自治労第92回定期大会闘争の報告

2019年10月25日

月刊『労働運動』34頁(0355号08/01)(2019/10/01)

―自治労第92回定期大会闘争の報告―

改憲阻止へ! 会計年度職員攻撃粉砕! 闘う単組が合流!

佐藤 賢一(全国労組交流センター自治体労働者部会代表・江戸川区職)

はじめに

安倍の手先になるのか、組織崩壊か。労働組合としての団結の再生か。
8月27~29日、福岡で開催された自治労第92回定期大会に我々は登場した。大会前に、全国の自治体の単組、都道府県本部で会計年度職員制度やマイナンバーカードをめぐる議論が沸騰し、自治労総体として反対すべきだとする意見が続出していた。大会は、会計年度職員もマイナンバーも安倍政権と同じく推進の立場に立つ自治労本部への怒りがみなぎる中で開催された。
この間、自治労は毎年1万人以上の組合員の減少が止まらない。社会福祉協議会労組の解散、脱退が起きている。安倍打倒・改憲阻止反対方針のトーンダウン等が目立ったが、反戦・反基地・反原発運動を取り組む県職は元気だった。自治労の組織存亡の危機と運動の危機が露呈した大会だった。

三つの闘う単組が新たに合流

この大会情宣に先立ち、26日夕方より博多市内において、全国労組交流センター自治体労働者部会の集会を行った。地元九州の労働者の司会で始まり、三つの単組・部会が参加した。感動的な活動報告、今後の方向性が確認され、これからの活躍が期待される。
今定期大会において自治労本部は18単組1937人が加盟、自治労都本部は3単組加盟との報告があった。
私たち部会が九州地方という広大な地域に、三つの単組と橋頭保を築いたことは非常に大きな成果であり、原発立地県である鹿児島にも踏み出したことも大きな団結の勝利と言える。
小さいといえども、全国組織として、常に自治労大会に絶対反対派として登場してきたことの展望として確認したい。

我々の闘いの方針は鮮明だ!

今回の大会にあたり労組交流センター自治体労働者部会は、大きく3つの方針を鮮明にさせた。その第1は関西生コン弾圧粉砕、第2は会計年度職員攻撃粉砕。第3はマイナンバー制度粉砕だ。
自治労本部の大会警備隊が、情宣活動を歩道上のみと規制する中で横断幕を広げ、上記方針を鮮明にしたアジテーションと共に闘う各地域からの報告情宣(トラメガ使用)が開始された。大会会場のコンコースでは多くの代議員が雨宿りをしながら、私たち部会の様々な地域での闘いの報告を聞いていた。
後述するような実質上の改憲攻撃(憲法28条)を打ち破るべく、自治体労働者部会は地元九州の労働者を先頭に全国から三十数人が結集し、折からの土砂降りの中、持参した1500枚のビラまきを、代議員が結集する早朝に決起し開始した。ある地方の社会福祉協議会職員解雇問題を報道するパンフは、大会代議員の関心も高く、500部を撒き切った。
土砂降りの中で、靴もズボンもずぶぬれになったが、最終的に結集した人数の大きさにも助けられ1300枚のビラが入った。会場内では多くの人が広げて読んでいたという報告も入った。これこそ部会の団結の成果そのものだ。

関西生コン弾圧粉砕

なぜ自治労大会にむけてこの方針かと言えば、労組活動が刑事罰の対象になっているからだ。
関西生コン支部に対する2月5日の弾圧では、15人を恐喝未遂で逮捕。「勾留中検事調べが一度もない。調べる気が始めから無い。その間、警察は組合員の家族のところを回り『お父ちゃん黙秘しとるけどこんなんだったらもう帰ってこられへん』と脅かし『さっさと組合抜けるようにゆうたってくれ』そういう調書を妻から取るようなことをしている。では組合員が何をやったかと言えばビラまき(威力業務妨害だという)と、現場の安全を守るためのコンプライアンス活動(例えばクレーン車の足場を法令にのっとり安定装置を張り出せと抗議したこと)だという」(「進行する関生コン弾圧恐るべし、関西生コン労組つぶし」永島靖久弁護士講演録より)。
こんなことを許していたら、組合運動なんてできない、実質的な憲法28条の破壊だということだ。だから労働組合としては国鉄分割・民営化反対以上の大闘争にする必要があるのだ。全国組織としての自治労には大きな役割がある。

会計年度職員攻撃粉砕

会計年度職員制度の対象となる非正規職員数は4割に迫り、9割を超えるところもある。①毎年全員解雇②試験で採用、不採用を決め、③毎年1カ月の試用期間を設けて解雇できる制度に変える攻撃だ。中でも、特別職非常勤職員(22万人)は労働3権(争議権、団結権、団体交渉権)を奪われる。その次に来るのは、全面民営化であり、ねらいは正規職の総非正規職化なのだ。
しかし、現在全国一律の制度にはなっていない。
東京の自治体労働者の会議では、「現場での仕事は、チームワークが必須であり、すべて単純化できるわけではない。たくさんの職場を一カ所に3~5年もかけて関わりながら、その経験を通して実際に仕事をこなしている。だから当局も様々な部署に精通した職員を作り出すために、ジョブローテーションを組んでいる」、これが現実だと確認している。
この制度が導入されたとして、たった1年勤務で何ができるようになるのか。仕事の継続性がない中で、自治体が公的責任を放棄するような事態が生まれているのだ。後継者が育たず、公務がだれでもできることになれば公務員=正規職員はいらなくなる。だからこんなものを認めたら、公務員制度は吹き飛び、自治体業務は民営化される。これは改憲にむけた自治労解体攻撃そのものだ。安倍の狙いはそこにあるのだ。

マイナンバー制度粉砕

マイナンバーは安倍の改憲・戦争と一体の監視国家化の大陰謀だ。公務員の取得を水路に全住民を対象にしようしている。現段階では職場での「所持調査」にとどまっているが、今が反撃のチャンスだ。強制はできず、罰則もない。労働組合こそ強制拒否で全力で反撃すべき時だ。地域住民、職員にとっても「百害あって一利なし」。すべては国家の管理のためと断罪しよう。
11月3日、日比谷野音で会いましょう。

自治体

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