闘う合同一般労組 山陽測器解雇撤回闘争

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0340号18/01)(2018/07/01)

闘う合同一般労組
「働き方改革」との最前線の闘い―山陽測器解雇撤回闘争

パワハラ、ロックアウト解雇と闘い、解雇撤回闘争に勝利の展望

広島連帯ユニオン

山陽測器解雇撤回闘争の経過

 山陽測器は広島市西区にある測量機器のリースなどを行っている社員数40人くらいの会社です。M組合員はこの会社で13年間、事務職として働いていました。
 2014年3月11日、黒田部長はM組合員を呼び出し、「役員会で解雇することを決めた。理由は社長より遅く出勤することだ。辞める日は自分で決めて良い」という退職強要を行ってきました。この退職強要を契機に、Mさんは広島連帯ユニオンに加入し闘う道を選択しました。
 3月25日に組合員通告と団体交渉申入れを行いました。するとその日の夕方、黒田部長がM組合員を呼んで「組合を誹謗中傷」し、M組合員を組合から離反させようとしました。これは不当労働行為として争い、認定されました。その後、会社による取消訴訟へ発展しましたが、地裁勝訴、高裁で取消訴訟の取り下げという和解で、不当労働行為が確定しています。
 第1回目の団体交渉が4月9日に開催されました。会社は団交で「解雇予告通知書」を出し、4月末での解雇の通知を行いました。団交での解雇通知という許しがたい攻撃に、組合は撤回を求め、第二回団交では黒田部長の退職強要の録音の「本当の理由は社長より遅く来ることだ」という部分を示して、厳しく追及しました。その追及に耐えられなかった会社は、団交の場で解雇を撤回しました。解雇には何の根拠もなかったことが完全に明らかになりました。
 すると会社は報復的に春のボーナスを不支給にすることを行ってきました。組合が追及したところ、例年の半額だけ支給することになりました。これも不当労働行為として認定され、最終的に不当労働行為として確定しています。翌年春のボーナスの半額減額も和解で支払わせました。
 M組合員は、日常的に行われるパワハラと対決して闘い抜いてきました。ユニオンは、新たに広島中央支部を結成し、地域の組合員も参加して、国鉄1047名解雇撤回闘争や鈴木コンクリート工業分会の闘いに学びながら、M組合員との粘り強い論議を行ってきました。その論議の中から組合の主張を全面的に明らかにし、職場に仲間を増やすために社前闘争を開始することを決めました。
 そして2015年10月1日、山陽測器社前での第1回目のビラまきを行いました。それ以降、現在まで月1回の社前闘争を続けています。

「15分で出て行け」というロックアウト解雇

 社前闘争の開始と広島県労働委員会による不当労働行為の認定、そのマスコミ報道に追い詰められた桐木社長は、M組合員の解雇に踏み切りました。
 前回の解雇は「裁判に耐えられるだけの証拠がない」と撤回しました。そこで、解雇撤回の直後から社長を先頭に社員まで動員して日常的に「ミス」とも言えない些細なことを「ミス」として記録することを開始していました。会社は「報告書」と称した「膨大なミスの記録」を解雇の証拠として出してきています。
 「700件近いその報告書を金額に直すとどの程度になるのか」と裁判長が聞いたところ、総額で3万円の損失と会社は答えました。本当に許せないものです。
 極めつけは「M組合員を解雇して欲しい」という要望書の署名集めです。これは実は会社の自作自演であったことが判明し、現在、裁判での立証を準備しています。
 桐木社長は「社員の解雇の要望書に押されて」解雇を決め、2015年11月13日に「15分で荷物をまとめて出て行け」とロックアウト解雇を強行しました。
 解雇を受けて団結をさらに固め、社前闘争で不当解雇撤回を訴える活動を継続しながら、不当労働行為の申立て、地位確認仮処分裁判、地位確認の本訴と全面的に争いを開始しました。
 そしてついに2017年1月11日、広島県労働委員会で「解雇撤回・原職復帰」の組合側完全勝利の命令を勝ち取りました。しかし会社側は、広島地裁に命令の取り消しを求めて提訴。ユニオンは団結を崩さず、賃金仮払いの仮処分決定も勝ち取りながら、ついに今年2月27日広島地裁において組合側勝利の判決を勝ち取りました。現在、高裁での取消訴訟となっていますが、これも勝利は間違いありません。
 解雇撤回の本訴の方も、裁判長が取消訴訟で組合側勝利の判決を出した裁判長です。こちらも勝訴は間違いありません。原職復帰を目指した闘いはいよいよ大詰めを迎えています。

山陽測器解雇撤回闘争を「働き方改革」粉砕の大闘争にしよう

 改憲と「働き方改革」をめぐって労働組合の大再編が始まっています。昨年7月、UAゼンセン出身の連合の逢見直人事務局長が主導して、政府に「残業代ゼロ」法を容認することが発表されました。現場のものすごい抗議ですぐに撤回に追い込まれました。
 今年9月にはUAゼンセンが改憲賛成の提言を出すと言われています。連合労働運動を「働き方改革」と改憲賛成に持っていこうとしているということです。これに対して現場では疑問や怒りの声が上がっています。労働運動をめぐる大再編が始まっています。今、多くの労働者が「働き方改革」という名の解雇自由・総非正規職化、パワハラ・過労死横行の職場の現実の中で苦闘しています。多くの労働組合活動家も「このままでは大変なことになる」と危機感を持っています。
 山陽測器解雇撤回闘争は、一企業の解雇問題にとどまらない、全ての労働者の未来と誇りをかけた闘いです。私たちは山陽測器解雇撤回闘争支援基金を立ち上げ、こうした労働者、労働組合の中に入っていって、展望を示し、新しい労働組合運動の枠組みを作りたいと思っています。
 山陽測器闘争は国鉄解雇撤回闘争や鈴木コンクリート工業分会の闘いに学び、初めから「解雇撤回・原職復帰」の路線を明確にして闘ってきました。この路線に展望があることに確信を持っていざ地域に打って出たいと思います。山陽測器解雇撤回闘争を地域全体の闘いに拡大すべく闘います。皆さんのご支援、ご指導を今後ともよろしくお願いいたします。

山陽測器解雇撤回闘争支援カンパ振込先
 01380―7―107090 (名称)山陽測器解雇撤回闘争支援基金