韓国民主労総 11・21ゼネストへ 動労千葉訪韓団として共に闘った

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0345号02/03)(2018/12/01)

韓国民主労総 11・21ゼネストへ 労働者大会に6万人! 動労千葉訪韓団として共に闘った
※11・10~12訪韓闘争報告 片峯 潤一(動労総連合書記)

(写真 民主労総と共にデモ行進する動労千葉訪韓団)

 11月10日、韓国・ソウルで民主労総全国労働者大会が開催され、6万人が結集しました。90人を超える動労千葉訪韓団は、民主労総ソウル地域本部とともに11月10~12日の訪韓闘争を闘いました。

●11月10日 労働者大会

 労働者大会は、「積弊清算・労組する権利・社会大改革」を掲げる11月ゼネストを宣言する場として闘われました。
 労働者大会は、パククネ政権を打倒して力関係を大きく転換した中で闘われました。集まった労働者たちは自信に満ち、エネルギーにあふれています。組合旗入場では、集まった労組の旗が演壇に向かって次々に連なっていきます。ビデオ通話で、高空籠城を闘うファインテック、全州タクシーの仲間とつなぎ、闘争現場と一体で闘われました。
 デモ行進は光化門に向けて進み、大統領府である青瓦台を包囲していきました。パククネ政権を倒すロウソク革命に至る過程であった一昨年は、青瓦台に至る前に警官隊がバスを並べて阻止していたルートです。今年は、沿道で律動隊が踊り、デモ隊を鼓舞するなど解放的な雰囲気で最後までデモが行われました。闘いによって切り開かれた地平を象徴しているようです。
 一方で、労働者から搾取や収奪を続けてきた財閥をはじめとした勢力の力が完全に失われたわけではありません。ムンジェイン政権は、労働者・民衆の闘いによって成立したにもかかわらず、公共部門の非正規職労働者の正規職化など労働者の権利に関する公約を守ろうとしていません。それどころか最低賃金法の改悪など、労働改悪を狙っています。
 韓国・民主労総は労働者大会で11月ゼネストを宣言し、新たな闘いを開始しました。闘いによって切り開いた新たな課題に挑戦し、世界の労働者階級の先頭で闘いぬいています。

●11月11日 闘争現場訪問

 11日は、2か所の闘争現場を訪問しました。はじめに訪れたのは、金属労組ファインテック支会の高空籠城現場です。
 ファインテック支会の2人の組合員は、約1年にわたって煙突の頂上に籠城し、高空籠城闘争を続けています。前身の会社では復職をかちとりましたが、ファインテック社は事業を引き継ぐ際に、労働者の雇用、労働組合、団体協約を継承するという約束を守りませんでした。そして、パククネ退陣に向けてストライキを闘っている間に、工場から機械などを引き払ってしまいました。
 闘争現場周辺には、「キム・セグォンは約束を守れ」といったスローガンのほかに、労働悪法の廃棄や、ヘル(地獄)朝鮮の根源として守旧政党、国家情報院、独占財閥の解体を求める横断幕が貼られています。
 この高空籠城闘争に対して、裁判所は1日あたり100万ウォンの罰金という決定をしています。支会長は、「なぜ高空籠城しているのか理解もせず罰金だけを押し付ける。これが今の韓国社会の現実だ」「私たちが工場に戻れても同じことがまた起こる」と語りました。困難な中でも自分たちの権利を守ることと社会のあり方を変革していくこととが、一つにつながって闘われています。
 その後、解雇者の復職を求める公務員労組の籠城現場を訪問しました。青瓦台の間近でテントを張り、90日を超えて闘われています。
 ムンジェイン政権は発足時、公務員の解雇者復職を公約していました。しかし、いまだに約束は守られないままです。その中で、翌日に労働者代表と政府側の代表との間で復職をめぐる交渉が開始されることが報告されました。公務員労組の仲間は、「闘いによって政府を交渉のテーブルに引き出した。現場に戻ることができれば、動労千葉の同志たちにもいい知らせを伝えることができる」と闘いの展望を語ってくれました。
 公務員労組は、毎年のように日本の11月集会に参加している組合です。闘争現場でも訪日団の方々と再開し、訪韓団から自治体職場で同僚の解雇撤回を闘う仲間が連帯と激励のあいさつを行いました。動労千葉と民主労総ソウル地域本部との間で築き上げてきた、現場で闘う労働者同士の国際連帯を実感する場にもなりました。

(写真 日韓理念交流後に記念撮影)

●11月12日 理念交流

 12日には、民主労総ソウル地域本部で韓日理念交流が行われました。はじめに、日本側からは群馬合同労組の清水彰二委員長が「働き方改革」について報告しました。その後、韓国側からは、元民主労総政策企画室長のキム・ジャンホさんが「板門店宣言の意味と課題」と題して講演されました。
 質疑応答では、同一労働同一賃金について質問があがりました。「賃金格差是正」のような形態をとって、これまでの正規職の賃金破壊に利用しようとしている実態などが討論されました。逆に、「待遇差の理由があればいい」という形で、非正規職との格差を固定化するものでもあります。民主労総の仲間は、韓国でも「同一価値労働・同一賃金」が掲げられる中、その危険性を伝えていきたいと発言されました。日本で行われた労働者への攻撃が、韓国でも行われることが繰り返されてきた中で、日韓の労働者が、互いの現状を共有しあうことの重要さが改めて確認されました。
 歓迎会では、今年の11・4労働者集会に参加した訪日団からも、公共運輸労組、公務員労組、言論労組などの仲間が駆けつけ民主労総傘下の様々な組合が参加して、動労千葉訪韓団を暖かく歓迎してくれました。
 初めて日本を訪れた多くの仲間が、韓国でも動労千葉への熱い連帯を表してくれています。それは、私たちが11・4労働者集会で挑戦していることの可能性を感じさせてくれました。
 この切り開いた可能性を現実の運動に結実させ、労働運動復権に向けて闘うことが民主労総の仲間に応えることだと思います。韓国で得た経験と力を、日本において活かしていきたいと思います。

特集0345

Posted by kc-master