東京都立病院独法化あくまで反対!

小池都知事は、今年7月1日をもって都立8病院と公社6病院、東京都立がん検診センターの地方独立行政法人化(独法化)を強行しました。約7千人の労働者の公務員身分を奪い、会計年度任用職員3千人、公社病院の職員5千人、合わせて1万5千人の労働者の賃金も働き方も変えられてしまいました。コロナ禍で最先頭で闘ってきた労働者を足蹴げにする暴挙を絶対に許すことはできません。
しかし、「都立病院つぶすな」署名は2年間で1万7805筆、8回の提出行動となり、都立病院周辺地域での反対運動が広がっています。

10月16日、「都立病院独法化に反対! 労働者と地域の力で都直営に戻そう」集会が行われました。医療介護福祉をはじめとした労働者、地域の患者・住民、そして独法化された病院の中からも参加があり、100人の会場があふれるような大盛況でした。墨東病院前を通るデモには沿道からも声援がとび、独法化を打ち破る新たな出発点を作りました。

独法化は戦争動員攻撃だ!

集会は、「都立病院独法化反対運動の軌跡」上映後、都労連労働者が基調を提起しました。「国鉄分割・民営化や独法化を先行した大阪での医療崩壊から、都立病院独法化とは労働
組合破壊だと闘ってきた。その中で独法化が戦争動員攻撃であることもつかんだ。独法化『定款』には『緊急事態に対処するために必要な業務を行う』との文言がある。公務員の身分を奪いながら『みなし公務員』として戦争動員を強制する攻撃に対し、都労連の中から拒否の闘いを起こしていく」と訴えました。

都立病院周辺の「墨東患者・市民の会」「松沢病院を守ろう交流会実行委員会」が、独法化後も「都直営に戻せ」の第3弾署名が集まり続けていることを報告。「7月1日を過ぎて『終わり』とはできない。反対と言い続けよう」「都立病院に働く仲間たちを守りたい。一緒に闘いたい。これを原動力に運動を続けていく」と決意を語りました。

医療介護現場からの発言

多摩連帯ユニオン・根岸病院分会は「多摩総合医療センターなど4つの都立病院の隣で闘ってきて、6月に行ったデモには都立病院で働く労働者が合流してくれた」「春から夏にかけての職場のクラスターに『危険手当を出さない』と言い張る理事長に対し、35人の労働者が怒りのメッセージを寄せてくれ、3万円の『見舞金』を出させた」と報告。
泉陽会労働組合は「介護施設はクラスターになると、都立病院があっても利用者を入院させられない。独法化されたらますますそうなる。『都立病院条例廃止』の3月都議会本会議採決時に『小池都知事、命を守ってください!』と声をあげ、退去させられた」「利用者の入院受け入れ先を探したら、ある病院では30万円の入院保証金を現金で納めないと入院できないと言われた。軍事費を2倍化するために社会保障費が削られるなんて許せない。マイナ保険証義務化反対の運動を作ろう」と発言。
一陽会労働組合は「精神科病院の人員配置基準は、医師が一般病院の3分の1、看護師は3分の2。松沢病院を都立病院として取り戻すだけでなく、精神医療の根本を変え、社会保障として取り戻そう」と訴えました。
保健所の労働者からは「医療現場にはお金が回っていないというのに、保健所など自治体には、委託契約などには何億何千万円というすごい財源がつき、いろんな業務がブツ切りに
されて分断されている」「民営化や独法化は、お金の問題と言われるがそうじゃない。労働者を分断して、権力者にとって支配しやすい現場にするためのもの。自治体本体を1割ぐらいにして、あとは全部委託・非正規にして労働組合をつぶし、声をあげさせない攻撃だ。これと闘っていこう」と呼びかけがありました。

さらに、コロナ下で3波のストライキを打った船橋二和病院労組からは「コロナから医療現場の大変さは全く変わっていないのに、コロナ患者を受け入れている病院には補償金が出て、すごい利益になっている。なのにボーナスは大して変わらなかった。『赤字だからボーナスが出ない』はウソだった。それと同様、防衛費をいきなり2倍! 『国が財政危機だから医療費は出ない』もウソだった。『公立病院を広げろ』『医療介護は社会保障でやれ』の声をますます大きくしていこう」と、力強いアピールがありました。

都立病院を戦争に動員させない!

都立病院独法化反対闘争は、独法化強行を超えて、地域に渦巻く社会保障解体への怒りの結集の場となっています。松沢病院地域では、団地の知り合いに医療福祉部会の都立病院集会報告ビラを入れただけで今年の11月集会に来てくれたそうです。
また、「墨東患者・市民の会」の例会では、高齢の患者さんが戦争体験を語り、会全体で11月集会に行く機運になったそうです。
東京労組交流センターとして独法化・民営化に絶対反対し、地域を束ねて闘う労働運動を目指してきた2年間の結実です。
岸田政権が戦争体制作りを進める中で、これから医療労働者の戦時動員が本格化してきます。「都立病院をつぶすな」の怒りを「都立病院を戦争に動員させない」反戦闘争へと発展させていく決意です。

東京労組交流センター医療福祉部会事務局

『月刊労働運動』2022年12月号掲載

医療/福祉

Posted by kc-master