新東京郵便局でスキル評価「是正」を勝ち取る!

東京中部ユニオンと郵政非正規ユニオンは、新東京郵便局第二普通郵便部に対し、昨年6月27日の第1回団体交渉以来1年以上にわたる団体交渉で、「時給制契約社員であるUさんの不当なスキル評価の是正」を要求して闘ってきました。そしてついに8月末、局がスキル評価を「A無」から「A有」に是正する勝利を勝ちとりました。
Uさんと怒りを共有し、団体交渉で局を追い詰め、Uさんのスキル評価の是正をもぎ取ったことは、重大な勝利だと思います。この勝利が、郵政非正規ユニオンの仲間に力を与え、こじ開けた穴から郵政非正規労働者の怒りが噴き出して、スキル評価制度そのものをぶっ飛ばす力になることを確信しています!

誇りを踏みにじるスキル評価

新東京郵便局の内務で働くUさんは、通算約20年間、郵便内務の仕事をしてきたベテラン労働者です。しかし、同じ仕事をしている職場の中で、Uさんだけがスキル評価(成績評価)を他の労働者よりも低いランクにされ続けてきました。
自分の仕事に誇りを持って働いているUさんは、「なぜ自分のスキル評価は他の人より低くされているんだ」と強い怒りと屈辱を感じてきました。これは当然の怒りです。
Uさんだけでなく、郵便職場の圧倒的多くの労働者は、スキル評価が何の根拠もない、いい加減なものであることをイヤというほどわかっているし、強い怒りを感じています。
しかし、最大労組であるJP労組は、これと闘うどころか、スキル評価制度導入に協力した張本人であり、このような現状に見向きもしない状況で、「どうすることもできない」という気持ちで沈黙させられてきたのです。

団体交渉には力がある

Uさんは、先輩に紹介されて加入した郵政ユニオンで、「自分のスキル評価は不当だ」と新東京郵便局に対して3回も「苦情申請」を行いました。JP労組も郵政ユニオンも、「組合員個人の不利益に関しては団体交渉の議題にしない」という協約を結んでいるため団体交渉はやらないのです。
組合員が「苦情申請」すると、「苦情処理委員会」が開かれる場合がありますが、検討がどう行われたか本人に詳細は知らされず、「最終的な判定は郵便局長が下す」という茶番劇でしかありません。
JP労組も、郵政ユニオンも「社内労組」という看板の下で、会社を追い詰めない約束を交わしているのです。
Uさんは、苦情申請がまったくまともに扱われないことに強い怒りを感じ、東京中部ユニオンと郵政非正規ユニオンで、団体交渉で闘うことを決断したのです。

逃げまくる局を徹底追及!

団体交渉は、新東京郵便局総務部長と当該部長の、とことん不誠実な態度との闘いの連続でした。
スキル評価には何の根拠もなく、すべては「サジ加減」で決められていることはみんなわかっていました。しかし、それを許さず「『他の時給制契約社員等に指示・指導できる』という『A有』の具体的な評価基準は何か」を、徹底的に追及していったのです。
組合側の同じ質問に対して、局側は毎回毎回、違うことを言うのです。「いつもUさんの仕事を見ているのか」との追及に、「いつも見ているわけではない」と回答しておきながら、「Uさんがいつもできているわけではない」というワケのわからない言い逃れをするのです。さらに、問題になっている評価項目とは関係ないことを持ち出して、「仕事が遅い」とウソをつくのです。時給制社員がやることではない「全体を見てコミュニケーションをとりながら指示・指導することが求められている」などと、まさしく口から出まかせです!
Uさんは、目の前で管理職がウソを言いまくり、屈辱を与える状況に、1月の第3回団交が終わった時は、「あまりの怒りで心底疲れ切ってしまい、もうやめようかと思った」と言っているほどです。
でも「逃げなかった」とUさんは言っています。

都労委あっせん→作業記録が勝利をつかんだ

スキル評価は、4月からの前期、10月からの後期と年2回出されるので、次の評価の是正を求めて団交要求するのですが、新東京局は、わざとスキル評価が出た後にしか団交日程を入れないという不当なこともやってきました。
このままだと、膠着状態を理由に逃げられる危険を感じ、組合は不誠実団交で都労委に斡旋を申請しました。公的第三者の前に引き出して逃げを封じる狙いです。
郵政の法対部2人も出席して逃れようとしましたが、都労委の斡旋員の方の熱意もあり、2回目の斡旋で、逃げまくってきた「基準」を言わせることに成功したのです。
Uさんは自分の1か月間の詳細な作業記録をつけていて、6月の第4回団交で、「基準」を満たしている事実を突きつけました。局にもう逃げ場はありませんでした。そして明らかになったことは、管理者・評価者は、Uさん(も含む)の仕事を、まったく見もしないで「評価」していたということです!

スキル評価制度をぶっとばし、生きていける賃金を!

1年間、団交の報告を含めて、新東京郵便局前で、出勤と夜勤明けのみなさんに何回もビラを配り、中部ユニオンではない仲間も、我がことのようにビラ配りを担ってくれました。
新東京郵便局の多くの仲間が熱心にビラを読んでくれ、顔見知りになった人たちとあいさつし、話をしてきました。「A有」という最高ランクになっても、非正規社員の低賃金に変わりはなく、とても家庭を持てるような賃金ではありません。
Uさんの勝利を、すべての郵政非正規社員の闘いにつないげていきましょう!

原 由美子(東京中部ユニオン委員長)『月刊労働運動』10月号掲載