関西のたたかいの中から 労働組合が資本と闘った時、団結が生まれる
関西のたたかいの中から!
労働組合が資本と闘った時、団結が生まれる!
労働組合が資本と闘った時、団結が生まれる!
奈良市の下水道裁判をやっていて本当に良かった!
松本 久由(奈良市従業員労働組合)
2月7日、下水道民間委託反対裁判の5人の原告のうち、2人の証人尋問が行われました。この日の自分の率直な思いは、「下水道の裁判をやっていて本当に良かった!」というものです。水道法改悪が国会で大問題になった時、「上下水道の民営化絶対反対」の旗が立っていることがどれほど重要か実感しました。上下水道を民営化させてはいけません! 命の問題だからです。
自分たちは、下水道の現場の闘いの中から「労働の奪還」について議論を重ねてきまし
た。これまで、労働については大きく二つの主張があったと思います。「疎外労働なんだからいかにサボるか」というものと、逆に「全体の奉仕者」「職の確立」という形でいかに働くか、というような「働かない運動」か、「働こう運動」か、というような両極端の主張です。
この闘いの中からつかんだことは、労働の現場に労働組合が存在し、資本と対決した
ときに、自分たちの労働が社会的にどんな意味があり、どういう役割・責任を持っているか自覚することができるということです。闘った時に、労働者は団結を深め、現場に
責任をとろうとするのです。そうした階級的労働運動によって、目の前の職場の問題から、職種、産別を越え、労働者階級として一つになり、プロレタリア独裁にまでいきつくような豊かなものをつくっていけるんだと実感しました。だからこそ、労働そのものにあらかじめなにかの団結があるのではなく、労働組合の存在、資本と闘う労働者の存在があって、初めて発揮する中身であることをはっきりさせることが大切だと思いました。
【証人尋問:要旨】
●正規Aさん
私は24年間、一貫して下水道の管渠管理業務の仕事をしてきました。その後、2017年5月、民間委託されたことにより、現在は、道路維持管理業務に従事しています。
私がやっていた下水道管理業務の仕事は、奈良市内の下水の本管、人孔(マンホール)、家庭の最終桝、取付管(本管から家庭の最終桝の管)の清掃及び管理です。下水道には汚水と雨水がありますが、私たちがやってきたのは汚水の方であり、雨水は道路維持課の管轄です。
私たちの具体的な業務は、主に下水管の桝の「詰まり」への対応、「道路陥没」への対応などです。市民から「トイレが流れない、あふれた」と連絡が入れば、詰まりの原因物を取り除く作業を行います。
いわゆる3Kの「きつい・汚い・危険」な仕事です。強烈な悪臭、糞尿を触ることを余儀なくされることもあるし蛆虫がわいていることもあります。硫化水素やガスの危険もある中での重労働です。このため、自分たちの仕事の重要性への理解と職員同士の信頼関係があって初めて成り立つ仕事です。
採用された当初は、しんどい仕事だと思うこともありましたが、先輩たちに教えられ
たり、市民に「ありがとう」と言われたりする中で、だんだん市民の生活を支えている
大切な仕事だとわかり、自分の仕事に責任感と誇りをもつようになりました。
2014年4月1日の上下水道が統合時、奈良市従業員労働組合は「統合は民営化につながる」と、団体交渉で反対しましたが、市は強行しました。
そして、2015年1月、私たちは突然、部長や課長から「民間委託をするから、2名の正規職員は職種変更による異動をしてもらう。3名の嘱託職員は2016年4月1日以降は任用しない」と言われました。
しかし、そこから民間委託は予定通りに進みませんでした。労働組合が強く反対して
いたからです。2016年4月、6月、8月、2017年4月の4回にわたって委託を止めました。
この過程で、奈良市は、私たち2人の正規職員に対して「職種変更試験」を受けるように執拗に求めてきました。清掃や土木に変更する試験です。しかし、私たちはこれを拒否しました。なぜなら、この試験を受けるということは、職種変更に同意することになるし、民間委託に納得できなかったからです。
下水道事業のような市民生活の基盤を支えるものは、奈良市が直接運営しないといけないと思います。民営化は利益を目的とするからです。実際、奈良市は下水道料金の20%値上げをしようとしています。私はまた元の職場に戻って働きたいです。
●非正規のBさん
私はハローワークの紹介で採用されました。その時、「10年以上の下水道経験を要
する」と書かれており、これまでの経験を生かすことができると思って応募しました。
面接のときには「糞尿を触れますか」と聞かれ、「できます」と答えました。そして、2010年6月に任用されました。それから、1年ごとの更新を続けました。
2016年4月、民営化をするために、市は私たちを1か月の任用にしてきました。本来は1年間の任用なので、1か月の任用というのは異例のことです。団交で民営化に合意しなかったから、1か月任用を4回も繰り返されました。私たちにしてみれば、1か月後に任用が更新されるかどうかがわからず、常に不安を感じずにはいられない過酷なことでした。このやり方には本当に怒りでいっぱいになりました。
市役所というのは本来、弱者の味方ではないのでしょうか。自分はそう思ってきまし
た。自分にも子どもがいるし、非正規の職員に対して、このような不安な気持ちにさせるやり方はおかしいと思います。安心して働けるようにしてほしいです。