産別・戦線の闘い第23回 自治体労働者 有期雇用制度の撤廃、雇止め解雇撤回のたたかい

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0350号08/01)(2019/05/01)

産別・戦線の闘い 第23回
自治体労働者の闘い
有期雇用制度の撤廃、雇止め解雇撤回のたたかい

(写真 集会で発言する村岡靖昭さん)

村岡 靖昭(仙台市社会福祉協議会職員労働組合委員長)

 作年3月末、仙台市社会福祉協議会の非正規職員29人が雇止め解雇されました。以来1年間、解雇撤回を求めて闘ってきた村岡靖昭さんからの報告です。

 私の「雇い止め撤回判決を求める署名」を全国から3500筆以上寄せていただき、本当にありがとうございます。
 仙台市社会福祉協議会職員労働組合(以下、社協労組)は結成以来、有期雇用制度撤廃を掲げており、労働契約法改正に伴う昨年の「5年雇い止め」を撤回するために裁判闘争に立っています。この闘いの報告が、みなさんの闘いの一助になれば幸いと思います。

●雇い止めの問題点

 仙台市社会福祉協議会(以下、仙台市社協)は約300人の組織で、うち3分の2が非正規職で働いています。非正規と言っても決して補助的な業務を担っているわけではなく、正規職員と同じく責任ある業務を任されています。にもかかわらず低賃金な上、1年契約の有期雇用を繰り返すという不安定な状況に置かれています。
 そして昨年3月末、社協労組の委員長・書記長(当時)を含む29人が雇い止めを受けました。理由は労働契約法改正による「無期転換ルール」です。有期雇用労働者が5年以上働くと、期限のない雇用へ切り替えることができるようになった「無期転換ルール」は、昨年4月1日に適用が始まりました。ところが仙台市社協は、雇用の安定を図るためのルールから逃れるために、5年を超えないように雇い止めにしたのです。
 仙台市社協は無期転換ができない理由として、主な事業が仙台市からの委託によって行われており、いつ委託が終了するかわからないため財源の見通しがないことを挙げています。
 しかし、このような雇い止めを許していては生活は成り立ちません。非正規雇用でボーナスも退職金もなく、十分な蓄えを持つことができない中で「5年で雇い止め」では生きていけません。
 また、福祉事業を担う十分な体制もとれません。例えば私の職場は、重度知的障害者が通う施設であり、利用者との継続した信頼関係を必要とする仕事でした。自分の意思を伝えることもままならない方たちとコミュニケーションをとり、命をあずかる介助を行うといった、責任ある仕事です。5年ごとに人を入れ替えていては、とても十分に行うことなどできません。
 そもそも、仙台市社協は人員不足で恒常的な欠員状態にありました。人手が足りないのに、一方で多数の雇い止めを行うことに正当性はありません。
 社協労組は団体交渉で、こういった雇い止めの問題点を怒りをもって何度も追及しました。マスコミ報道や署名など、社会的にも問題を提起しました。しかし当局は問題点を考慮することなく、雇い止めを強行したのです。
 また事業を委託する立場にあり、財源上も人事上でも大きな責任を持つ仙台市に対して申し入れを行いましたが、「他の法人の人事には口出しできない」と受け入れられませんでした。

●雇い止め撤回裁判の意義

 雇い止めを阻止することができず、この撤回を求めて立ち上がると決断するのは、正直なところ簡単ではありませんでした。もちろん雇い止めには納得できません。しかし私たちは少人数の経験の浅い組合です。それに、雇い止めされた組合員のこれからのこともあります。
 雇い止めを許せないという思いを貫きたいとする意志と、雇い止め撤回の取り組みをやっていけるのかという、大きな不安との葛藤がありました。
 そういう中で話し合いを重ね「やっぱり雇い止めはおかしい。これまでの取り組みを無駄にしたくない」という共通した思いがあると確信し、当該の村岡が裁判に立つことを決断しました。
 もう一つ大きな問題がありました。私たちの組合は仙台市職員の労働組合に所属していますが、そこでは「雇い止め撤回の取り組みはしない。当該の組合員籍を認めない」としたことです。闘いに蓋をするような判断には大きく失望し、今でも納得はしておりません。
 ただこれは、一組合の問題ではなく、労働組合の現状を表しているのではないかと感じます。全国の有期雇用労働者は労働者の4人に1人、1500万人にものぼります。雇用の調整弁として労働者を都合よく使うために、有期雇用化を進める使用者側の狙いに対し、労働組合が闘いきれなかった。それが膨大な有期雇用労働者の増加を招いてしまっていると感じます。
 そういう意味で、社協労組が雇い止め撤回を求める裁判に立った意義は非常に大きいものと感じています。
 雇い止め撤回を決断して立ち上がった時、仙台市職労の有志の方々を含め、全国からのたくさんの支持をいただきました。雇い止めに泣き寝入りしたくないという有期雇用労働者の思い。組合の仲間を守りたいという思い。たくさんの思いを「支援する会」運動や署名、財政支援という形を通じていただいていると感じます。多くの方の希望となるように、絶対にこの裁判に勝利し、雇い止めを撤回させたいと決意します。

●無期転換逃れの雇い止めとのたたかいはこれからだ

 無期転換逃れの雇い止めは、昨年が始まりであり、これから雇用5年目を迎える有期雇用労働者が、必ず直面する問題です。
実際、仙台市社協は、今年3月末にも新たに11人を「5年雇い止め」にしました。
 一方で無期転換後の労働条件も大きな問題です。仙台市社協では、昨年29人を雇い止めにした一方で、一部の者は無期転換しました。しかし、無期転換後も賃金は変わらず、退職金もありません。
 社協労組は、雇い止めと無期転換とを分けた当局の基準そのものに合理性がないと考え、納得していません。しかし、仮にも必要な人材と認めて無期転換にした者を「一生非正規」の待遇に置くことは許せません。
 雇い止めの阻止・撤回と、無期転換後の待遇改善とは、一体の課題と考えます。裁判の勝利に向けた取り組みを進めるとともに、職場でこれからの問題を解決すべく闘っていきます。全国の労働者のみなさん、ともにがんばりましょう。