チームとして組織化に勝利するUTLAの若き新リーダー

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0298号03/13)(2015/01/01)

チームとして組織化に勝利するUTLAの若き新リーダー 動労千葉国際連帯委員会

チームとして組織化に勝利するUTLAの若き新リーダー

動労千葉国際連帯委員会

 ロサンゼルス統一教組=UTLAのセシリー・マイアトクルスさんが、私たちの11月集会に参加しました。2009年に続いて2回目ですが、日米双方の闘いが大きく前進し、前回とは一変した訪日になりました。セシリーさんがUTLAの首席副委員長として執行部に入ったばかりで超多忙であるにもかかわらず、滞在はなんと15日間という長い期間になりました。大阪、滋賀、奈良、三浦半島と精力的に訪問し、組織化について徹底した議論をし、ともに労働組合を甦らせるために闘いました。これは、セシリーさんたちUTLAの仲間と動労千葉・労組交流センター教育労働者部会との深い信頼関係によって可能になったことです。
 14年7月に労組交流センター教育労働者部会の訪米団がUTLA本部を訪問し、ともにフォーラムを開催した時、セシリーさんは「日本の動労千葉がやっている11月集会は人生を変える経験だった」と語っています。当時、UTLAも動労千葉と同じ攻撃に直面していました。09年、リーマンショックの中で4万5千人の組合員中6千人に解雇予告書が送られたのです。だからこそ、国家ぐるみの労組破壊攻撃である国鉄分割・民営化と闘いぬき、職場で、全国で団結を強化・拡大している「11月」の運動は、セシリーさんの希望となり、闘いの支えになったのだと思います。
 セシリーさんは滞在期間中に41歳の誕生日を迎え、労組交流センターの仲間と共に祝いました。セシリーさんは自信に満ち、堂々と労働者としての信念を語り、まばゆいばかりに輝いていました。しかしそれは、多くの困難と絶望を乗り越えたからこそ得られた確信によるものだと思います。教育職場の荒廃とそれに対する無力な組合に深く絶望し、それでも闘う組合を甦らせて真の教育を再生したいと走り続けてきたからこそ、今の彼女があるのです。

●利益至上の民営化で荒廃した米公教育

 オバマ政権が09年以来進めてきた教育民営化は、アメリカ社会にすさまじい事態をもたらしています。企業が公的資金をかすめ取ることができる収益性の高い事業として、チャータースクール(公設民営校)がロサンゼルスだけでも一年あたり10~15%増加し続けています。また公立学校の場でも、大企業が、テストや新たなカリキュラム導入によって莫大な利益を得られる仕組みがつくり出されました。
 生徒の点数で教師は評価されて罰則が課せられ、学校が格付けされて教育資金が減らされ、ついには廃校へと追い込まれます。5週ごとに行われる標準テストの準備に教師は追われ、生徒はテスト漬けで物事を批判的・系統的に見る学習の時間を奪われました。標準テストの科目――数学と英語(国語)――に集中するため、他の授業はないがしろにされ、音楽や美術などの授業は切り捨てられています。今回セシリーさんは三浦半島の小学校を訪問し、理科室や図工室があることに驚きと羨望を表していました。
 公立学校への資金は財政難を理由に年々減らされ、毎年大量の教師が解雇されて、かつては24人だったクラスの人数はいまや高校に至っては59人にまで増やされています。各学校にいたカウンセラー、看護師、司書などの専門スタッフは、数校に1人にまで減らされました。

●戦闘的組合再生させるユニオン・パワー結成

 前委員長フレッチャーの3年の間、UTLAはこうした問題に沈黙し続け、闘わない組合に教師たちは絶望していきました。そんな中で、組合を甦らせようと考える活動家たちが決起してユニオン・パワーを結成し、2年間をかけてUTLAの将来を見据えた綱領や実行計画を練っていきました。「私たちの課題をすべて徹底的に討議して解決するには時間を要しました」
 しかし、そのなかでユニオン・パワーを「チーム」として堅く団結させることに成功しました。そして、これまでのやり方を再検討し、保護者、地域、生徒との関係を再確立していきました。組合がどうあるべきかを保護者や地域住民に知らしめ、それが彼らやその家族にどんな重大な影響を与えるのかを伝えたのです。
 日本で訪問した各地での討論で、セシリーさんの話はものすごく具体的でした。「組織化は一対一の対話」「長い集会ではなく、2~3人でもよいから10分間ぐらいの集まりを開いて、自分が話すのは20%、相手に80%話してもらい、何を求めているのかを真剣につかみ取る」「どうしたら解決できるか、どうやって闘うかというポジティブな話をする」「〝オルグ〟と構えず、食べ物を持ち寄ったりして、明るい雰囲気の中で話す」「そしてその人たちに、それぞれ集まりを開いてもらう」
 自信にあふれたセシリーさんの迫力に、自分たちにも出来るのかという発言に対して、彼女はこう答えました。「私だって怖いと思うこともある。怖くて眠れない時もあった。でも、私たちは戦場にいるのだから、みんなの前ではまったく怖がらないし、知らないことも知っているとして登場する。私の態度が周りに影響するのだから」

●強い団結の力で勝利!

 闘わない組合が残した「負の遺産」は大きく、ユニオン・パワーのこれからの道のりはけっして平坦なものではありません。荒廃した教育現場の現状を一つひとつ解決していくことから、ユニオン・パワーは精力的に始めています。まずはロサンゼルスのディジー教育長を辞任に追い込む快挙を成し遂げ、民族学を高校の必修科目に入れる闘いに勝利しました。これらはみな、地域の保護者や住民と共にユニオン・パワーの強い団結の力で勝ち得たものです。
 「私たちはユニオン・パワーというチームの団結で闘っています」とセシリーさんは常に語っています。彼女は、チームの団結がどれほど力を発揮するか、労働組合とはどうあるべきかを身をもって知ったことで、大きな確信をつかんだのです。
 「もはや地域と私たちの仕事とを切り離して考えることはできません。私たちの労働条件がすなわち生徒たちの学習環境そのものであることを肝に銘じましょう!」