「高線量地帯 常磐線の全線開通は安全か?9・22水戸集会」

「高線量地帯に向かって列車を走らせるな!常磐線の全線開通は安全か?9・22水戸集会」に620人が結集!

石井真一(動労水戸委員長)

JR東日本は7月、浪江駅~富岡駅間を開通させ、常磐線を全線開通させる提案をしてきました。富岡駅~浪江駅間は、福島第一原発から約2・3km横の箇所を通り、年間50ミリSv以上の帰還困難区域です。会社の説明でさえ、線路内で毎時2・3μSvの所が2kmも続く箇所があるとしています。大熊町の復興計画は2022年であり、東京オリンピックに間に合わせるために、それより2年も早く、乗客と労働者を被曝させることになる常磐線全線開通を許すわけにはいきません。
動労水戸は、7月県内の人々に呼びかけ実行委員会を立ち上げ、9月22日に水戸で集会とデモ行進をすることを計画しました。実行委員会は3回開催され、第1回実行委員会には20人以上が結集しました。いろいろ意見交換し、パネルディスカッションと県内の団体と人士からの発言を追求することにしました。
パネルディスカッションは人選に苦労しながら、医師と福島現地の人士と、JR労働者でディスカッションすることにしました。そして、全国労組交流センターの仲間、動労総連合の仲間を中心に呼びかけていこうと決めました。
福島第一原発のすぐ横を電車が走る現実を知ってもらおうと、東京新聞が福島第一原発付近の放射線量を独自で調査した紙面を使ってパンフレットを作成しました。これが決定的な武器となりました。これを持って集会への賛同と参加を呼びかけるために県内の労組を回ると、「初めて知った。大変なことですね」「大問題じゃないですか」という反応が返ってきました。軒並み「検討します」という反応でした。初めて賛同してくれる労働組合も出ました。
そして、マスコミまわり、新聞折込みにビラを入れる、ポスティングなど、やれることは全部やりました。東京新聞には、訪問して記事にしてくれるよう訴えました。その結果として、集会とデモ行進の記事につながりました。
茨城県庁前の東海第二原発再稼働反対の金曜行動、小泉純一郎の講演集会へも行ってビラをまき、代々木公園でのさよなら原発(9月16日)でもブースを出して、署名運動とビラまきしました。街宣行動は、水戸駅前、つくば市、土浦市などで取り組んできました。金曜行動の仲間も街宣に参加するなど、運動が広がってきました。
9・22水戸集会は、620人の結集で大成功しました。内容的にも、パネルディスカッションは、内部被曝が大変危険なものであることを2人の医師から明らかにされ、茨城県と福島県の方が発言し、怒りが溢れるものとなりました。デモ行進は、水戸支社や東電茨城支社を直撃し、明るく元気に行われました。

【組合員の発言】

●高野安雄副委員長(勝田運輸区運転士)

「今度の全線開通に向けて一番危険なところを運転担当するのが原ノ町運輸区一つに限定されました。昔はいわき運輸区もそこを運転していましたが、原ノ町運輸区だけに限定しました。すると要員が足りません。今月の25日付で第1陣の強制発令が出されました。なぜ強制か。誰もそんなとこに行きたくないからです。そんなところを走りたい乗務員は一人もいません。まだ第1陣であって、第2陣、第3陣まである、約30人くらいの異動が発生するんじゃないかと言われています。しかも、行かされるのはほとんどが若い人です。原ノ町運輸区の半分以上が若い人たちで、国鉄組はそんなにいません。若い人たちに一番危険なところを乗務させようとしている。とても許せないことだと思います」

●照沼靖功執行委員(勝田車両センター検修)

「皆さん、受付でもらった資料に大きいカラーのチラシがあると思います。チェルノブイリ法と日本と見比べてみると一目瞭然だと思います。私もチェルノブイリ法を詳しく勉強したわけではないですが、チェルノブイリ法と比べて、日本が今やっていることおかしくないですか。チェルノブイリ法で強制移住ゾーンや移住権が発生するゾーンとなっている所、そこですら日本では住んでいいとなっている。チェルノブイリの住民と日本の住民と何が違うんですか。同じ人間です。それなのに片や強制移住、片や住んでもいいって、おかしいじゃないですか。その日本政府がやろうとしていることを率先して協力しているのがJR東日本なんです。
外部被曝と内部被曝という問題がありますが、外部被曝も当然許せません。線量が高いところに電車を通して乗客や乗務員を被曝させることも絶対許せません。私は車両のメンテナンスをしているので、毎日床下を検査すれは、マスクしていても鼻の中か真っ黒になる。床下についているフィルターを掃除すれば、メンテナンス職場は汚れるんです。そこを走った車両を清掃する労働者も当然、被曝する。
だから、私たちは団体交渉の場で、内部被曝の問題を徹底的に追及している。『車両に放射性物質は付着しない』と言い切った社長と水戸支社長は絶対に許せない」

●木村郁夫書記長(大子運輸科気動車運転士)

「常磐線全線開通で、3・11をめぐって、鉄道労働者として、とりわけ水戸支社のJR労働者としてどうするんだ、と。この問題を考える時に、労働組合が命をどうみるのかここに一切があったように思います。この過程で、広野だとか浪江、富岡までという形で、なかなか周りの組合は動いてくれませんでした。動きませんでした。で、今回、
会社側のやり方もあり、何か一緒に出来ないかと投げかけた。そういう中で、すごいなと思ったのは、去年の車掌の1人乗務問題、これで行動を起こしたJR東労組の青年たちが、今回の問題で声をあげて職場で闘いに起ち上がっていることです。僕らがずっと求めてきたこと、次の世代、次の労働者が、周りの労働者が起ち上がり始めた。今、JR東労組の青年たちが配転問題と高線量の問題をめぐって会社と激突を開始した。この力と僕らも一緒になって、さらに会社に立ち向かっていきたいと思っています。この集会やってデモやって、全線開通反対の闘いがすべて終わりじゃなく、12月あたりの試運転と来年3月のダイヤ改悪の問題、ここの営業運転をめぐって職場の大闘争を作り出していきたい。そのためにも、全国、県内の仲間と、いろんな運動をやっている方の力をこの一点に集めていきたい」