産別・戦線の闘い 第7回 近畿トラック支部

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0333号05/01)(2017/12/01)

産別・戦線の闘い 第7回 近畿トラック支部

建設・交運労働者の闘い

近畿トラック支部との連帯・共闘とGTRの闘いと今後の展望

吉本 伸幸(合同・一般労働組合全国協議会代表、建設・交運連絡会議長)

教育、自治体、郵政、医療、合同一般など各産別の闘い、「労働者階級と諸戦線の闘い」を掲載しています。

 訪日した米大統領トランプと安倍を直撃し、11月5日「闘う労働組合を甦らせよう! 国鉄闘争勝利! 戦争と民営化・労働法制解体(働き方改革法案)に反対する1万人大行動」が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ4800人が結集しました。
 今回の集会は、前半12時から「全国労働者総決起集会」、14時からの後半を「改憲阻止!1万人大行進」として開催し、改憲阻止へ東京から全世界へ歴史的に訴えました。
 集会後は、15時から日比谷野外音楽堂を出発し、闘う労働組合の大挺団が東京の中心を霞ヶ関・銀座・日本橋とトランプ訪日厳戒警備の中、トランプや安倍政権に怒る人々が合流しながらデモを元気よく闘い抜きました。

■階級的労働運動を甦らせる決定的チャンスの時代

 トランプ・安倍の日米首脳会談は朝鮮侵略戦争発動に向けた戦争会談です。9条改憲と労働法制改悪攻撃、連合の崩壊・打倒情勢の真っただ中で11月労働者集会が開かれました。「闘う労働組合の全国ネット・ワークを」と掲げて始まった11月集会は今年で20回目を迎えました。日本の労働者階級が自らの力で階級的労働運動の再生を切り開き、戦争を阻止する闘いにうって出る歴史的出発点を築きました。朴槿恵(パククネ)を打倒し新自由主義の社会の大変革へ進撃する韓国・民主労総を始め、アメリカ、ドイツの闘う労働組合も結集し、労働者国際連帯こそ戦争阻止の力だと示しました。
 正午からの労働者総決起集会は、呼びかけ4団体(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合、国鉄闘争全国運動)と参加団体の旗の入場行進で幕を開けました。関生地区生コン支部の西山直洋執行委員、広島県安芸太田町議会議員の大江厚子さんが司会を務め、闘いの中で亡くなった同志たちの精神の継承を誓い黙祷を捧げました。
 関生地区生コン支部の大原明執行委員は開会あいさつで、「労働組合が労働現場で闘争を展開し成果を出すことで、労働者の結集をつくり出すことができる」と提起し、生コン価格を引き下げ、競争を持ち込む企業に対する関生地区生コン支部の闘いを報告し全国労働者集会の幕が切って落とされました。歴史的一歩の本集会の始まりです。

(写真 近畿トラック支部MK運輸分会と交流・激励)

■闘う労働組合の連帯・共闘が歴史を変え、闘う労働運動の再生が始まる!

