11・2労働者集会の総括 国鉄闘争全国運動事務局長
11・2労働者集会の総括 国鉄闘争全国運動事務局長
― 11・2労働者集会の総括 ―
白井徹哉(国鉄闘争全国運動事務局長)
関西生コン支部と港合同、動労千葉の3労組と国鉄闘争全国運動の4団体の呼びかけで11月2日、東京・日比谷野外音楽堂で全国労働者総決起集会が開催されました。16回目となる労働者集会には5700人が結集しました。さまざまな飛躍をかけて実現した集会でした。
後日、ある方から「大事なことを長年続けてくれてありがとうございました」というお手紙を頂きました。民主労総の組合員が日本労働運動の底力を感じたとの感想を語っていたそうです。短い言葉ですが、集会の意義を端的に示しているのではないかと思っています。
11・2労働者集会の意義は、なんと言っても30年をこえて継続してきた戦後最長・最大の労働争議である国鉄分割・民営化反対闘争(国鉄闘争)の歴史的地平を体現する集会としてかちとられたことにあります。
6・8集会以降、7・1集団的自衛権行使容認の閣議決定と闘う8・17集会、さらには全国34か所の国鉄集会を通して5700人が全国から結集しました。職場で労働運動を大いに闘い、そして全国統一闘争として国鉄1047名解雇撤回の最高裁署名を呼びかけ、それが地域集会として結実するという具体的な実践を通して国鉄闘争基軸路線を物質化したことが11・2集会の土台となりました。
11月労働者集会は、国鉄1047名解雇をめぐる1998年5・28反動判決を契機に関西生コン支部と港合同、動労千葉の3労組の呼びかけで「闘う労働組合のネットワークを全国に」をスローガンに掲げて始まりました。1980年代の国鉄分割・民営化以降の労働運動の後退に抗して悪戦苦闘しながら闘ってきた3労組が、国鉄闘争を結集軸に全国に呼びかけを発したのです。
そして、国鉄闘争の息の根を止めることを狙った2010年4月の政治和解の大反動を打ち破って国鉄闘争全国運動が生まれ、動労千葉の外注化阻止闘争や関西生コン支部の100日を超える産業ゼネストなどもバネにしながら、新自由主義と闘う労働運動の展望を生み出しつつ、地域・職場において着実に一回り大きく組織化しながら、国鉄闘争を継承・発展させた地平として11月労働者集会は進んできました。
それは国鉄闘争というかたちで体現されてきた日本労働運動の階級的地平を守り抜き、そして新自由主義攻撃の全面的な破産とその破局的危機をも材料とする全社会的な、そして全産別的な国鉄型攻撃に対して、その具体的な対抗運動として結集と闘いを呼びかける陣形となったと思います。
署名運動や各地の国鉄集会への反応をみると、全国で苦闘する多くの労働者や労働組合が、自らの産別や職場での攻撃と自らの闘いに重ねあわせ、署名や裁判、3労組の闘いに共感し、連帯の気持ちをもっています。まだ結集には至らなくとも、署名運動の成功や裁判の行方、動労千葉の外注化阻止闘争などに注目し、期待を寄せている人が全国にいることを実感しています。
11・2集会は、国鉄闘争を結集軸に新自由主義と闘う労働運動の構築の展望を切り開きつつ、三里塚闘争や反原発闘争、福島の闘い、裁判員制度反対や改憲阻止、星野奪還などさまざまな人びとの結集と発言も行われました。政治集会としても非常に大きな意義をもった集会となりました。
さらには植木団地労働組合など新しい闘いがいくつも登場し、闘いの報告と決意がハイライトの集会となりました。職場で闘って集会に結集するという印象を多くの人が持ちました。鈴コン分会の勝利は、合同一般の闘いの位置と大きさを示しました。合同労組の闘いが11・2集会の労働者的雰囲気を牽引しました。日本労働者階級の生存権を守る闘いの最前線に立っています。
国際連帯においても、韓国鉄道労組が6・8集会に続いて参加し、民主労総ソウル地域本部に加えて新たな連帯を深めました。韓国でも厳しい経済危機が労働者階級を襲っています。歴史的な階級激突を前にして、日本と韓国の労働者階級が、共に国際的な階級連帯を模索していることを感じました。
アメリカ労働運動とは、ILWU(米国際港湾倉庫労組)との連帯に加えて、UTLA(ロサンゼルス統一教組)のユニオンパワーの仲間たちとの重要な連帯を実現しました。オバマ政権の教育の民営化攻撃と対決し、3万人余の労働組合において闘う執行部を打ち立てたユニオンパワーから多くのことを学びました。教育の民営化と学校における戦争動員との闘いは、米国のみならず日本でも本格的な闘いのテーマです。
11・2集会は、すべての産別において、新自由主義攻撃と闘って階級的労働運動を形成していくことが課題であることを示しました。3労組のように、戦後労働運動の限界を突き破ってそれぞれの産別において階級的労働運動派の潮流を生み出すことが必要です。
さらに11・2は、7・1集団的自衛権行使容認の閣議決定に対する真の反撃の道は何かを示した集会となりました。日本帝国主義が再び戦争の道を進み始めたことに対して、日本労働者階級は何をもって闘っていくのか。7・1情勢に対して何を登場させるのかを示した集会でした。
動労千葉の鉄建公団訴訟は、最高裁でいつ判決が出てもおかしくない情勢です。反動判決策動を打ち破って、国鉄闘争を結集軸に新自由主義と闘う労働運動をつくる運動体として国鉄闘争全国運動と11月労働者集会運動を発展させることが課題です。