■特集 JR北海道 JR北海道の安全崩壊は恐るべき状態にある

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0302号02/04)(2015/05/01)

■特集 JR北海道 JR北海道の安全崩壊は恐るべき状態にある

■特集 第二の国鉄分割・民営化は全面外注化攻撃だ! 今こそ動労総連合を全国に!

(写真 青函トンネル事故で乗客は約6時歩いた)

JR北海道 JR北海道の安全崩壊は恐るべき状態にある
北海道労組交流センター事務局

 4月3日の青函トンネル内での特急列車の事故が示すように、JR北海道の安全崩壊が恐るべき状態にある。これで来年3月の北海道新幹線開業を迎えれば、とんでもない大事故が起きる。旧経営陣を一掃して誕生した、JR東主導の島田社長体制はJR北海道の安全を回復できなかった。
 最大の問題は、JR北海道には、乗客と乗務員の安全を守るために闘う労働組合が一つとして存在していないことだ。北海道に動労総連合をつくり出すため、北海道労組交流センターは総決起する。

警告灯も焦げたような臭いも無視して運転を継続

 4月3日、青函トンネル内で特急列車スーパー白鳥34号2両目のモーター4基全ての配線などが焦げ緊急停止した。乗客・乗務員約130人は徒歩で竜飛点(旧竜飛海底底駅)付近の斜坑のケーブルカーで地上に脱出したが、6時間近くかかった。1988年トンネル開業以来、乗客の避難は初めてだ。
 函館駅を出発した直後からモーター制御装置の故障を知らせる警告灯が4度も点いたが、すぐ消えたので社内規程に従って異常なしと判断。トンネル手前では焦げるような臭いがしたが、指令センターは運行続行を指示。竜飛点を通過後に窓の外に火花が見えたのでようやく緊急停止した。竜飛点の火災検知装置も異常を発見できなかった。
 JR北海道は事故の翌日、同型の車両の緊急点検で「問題のある車両はなかった」とした。だが、なぜ2倍を超える電流が流れたのか不明のまま。13日から札幌の苗穂工場で車両を解体して原因を調べているが、1週間たっても何の発表もない。
 竜飛点に係員は常駐しなくなった。ケーブルカーによる避難開始まで長時間を要した。ケーブルカーの運転ミスで逆に3メートル降下することも起きた。停止したのは竜飛点から1キロ余の地点だったが、トンネル最深部であれば、歩行距離は10倍となる。新幹線は定員730人で、それを超えることもある。事故になれば避難に何日もかかる。しかし、JR北海道は「手順通り避難できた」「日ごろの訓練を生かせた」(西野副社長)とのコメントを出した。
 国交省運輸安全委員会は当初、「発煙にとどまった」として鉄道事故調査官の派遣を不要とした。だが、このコメントに驚き、JR東日本とともに避難体制の見直しを言い出した。地下鉄と新幹線についてはシートの不燃化や二重の避難ルートの確保などの安全基準があるが、在来線としての青函トンネルには適用されていない。新幹線を走らせることなど論外だ。

外注化の矛盾は新幹線開業でさらに爆発する

 事故を起こした特急列車は函館―新青森間を運行している。そのメンテナンスは全般的検査を外注先の会社が、日常的点検はJRが行う。当日の出発前点検は「異常なし」だったが、事故は起きた。しかし、全検の状況をJRは把握できていない。事故車両を札幌の苗穂工場で調べなければならないというのは、函館運輸所の検査能力に余るということだ。外注化された検修体制の破綻である。
 今、深刻なのは、外注化一般の問題ではない。外注先の下請け企業が、劣悪な労働条件で人手を十分に確保できないばかりか、新幹線工事に多くが集中し、在来線の現場では仕事を回せなくなっている。
 保線では、数年前までは現場が要求する要員も資材も十分に届かず、線路の補修が追い付かなくなって検査データの改ざんが蔓延した。今は安全投資を増やしているが、JR本体は要員不足で検査にさえ手が回らず、外注先は国鉄OBが減って能力が低下し、届いたコンクリート枕木などが山積みだ。
 昨年4月にスタートした島田体制の下で、4~7月は車両・設備などの不具合やミスが前年の倍になった。その後、不具合やミスは減りつつあったが、11月からの冬期の運休は6159本で過去5年間で最多。特に今年1~3月は昨年の5倍強である。
 これだけ運休すると、車両や設備の不具合やミスは表面化しない。下請け業者や人手が確保できないため除雪が間に合わず、運休が増えただけでなく、島田体制の下では雪で立ち往生しそうならば運休にした。しかしその苦情は駅に集中し、業務に支障が生じた。

安全崩壊と生活路線切り捨てに動労総連合の建設を

 新幹線は北海道そのものの切り捨てにつながっていく。新幹線開業によって、函館―青森間は普通列車ばかりか現在の特急列車もなくなり、木古内―五稜郭間は在来線が廃止され、バス転換が必至。新幹線の終着駅の新函館北斗駅から函館方面はリレー列車に乗り換えとなる。地域住民には不便と負担がのしかかる。
 新函館北斗駅からの乗り継ぎも利便性が良くなるわけでもない。戦争の危機が迫る中でアジアからの観光ブームが続くはずもない。リース料に見合った運賃収入を確保できる保証はない。経営が悪化すれば不採算路線の切り捨てとなる。
 JR北海道の安全崩壊は、国鉄分割・民営化の必然的な結果だというだけではすまない。JR体制下の外注化とその破綻が、もはやカネとモノを増やしても、鉄道事業として二度と立ち直れないようにしてしまったのだ。
 もう一つ、鉄道の安全のために闘う労働組合が存在しないからだ。国労が国と闘わない政治解決路線に陥り、2005年の尼崎事故には本部反対派さえ沈黙した。さらに「4・9和解」を境に、JR北海道の事故は多発していった。4年前の石勝線事故では国労は「会社に代わってお詫びします」という街宣をやった。
 北海道で国労は再生しない。国労は資本と闘わず、青年労働者や外注先の労働者の現状にも関心がない。14年2月、レール検査データ改ざんを口実とした2人の懲戒免職処分はそれを象徴している。不当な処分だと現場は怒っているのに闘わなかった。社会的なバッシングを受けて立ち、就業規則の改悪とその遡及適用に反対の意思を示せば処分は阻止できた。
 国労のようにチェック活動と社外に聞こえない申し入れをやっても安全は回復しない。動労千葉や動労水戸のように、いよいよ北海道に闘う労働組合を建設する時が来た。