産別・戦線の闘い第9回 自治体労働者の闘い―公務員総非正規職化の制度を許すな

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0335号06/03)(2018/02/01)

産別・戦線の闘い 第9回 自治体労働者の闘い
―公務員総非正規職化の制度を許すな!―

(図 非正規公務員は労働組合法の適用からはずされる【朝日新聞より抜粋】)
(図 総務省の資料―「会計年度人用職員」導入のスケジュールと位置づけ)

2020年4月実施会計年度職員制度を弾劾する

 本年4月1日の無期転換問題と並んで焦点になるのが会計年度任用職員です。
 2017年5月に地方公務員法・地方自治法が改定されて、2020年4月実施で「会計年度任用職員」という採用類型が新設され、「臨時職員」「特別職非常勤」「一般非常勤」などの非正規の事務職員を、これに統一することとなりました。
 従来、臨時・非常勤職員は、臨時的・補助的にのみ用いられるという建前でしたが、実際には全国の自治体職員の3割を超えるのが現実です。正規職員が退職したことに伴って、正規職の代わりに臨時的任用職員が置き換えられ、1年更新を繰り返して、臨時的任用職員が恒常的な職員となっていったのです。その多くが自治体の基幹的業務を担っています。ある調査では、全国の自治体で、事務補助職員が約10万、教員・講師が約9万人、保育士が約6万人など、臨時・非常勤職員は約64万人います。
 「会計年度任用職員」の新設は、臨時・非常勤職員の雇用の安定や処遇改善にその目的があるのではなく、非正規公務員の身分のまま、公然と恒常的・本格的な業務に充てることにあります。
 任用期間は、その名の通り会計年度の末日までの最長1年です。一般職なので人事評価の対象にもなります。
 フルタイム型とパート型に2区分され、所定時間が1分でも短ければパートに区分されるのです。
 両者は給与体系がまったく違います。フルタイム型は、生活給としての給料と扶養手当や退職手当など各種手当が支給できるとしています。パート型は、報酬と費用弁償に加えて、6か月以上の勤務者には期末手当のみを支給できます。手当は条例が必要です。
 総務省は、「任用の更新ではない」「新たな職に改めて任用された」というスタンスを強調しています。総務省は、会計年度任用職員という名称は、「新たな任用」と言いやすいと考えているのでしょう。
 しかし、なぜ同じ労働者が何年も働き続けるのでしょうか。そこに恒常的な業務があり、その労働者が必要な経験や技術、知識が蓄積しているからです。「新たな任用」論は詭弁以外のなにものでもありません。
 また公務員は、雇用ではなく任用という理由で労働契約法やパート労働法も適用されません。だから無期転換や雇用期間を長くすることを規定する法律もないのです。パート労働法も非適用です。
 会計年度任用職員は、毎回の任用のたびに、その採用はすべて条件付きとなります。その期間は1か月です。つまり会計年度任用職員は、再度任用されるたびに、1か月の試用期間が設定されるのです。初回の試用期間も不愉快ですが、毎年4月に試用期間が設定されるというのです。従前、一般職非常勤職員は、更新すれば身分保障と審査請求ができました。実務上も気持ちの上でも本当に不条理です。
 総務省は、会計年度任用職員は空白期間を置かない運用ができると説明しています。しかし、常勤の会計年度任用職員が空白期間をおかずに6か月を超えて雇用されると、退職手当請求権が発生します。だからあの手この手で空白期間をつくる動きは続くのです。
 パート型については兼業を自由化すると言います。低賃金なのでダブルジョブで稼げということなのです。
 しかも会計年度任用職員は、対象が約20万人ですが、労働組合をつくって交渉する労働基本権を奪われる恐れもあります。
 この重大な攻撃が「非正規にも一時金支給へ」「期末手当や扶養手当などの各種手当が支給される」と「待遇改善」だけ報道されています。しかし、核心は公務員の総非正規職化攻撃です。正社員と同じ仕事をしながら、正規職と比べても賃金は3分の1で、手取12万円くらいの低賃金というのは変わらないのです。「会計年度職員」という新たな任用制度(雇用制度)を導入することで、今後、正規職員は大幅に削減され、幹部クラスを除いて一般職員は、会計年度職員に一本化されていく攻撃です。安倍政権が進める「非正規という言葉をなくす」=非正規の標準化の攻撃なのです。無期転換問題と合わせて本気で立ち向かわなければならない課題です。
 (ちば合同労組ニュース記事に加筆)

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