立ち向かっている姿を敵にたたきつけたのです。
 国際連帯とゼネストで、安倍の改憲・戦争・労働改悪を粉砕していきましょう。