『国鉄分割・民営化と闘って30年』を読んで

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0333号08/01)(2017/12/01)

『国鉄分割・民営化と闘って30年』を読んで

『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで

社会を動かしている労働者にこそ、この社会を変える力がある

河野 晃興(自交総連SKさくら交通労働組合委員長)

 社会を動かしている労働者にこそ、この社会を変える力がある。そのことを形にするために労働運動の変革こそが、今最も問われている中心課題だ。それがこの本の主題だと思います。

動労千葉の団結

 「要求で団結」という従来の運動思想とは全く違うもの(田中委員長)。「階級的労働運動の立場」を掲げる労働組合はあっても、現実を前にした時に、あらゆる勢力が新自由主義の前に立ちすくみ、為す術なく後退した。動労千葉の闘いの歴史と経験の中にこそ、この時代に通用する労働運動の生きた教訓が有ると信じている(田中委員長)。

反合・運転保安闘争路線の確立

 三河島事故当時の労働運動が「立ちすくんでしまう」地点で、全組合員の力を結集した非妥協的な闘争を組織する立場を確立することが問われ、どんなに小さくとも、現場の組合員の闘いがすべてを決めるという確信にたった実践として船橋事故闘争が取り組まれた。「受け身の反合理化闘争のあり方を、攻めの反合闘争に転換することができると思った」(中野洋前委員長)。資本の支配の下にある困難の中で、具体的で実践的な闘いの路線が必要であり、抽象的な一般論は何の役にも立たなかった。
 さらにジェット燃料貨車輸送阻止闘争では、組合員の意識が大きく変わり、5人が不当解雇されても団結は全く揺るがなかった。闘うことを通して、労働者の団結がどんどん強くなっていき、その力が情勢と噛み合っていくことを学んだ。

国鉄分割民営化反対闘争

 国労は、「マル生」以降「労働組合はいかにあるべきか」を意識的に問い、自ら決断して現実の闘いに組み立て、組合員の力を結集して情勢を切り開いていく経験をほとんどしてこなかった。この間の国労本部と動労千葉の経験は天と地ほどの差があった。闘いの最後の決断の拠り所は、作り上げてきた組合員の団結への確信であった。その闘いは国鉄分割・民営化の大陰謀の真実をついに暴き、民主労総やILWUとの国際連帯の闘いへとつながった。

外注化阻止・非正規職撤廃闘争

 非正規職化は、外注化に対して労働組合が有効な反撃を組織できなかったことによって生み出された。「労働者が非正規に突き落とされていく過程に対し闘いを挑んだ例は全く無い」中でJR本体の労働者の真剣な闘いが外注先のCTSの労働者の気持ちを捉えた。
第2の国鉄分割・民営化
 JR北海道に見られる地域社会の崩壊。JR東の「水平分業の深度化」は「働き方改革」そのもの。民営化が生み出したものは豊かな社会などではない。
 戦争と改憲、連合の分裂と崩壊は必ず労働運動再生への新たな条件を生み出す。学校も病院も、何もかもが撤退していく、その時に鉄道や自治体、教育、医療、福祉、郵政などの労働者が中心に座って職場の闘い、地域の怒りの声を一体で組織すれば労働運動は再び甦る。だからこそ我々は「動労総連合を全国に作ろう」と新たな挑戦を始めた。この本を読み、労働運動の拠点建設へ全力をあげよう。

レポート,記事0333

Posted by kc-master