 我々「合同・一般労働組合全国協議会 建設・交運連絡会(以下GTR)」は、11・5全国労働者総決起集会前から、全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部・近畿トラック支部・MK運輸分会(以下MK運輸分会)が、職場で無期限のストライキに突入していると聞いていました。GTRとして、同じ運転手であり、職場で会社と激突している労働組合として、関西のことでは済まされない事態だと直感しました。
 同じ建設・運輸で働く運転手、闘う労働組合として関東からもMK運輸分会と連帯・共闘をしなければならないと強く思っていました。GTRとして先ずは何をするべきか。GTRは所属する労働組合全員に登録して貰い、メーリングリストで、我々は徹底的に話し合いました。今直ぐに出来る支援と共闘は何か。その結論は、11・5全国労働者総決起集会で関西地区生コン支部と近畿トラック支部に支援と連帯の気持ちを込めて檄布を渡し交流することから始めようとなりました。関西地区生コン支部武谷新吾書記次長に電話し、「同じ運転手であり、闘う労働組合として、近畿トラック支部と集会当日に交流をさせて下さい」と話しました。武谷さんは、「集会後は直ぐに関西に帰りますから、交流会は出来ませんが」と言われましたので、本集会前での話だと説明し、了承をもらいました。檄布の話はこの時にはしていません。あくまでサプライズとしたかったからです。
 集会当日、我々GTRの仲間が檄布を二枚(関西地区生コン支部と近畿トラック支部MK運輸分会)用意し書き込み、集会参加者にも協力していただき激励の言葉を書き込んでもらいました。集会前には、関西地区生コン支部の大原明執行委員と近畿トラック支部MK運輸分会清水隆圭書記長とGTRを代表し、鈴木コンクリート工業分会と小竹運輸グループ労働組合で初対面で話すことが出来ました。
 本集会の「各産別からの闘いの報告と決意」で、連帯ユニオン近畿トラック支部の発言後、GTRが全員登壇し、関西地区生コン支部宛と近畿トラック支部MK運輸分会宛の二枚の檄布を清水書記長に手渡しました。
 その後、控え室でGTRとMK運輸分会清水書記長と30分くらいの話し合いが出来ました。自己紹介、GTRの闘い、トラック業界の現実と労働組合潰し、今後の支援と連帯での共闘等々、とても全てを語ることは時間的に難しかったのですが、短時間でしたが集中して本音の話が出来たと思っています。
 MK運輸分会にかけられた組合破壊攻撃は、全国のトラック業界で起こっている現実で、職場に労働組合を作らせない、会社に刃向かわせない攻撃です。絶対にこんなことを許すことは出来ません。全国の運転手を働きながら殺していくことになります。次回は必ず闘いの現地で会うことを約束し、GTRとMK運輸分会との連帯と共闘の会議が成功し、新しい団結と闘いが始まりました。
 なお、本集会のハードなタイムスケジュール中に演壇で、GTRの「サプライズ」に快く承認し時間を割いていただいた事務局の皆さんと動労千葉の田中康宏委員長に心から感謝申し上げます。檄布サプライズは大成功し近畿トラック支部MK運輸分会との堅い団結が結ばれました。ありがとうございました。
 さて、全国労組交流センターの仲間は、GTRとは何だろうかと不思議に思われるかもしれませんので、ここで簡単にGTRについて説明をさせてもらいます。始まりは、鈴木コンクリート工業分会、小竹運輸グループ労働組合、吉崎製作所分会の3労組での首都圏交運連絡会(首交連)からスタートしました。その闘いの発展からGTRへと進化をしていきました。現在GTRは、鈴木コンクリート工業分会、小竹運輸グループ労働組合、吉崎製作所分会、大石運輸分会、野崎興業分会、クリエート分会、群馬中央タクシー分会、群馬バス分会、タイヘイ物流システム分会の9組合(合同・一般労働組合全国協議会所属)から構成する動労千葉派・交流センター派の闘う労働組合です。
 どの組合も、解雇攻撃、団結破壊、乗務はずしなどの不当労働行為を受け、やくざまがいの労務担当から一人ひとりが攻撃を受けながら、団結を強化・拡大して、今日まで闘いぬいてきています。すばらしい仲間たちです。その闘いの内容一つひとつを取り上げて説明するのは紙面上不可能ですので申し訳ありませんが、各ユニオン等のブログ・ホームページを参照してください。

