■特集 JR西日本 尼崎事故を居直り外注化・非正規化と地方切り捨て

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0302号02/07)(2015/05/01)

■特集 JR西日本 尼崎事故を居直り外注化・非正規化と地方切り捨て

■特集 第二の国鉄分割・民営化は全面外注化攻撃だ! 今こそ動労総連合を全国に!

(写真 尼崎事故弾劾闘争【4月25日】)

JR西日本 尼崎事故を居直り外注化・非正規化と地方切り捨て
関西労組交流センター事務局

北陸新幹線開通での北陸本線を3分割・第三セクター化

 JR西日本における「3・14」ダイ改の最大の攻撃は、北陸本線の三セク化だ。並行在来線金沢―直江津間164㎞を切り捨てた。金沢以北は県毎に第三セクター(「IRいしかわ」「あいの風とやま」「えちごトキめき鉄道」)に3分割された。関西・中京圏との連絡が寸断され、金沢以北の特急列車84本が全て廃止され、北陸本線は米原―金沢間189㎞に半減されたのだ!
 マイナス要因はすべて利用者、住民負担に押しつけられる。運賃値上げになり、接続・乗り換えの不便が発生している。事故、遅延情報等の連絡網不備が襲いかかってきている。沿線自治体は第3セクター維持の負担増にあえぎ、地盤沈下必至だ。地方切り捨てはこれだけでなく、旧北陸本線に接続する城端・氷見、高山、大糸、七尾線の三セク化が企まれているのは明らかだ。
 労働者の労働条件の劣悪化は必至だ。北陸本線は全国一の特急銀座で黒字路線だった。特急が全廃され、三セク会社はドル箱を失い経営崩壊し、このツケは現場労働者の要員不足、安全崩壊に行き着く。
 三セク会社には、JR西日本から363人の労働者が出向に出された。これに自治体と直採用者151人、契約社員29人の総計543人が新しい第三セクターに配属された。労働条件は明らかにされず、国鉄分割・民営化と同じように、一方的に決められた。

地方切り捨ての本格的始まり

 北陸本線の第三セク化は、JR西日本の、地方切り捨ての本格的始まりだ。
 2011年、週刊ダイヤモンドのインタビューで、JR西日本・佐々木隆之社長は、「『地域との共生』を経営の新たな柱に」と打ち出した。
 しかし「地域共生」とは地方切り捨てそのものだ。佐々木は「地域に根ざして営業しているわけだから、赤字路線問題だけでなく、共同で観光キャンペーンを行ったり、駅周辺の利便性を向上するなど、さまざまな場面で自治体と協力していく必要がある。日頃からこうした活動で成果を出し、信頼関係を築いてからでないと、赤字路線問題を一緒に考えてはもらえない。ある日いきなり撤退するわけにはいかない業態だが、中期経営計画が終わる2年後までにはなんらかの進捗を見たい」と本音を語っている。JR西日本が、尼崎事故以降進めてきたデステネーションキャンペーンこそ地方切り捨てそのものだ。

尼崎事故こそ必然化した事故

 2005年の尼崎事故こそ、JR西日本が必然的に起こした事故だ。本州3社の中でJR西日本は最も経営基盤が脆弱なまま始まった。近畿圏以外は大きくはローカル線であり、肝心な近畿圏は「私鉄王国」である。その収支構造は、山陽新幹線の黒字をローカル線の赤字につぎ込み、黒字を近畿圏で「稼ぐ」としたのだ。
 JR西日本は、最初から、「安全無視」の経営方針を掲げてスタートした。
 第1に、分割・民営化直後から外注化・非正規化に突っ込んだ。87~93年に、JR西日本電気システム、JR西日本メンテック(清掃・改札・構内運転など)、レールテック(保線)、JR西日本テクノス(車両検修)が、JR西日本の子会社として設立された。いずれも今日、JR西日本の中心的外注会社だ。03年には契約社員制度をJR他社に先んじてスタート。
 第2に、「日勤教育」に体現される専制的労務支配だ。
 第3に、「稼げ」に示される「安全よりも金儲け」の経営方針だ。西日本だけが国鉄時代の「安全綱領」を投げ捨て、5項目のうち「4 安全のためには職責をこえて一致協力しなければならない」「5 疑わしい時は手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない」を削除。
 第4に、これらすべてを初代社長であり、「国鉄改革3羽カラス」の一人である井手のトップダウンで強行したのだ。
 井手は尼崎事故裁判で、安全の責任を問われて「経営は安全に責任をとる必要はない」と言い放った。JR西日本は尼崎事故の責任を一切とらないし、取るつもりもないのだ。

尼崎事故を清算し全面外注化

 北陸新幹線による並行在来線三セク化は、同時に、JR西日本が全面外注化・非正規化に突き進むものとなる。3月27日の尼崎事故に関するJR西日本3社長裁判の高裁判決をもって、JR西日本は、尼崎事故を居直り清算し、JR西日本の「原点」である外注化・非正規化、専制的労務支配に舵を切ろうとしている。
 JR西日本は、尼崎事故直後に、「安全性向上計画」(5月31日)を出し、「2008年中期計画~見直し」「安全基本計画」(2008~2012年)などの中期計画を策定し、今日的には「中期計画2017」と引き継がれている。
 中期計画に貫かれているのは、事故の核心的原因である外注化・非正規化を改めるのではなく、外注化・非正規化を進めながら、「グループ会社一体で」と称する「リスクアセスメント」運動(これ自身偽装請負だ!)で安全を確保できるとしていることだ。外注化・非正規化を進め、指揮命令系統をズタズタにした。事故はますます多発している。そして15~17年へ、全面的外注化・非正規化に大転換しようとしているのだ。
 JR西日本は12年12月、機構改革を行い「近畿統括本部」を立ち上げた。「『車両・施設・電気』が統括本部直轄に一元化」され、現業の外注化に打って出る体制としての統括本部であることを打ち出している。尼崎事故のくびきから抜け出すために「安全基本計画」の総仕上げを図り、近畿圏で「稼ぐ」に再び突き進もうとしたのだ。
 同時に、近畿以外の各支社で要員削減・外注化・非正規化を強行してきた。すさまじい勢いで要員を削り、設備を削ってきた。実際に、要員と遮断機を付けなかったことで、多くの乗客の命が奪われてきているのだ。
 近畿統括本部との最大の攻防は、検修全面外注化だ。11年6月、JR西日本は、組織再編として、電車区の配置換えを行った。運転士と研修係を分離して、検修係を総合車両センターの下に置いたのだ。吹田工場や網干車両センターの外注化と一体で、検修全面外注化が狙われている。
 いよいよJR西日本の外注化・非正規化との決戦が始まる。 この闘いは、動労西日本を先頭に動労総連合が立ち向かい、青年労働者と団結して、JR労働運動の主流派になっていく決戦だ。全国に動労総連合をつくり、JR体制打倒の闘いとして勝利する。