■闘う合同一般労組  いわき合同ユニオンは進撃する!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0298号06/01)(2015/01/01)
■闘う合同一般労組

争議勝利から解雇撤回闘争へ! いわき合同ユニオンは進撃する!

■除染労働者の賃金未払い争議に勝利!

 いわき合同ユニオンは元除染労働者の組合員の賃金未払い争議において、会社側の謝罪と解決金支払いを認めさせ、勝利的和解を勝ち取りました。原発・除染労働者の賃金・手当ピンハネの構造を執念深く解明し、当該組合員と一体となって団交で会社の不備と矛盾を追及し、ついに勝ち取った重大な勝利です。争議の中で組合員一人ひとりが討論と方針形成に主体的に参加する中で、団交をはじめとする闘争戦術に習熟し、何より組合の団結を一層強固なものとして、闘いの主導権を握り続けることで勝利を勝ち取りました。
 原発事故から4年を迎えようとする今、原発収束作業の現場に携わる労働者は当初の2倍を超え、原発と放射能との終わりのない闘いは続いています。労働者を被ばくから守り、不当な待遇を労働者自身の力で変えていく闘いの重要性はますます高まっています。今回の勝利を飛躍の糧として、被災地の現実と向き合い、さらに地域に根ざした闘う労働者の拠点としてのユニオンの成長を勝ち取っていく展望を開いていきたいと思います。

■組合一丸となり、YGK解雇撤回闘争の本格的発展へ

 新卒からわずか7か月で不当解雇となった組合員K君の解雇撤回を求める有機合成薬品工業(YGK)闘争は、10月31日の工場門前闘争から11月19日の本社抗議行動を経て、当該の青年労働者の解雇撤回にかける熱い情熱を切っ先として、さらなる闘いに突入しています。
 会社側の主張する「解雇理由」なるものは、誰の目にも不当極まるものであり、労働者としての人生を歩み始めた青年の生活と未来を奪うことは断じて許されないものです。
 2回の団交の中でYGK経営が示してきた解雇に至った経緯の中では、労働者に対する会社の技術指導責任が完全に欠落しています。
 技術に習熟できないのは個人の責任とし、ささいなミスや意思疎通の行き違いを捉えて「仕事のできない人間」「会社の指示に従わない者」と決めつけ、それらを一切の根拠として解雇を強行してきたのです。事実、K君は在籍中に一切の処分を受けていません。解雇に足る理由は一切存在しないのです。
 さらに、直接的な解雇の根拠として、会社は「試用期間中の解雇」について規定した就業規則を根拠としてきています。しかし、会社が具体的・合理的な理由を示すことができない今回の解雇については、試用期間中であるからと言って断じて認められるものではありません。そもそも、会社はK君に課せられた3か月の試用期間を一方的に延長し、その間も教育指導のあり方について検討・改善を怠っていたのです。
 労働者、とりわけ学校を卒業したばかりの青年は、労働現場の協同や助け合いの中で業務に習熟し、自らに課せられた任務を淡々とこなすだけでは不十分なこと、仲間に配慮しながら誰もが生き生きと働ける職場を作ることの大事さを学び、同僚や先輩から信頼を得ていく中で一人前になっていくものです。そこには労働者の階級的団結の萌芽が確実にあるのです。単なるマニュアルや手順書に沿って、あるいは上司の指示命令に黙って従う中に労働の誇りや喜びがあるのではなく、生きた労働の奥の深さや、経験と蓄積に裏打ちされた高度な技術を先輩から学ぶことを通して、自らと仲間が共に人間として成長していく中でこそ、「労働者こそが職場を動かし、社会の主人公となる存在だ」という自信と確信をつかんでいくものだと言えると思います。
 新自由主義はこれら一切の誇りと喜びを奪い、労働者の協同によって職場が動いている事実を圧殺し、そのこと自身をもって労働現場のみならず社会そのものを崩壊させようとしています。新自由主義の最先頭で外注化と労組破壊を進めてきたJR東日本とその外注会社において、過去最悪の労災死亡事故件数が発生している現実、何よりYGKのように労働者を一人前に育てることすら放棄する一方で、「個人の能力不足」を理由に解雇を強制するブラック企業が蔓延する現実こそが、もはや新自由主義が労働者を育てることすら放棄し、最後はすべて「自己責任」として死をも強制するという事実を示しています。

■労働組合こそ団結の学びの場

 労働者の団結、闘う労働組合こそが、新自由主義の現実に対して労働者が生きていく上でのかけがえのない「学校」であることを、私たちはこの間の闘いの中で学んできました。何も持たない労働者、さらには解雇によって生きるすべさえ奪われた労働者が、それでも生きていかなければならない苦闘の中で、仲間と団結することの大切さを学び、やがて勝利して帰るべき職場の中で、あるいは当面の自活
のすべとしてのパートやアルバイト労働の中であっても、団結を組織し、仲間と共に生きていく存在になっていくのです。先述の争議勝利を勝ち取った組合員もYGKとの団交に駆けつけ、「『チーム』として労働者を守り育てていく姿勢がないじゃないか!」と会社の無責任を激しく追及しました。その後の討論で彼は「ユニオンの中では時には激しい叱責もあるけれども、そこには現実の厳しさを見据えた団結がある。K君のような解雇された労働者が、仲間と団結することの大事さをつかむ上で、ユニオンは最高の学びの場」と話しました。
 衆院選過程での体制内勢力の総屈服、福島においては「オール福島」の幻想によって怒りを封じ込めていく策動に対し、私たちは鈴木達夫弁護士と共に衆院選を闘い抜き、何物にも代えがたい民衆の決起と革命の展望をつかんで勝利しました。
 「解雇は他人事ではない」情勢…だからこそ、労働者はもっともっと団結し、自らが団結を組織する道を本気で学ばなければならない。失敗や後退も糧として、最後には団結の強化拡大を最大の武器にして争議にも勝ちきるために、これからも闘い続けます。
 西納岳史(いわき合同ユニオン書記長)