■ストライキから闘う労働組合の連帯・共闘で、2018年労働組合の全国制覇へ

 現在もMK運輸分会は、命をかけて無期限のストライキを行っています。
 長時間労働と低賃金、過労死と非正規職化はトラック・運転業界だけに限らず全ての職種に共通する問題だと思います。特にトラック・運転業界は、運転時間・残業時間と休憩時間が驚くほど曖昧にされています。賃金規定もあって無いに等しいものです。確かに夜通し走り、眠る時間を削っての長距離業務は稼げるような幻想を抱く人もいると思います。
 しかし、ここには大きな落とし穴があるのです。過労による事故と過労死が多数生じています。先ず労働基準法での1日8時間、週40時間の労働時間と36協定での残業時間です。びっくりするほどここも曖昧にされています。それでは運転業務と残業時間はどうなっているのか。早朝、深夜の早出や残業時間は? 荷下ろし待ちでの待機時間は? 倉庫や工場、現場に入って待機できない場合は、道路での長時間荷下ろし待ちとなりトラックを離れられない。休憩時間は? 運転手の時間が一目でわかるものは「タコ・メーター」という記録紙(チャート紙)だけです。全てにおいて会社が独自の規定と判断で「賃金・労働・残業・待機・休憩」を決めています。いとも簡単に違法・不法がまかり通る業界です。
 運転手のなり手が無く、運転手の高齢化・長時間労働・低賃金・過労死がここに来て社会問題となって取り上げられるようになりました。しかし、なんの解決策にもなっていません。  会社は競争を煽り、金儲けを第一に掲げて、無責任にも運転手の生活や命・怪我や事故等は自己責任として逃げています。 根本的にここを会社に闘いで強制できるのは「労働組合」だけです。
 労働組合の団結破壊の目的で共謀罪が成立しました。戦争と改憲、労働法制の大改悪で労働者を個別・分断してきています。
 GTRはトラック・運輸業界だけでなく、MK運輸分会のように徹底的に職場で闘い、ストライキからゼネストへ、点から線へ、線から面へ、全国全産別の労働者と団結し労働者、闘う労働組合の全国制覇へと前進していきます。GTRの前進と拡大は、合同・一般労働組合全国協議会の発展と一体です。
 2017年12月を闘う労働組合の復権をかけて闘い前進していくことこそが、2018年の春闘を迎え撃ち、新たな年での新たな社会の革命への闘いの始まりだと確信しています。闘って各組合の団結と組織を強化・拡大していきます。闘えば社会を変え、歴史を自分達の手で塗り替えることが出来ます。労働組合が闘えば勝利する! 今を闘い、社会を我々の手に奪い返していきましょう!
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清水隆圭さん(全日建運輸連帯労組近畿地区トラック支部MK運輸分会書記長)

 私たちMK分会は約4年前に組合を結成し、数々の問題を抱えた会社に対し、過重労働、未払い賃金等さまざまな問題に対し、会社代理人弁護士と誠実なる団体交渉を行ってきました。しかし、社長の喜夛(きた)守は逃げ回り、代わりに顧問と称し反社会的勢力を介入させ、労働者のわれわれの分会長を恐喝・脅迫・組合脱退強要をし、数々の不当労働行為を働き、われわれの組合つぶしを仕掛けてきました。このような行為はけっして許されることではなく、われわれは最後まで闘うことを決意し、団結の力によりこの争議を解決するために、連帯労組、他労組の方の力添えも得、今現在、24時間のストライキを決行中の分会です。
 また会社側は悪徳労務士を介入させ、結成当時にわれわれ労働組合と会社側とが協定書を結び、未払い賃金等の一部支払いを求め団体交渉に臨みましたが、会社側はその協定書を一方的に反故にし、悪徳労務屋はわれわれの行動を監視し組合つぶしをしてきました。今から340日前に、われわれの分会長への襲撃事件が起こりました。早朝6時過ぎに分会長が会社敷地内駐車場に帰ってきたところ、数名の暴漢によりトラックから引きずりおろされ、全身打撲、肋骨3本骨折という重傷を負わされました。そのような暴力的な行為に対し、われわれ労働組合がけっして負けることのないよう、その日より無期限ストライキを決行しました。今現在も私を含め10人の分会員は、24時間、今この時も闘っているんです。お集まりの皆さん、覚えておいて下さい。奈良の片隅で24時間ストライキをし、最後まで闘おうと団結し、今現在も闘っているんです。
 われわれ労働者がストライキ権を行使するのは苦渋の決断なんです。しかし、この運動を遂げることにより日本全国の労働者の皆様に必ず波及すると思い、最後まで闘いぬくことを決意してここに来ました。われわれはこの運動に関し、MK運輸だけの問題ではないと考え、この先、5年先、10年先の労働者の苦痛を考え、最終的には労働者の底上げ、格差社会で少しでも格差をなくすよう団結して頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
 (11・5労働者集会の発言)