闘う合同一般労組(鈴コン本)は戦闘宣言と展望を示している

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0310号07/01)(2016/01/01)

闘う合同一般労組
『非正規が闘って、勝った!』(鈴コン本)は全国協の戦闘宣言
鈴コンの闘いは非正規労働者の希望と展望を示している

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)

 昨年の闘いは東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の解雇撤回・職場復帰の闘い、故田口組合員の解雇が不当労働行為だと認定させる闘いと、さらなる職場での闘いの勝利を基軸に『非正規が闘って、勝った!』の出版、合同・一般労働組合建設・交運連絡会における、小竹運輸グループの闘い、さいたまユニオン大石運輸分会の闘い、東部ユニオン吉崎製作所分会の会社解散・全員解雇攻撃との闘い、群馬合同労組中央タクシー分会の闘い等、さらに全国で組合解体攻撃と激烈に闘いながら全国協でしかできない闘いを切り開いてきた。
 他方、動労総連合の闘いがあり、「動労総連合を全国に」の闘いは、新自由主義の外注化・非正規化攻撃と真正面から激突してきた。日帝・安倍政権は動労千葉を解体し、国鉄闘争を終わらせ、もって労働運動総体を解体し、産業報国会への道に突き進もうとした。連合のような労働組合の存在をも許さない、UAゼンセンのような徴兵制賛成・改憲賛成の「労働組合」ならざる組織を育成することに力を投入してきた。しかし、国鉄闘争は6・30の攻撃を打ち破り、新たな出発を開始した。
 合同・一般労働組合全国協議会は動労総連合と並ぶ車の両輪として2016年決戦に突入しようとしている。
 12月10日ハンサンギュン委員長が記者会見を開き、以下を声明の結びとして発表した後で警察に出頭し、新たな闘いに突入した。
 「監獄の中ででも、労働改悪阻止ゼネスト闘争勝利の便りだけは必ず聞きたいです。勝利できるし、勝利しなければならない歴史的な闘争です。私は、誰より組合員同志たちを信じます。現場で民主労総を守っている誇り高き民主労総組合員の同志たち! 愛しています! ゼネスト闘争勝利で、2千万労働者の生存権を守りましょう。闘争!」
 ハンサンギュン委員長声明、民主労総声明は感動的な戦闘宣言だ。動労千葉国際連帯委員会は16日の民主労総のゼネストの日に13時から韓国大使館抗議行動、全国労組交
流センターと全学連は18時30分に代々木公園に結集し集会・デモを闘い抜いた。民主労総ゼネストと連帯し、朝鮮侵略戦争阻止・改憲阻止へ組織強化拡大を勝ち取ろう!

ブラック社労士とブラック企業が一体の「一億総活躍国民会議」

 「愛知県の男性社会保険労務士が自身のブログで、会社や上司が対応に苦慮する社員を『モンスター社員』と認定し、うつ病に追い込むなどして解雇する方法を指南していた。低賃金・長時間労働で労働者を食いつぶす『ブラック企業』が社会問題化する中、ブラックノウハウの提供さえも商売に」「モンスター社員をうつ病に追い込め。自殺したらうつの原因と死亡の因果関係を否定する証拠を作っておく」(東京新聞12月10日)と書いてブログが炎上した。
 こういう動きと一体で「一億総活躍国民会議」は、「株式会社アイエスエフネットライフ」のような生活困窮者、障害者を最低賃金で使うブラックビジネス、特に精神障害者をIT部門で搾取する新手のビジネスを前面に押し出している。
 株式会社アイエスエフネットライフの高橋が会議に提出した第2回会議(11・17)資料でこの会社の概要を知ることができる。この会社の渡辺という社長は、稲森和夫の盛和塾出身である。グループ連結社員合計は3183名で、2000年1月に設立した会社だ。「5大採用30大雇用」をスローガンのように掲げている。ニート・フリーター、ひきこもり、ワーキングプアなどを5大と称し、30のうちには難民、軽度障害者、DV被害者、ホームレス、感染症、麻薬・アルコール中毒患者、犯罪歴のあるかた、難民……などと書かれている。障害者専門人材紹介、総合支援法に基づく就労支援サービスを行うことをメインにしている。
 自治体の外注化・非正規化に障害者から究極的に搾り取るブラックビジネスがアメーバーのようにその一角を占めつつある。アメーバー戦略が稲盛の経営哲学だ。資本が労働者を鬱病に追い込み、就労支援A型で最低賃金で働かせようというのだ。これが安倍の「新3本の矢」の正体だ。

非正規労働者の誇りと闘い方を生み出した鈴コン闘争

 鈴コンは3か月雇用の非正規だが、反復雇用されることにより期限の定めのない労働者である。正規・非正規は名目の問題ではなく、労働実態を含めて考える必要がある。その意味で名目上の非正規は4割であるが、実体的非正規はもっと多い。正規だからと過労死を強いられる現実は「正規雇用」とは言えない。
 群馬合同労組中央タクシー分会のような雇用形態がそれだ。正規なのだから我慢して働け、正規なのだから残業もあらゆる理不尽も引き受けろというあり方はすでに「正規」ではない。郵政等で導入されている「準正社員」は正規雇用か。名前に正社員とついているが、まさに非正規だ。
 小竹運輸は名目は「正規」だ。しかし、基本給だけだと最低賃金を下回り、しかも日給月給制であり、日雇いと変わりはない雇用形態である。
 つくばトランスポートやK―ロジテック、トランスーコの労働者は、組合対策で全員が1年の有期雇用にさせられた。しかし賃金は40万円と、かつての小竹運輸の賃金と変わりない。過労死するような長時間労働で得ている賃金であり、決して高くない。基本給は最低賃金を割り込んでいるからだ。
 正規ではないのに正規と思い込まされ、あるいは非正規だから闘えないというあり方を転換したのが鈴コン闘争だ。
 非正規雇用の労働者は3か月、半年、1年、3年という有期雇用。派遣労働、時短労働。これらの複合形態の雇用と低賃金構造の中で長く働くことができない。労働組合に結集して闘うことができないと思い込まされている現実がある。労働組合に結集すると雇い止めにあうという恐怖から労働組合に結集できない。
 しかし闘えば勝てることを鈴コンの闘いが示した。『非正規が闘って、勝った!』は非正規労働者に限りない勇気を与え、労働組合に対する結集と闘いへの決起を呼び起こすものとなる。「絶望の非正規」ではなく希望と展望を指し示している。合同・一般労働組合全国協議会の路線を体現したのがこの本である。
 『非正規が闘って、勝った!』は、非正規労働者こそがゼネストの先頭に立てるし立つんだという、非正規労働者の誇りを打ち立てる非正規労働者の新たな戦闘宣言だ。