地平線 徴用工問題 労働組合にとって真正面の課題だ

2020年2月4日

月刊『労働運動』34頁(0357号05/01)(2019/12/01)

地平線 徴用工問題 それは労働組合にとって真正面の課題だ!

(写真 11・3東京駅丸の内の三菱重工本社前で弾劾闘争)

斎藤 俊法(全造船三菱広機分会 執行委員)

「戦犯企業・三菱は謝罪と賠償を行え!」。11月3日東京駅丸の内一帯に労働組合幟旗・労働者の怒りの声があがった。
丸の内一帯は、戦犯企業のビルが林立する場所で三菱重工ビルもあり、久方ぶりに三菱広機分会幟旗があがった。社会党村山連立内閣以来である。社会党村山連立内閣の時、「政権政党だから抗議行動はもっての他! 省庁交渉にしろ!」とのことで、各本社ビル内の一室に人数制限されて「制度政策要請行動」となっていた。
しかし今回の行動はこれまでとは異なり日本の労働組合ができなかった強制連行(徴用工))関する行動で、しかも来日中の韓国、ドイツ、台湾、そして日本の労働者が共に決起し、国際連帯で闘われたのだ。

◆徴用工の請求権は失われていない

徴用工に関し当日発言できなかったことを補足させて頂きます。
徴用制度は、1939年から国の発令の元に実施され、2種類あり一般徴用と強制徴用で、実際には、強制労働(重労働12時間)させられたのだ。しかも炭鉱・隧道の掘削、道路など建設、侵略兵器製造工場にまわされたのだ。10畳の部屋に約12人の割合で木造の簡易飯場に収容され、食事・作業衣類も満足に与えられていなかったのだ。
戦時中、広島・長崎は日本でも有数の軍事都市で三菱重工の工場が3工場あった。そこで日夜侵略兵器を製造させられていた。日本帝国主義の朝鮮植民地支配の被害者であり、二重三重の被害を受け続けてきた上に原爆で4万人が爆死し、3万人が被爆し、戦後解放され祖国に帰還される。被爆後の治療もろくに受けられず、これまで働いた給料の半額が天引きされた給料も受給されずがままに、ほぼ強制帰還されたのだ。
強制徴用工の被害者の請求権が失われることはありません。被害者と家族にたいして誠実な謝罪を政府・三菱重工はすべきです。ところが、安倍政権は強制徴用・強制労働はなかったとデマ宣伝をし、むしろ徴用工問題を機に排外主義を煽って改憲に突き進んでいる。三菱重工も強制徴用への関与を否定し、日韓請求権協定で解決している、そうした立場を崩さない三菱重工は許されない。
日韓請求権協定は誰と誰が協定を結んだのか。日本政府と韓国政府と協定し、むしろ日本政府は韓国政府に「徴用工運動の当事者を弾圧せよ」とせまった協定ではないか。これは三菱の会社対徴用工労働者の問題であり、労働者と労働組合が取り組まなくてはならない問題なのだ。
三菱重工は8年前から軍需生産体制強化のため、事業部(事業所)制度を廃止してドメイン制度―「航空・防衛・宇宙」、「パワー」、「インダストリー&社会基盤」―に移行した。民間商船からの撤退や分社化・外注化などの合理化が強行され、社員数は、三菱重工合併時8万人が一昨年の社員数は1万4700人、統括主幹(管理職)6000人、事務職4000人、監督職3000人、現場技能職1700人となって、もはや製造業の体を成していない。三菱の元社員は、こんな経営では〝黒字は無理だ〟、〝東芝の二の舞だ!〟と会社を非難している。
2017年度の各ドメインの赤字額総計は1兆1千億円以上で、内部留保額とほぼ同額である。しかも株主配当は、昨年1株120円から180円に引き上げ株主には大サ ービスの経営です。取引会社に対しては赤字でも金は出すが、労働者の細やかな要求は金は出し渋る、こんな会社と社会は、こりごりだ。
労働者は闘う以外に展望は出てこない。安倍の戦争政治と改憲を阻止しよう! あらゆる資本と闘い労働者の国際連帯の力を結集し全世界の労働者の解放を勝ち取ろう!

地平線

Posted by kc-master