コンビニ関連ユニオンは元旦ストライキに決起!   東大阪の松本オーナーへの「契約解除」との闘いは大闘争に!  

『月刊労働運動』2020年2月号掲載

 

 

「24時間365日営業」のコンビニ経営の転換

2019年は、「24時間365日営業」が当たり前だったコンビニ経営のあり方への根底的批判を作り出すことに成功した。新自由主義が開始さた1980年代当時は「24時間働けますか!」がキャッチコピーになったような時代から40年。「ゆっくり休める夜を下さい」「正月くらい休ませろ」という呼びかけが世論を獲得する時代へと大きく変化させることができた。
これは、戦後労働運動がかちとった「8時間労働制」「人間は昼間働いて夜寝るものだ」というあり方を、再び取り戻す闘いの始まりである。

東大阪の「契約解除」をめぐる闘いは大裁判闘争になる

こうした世論の大きな転換を背景に、「時短」「正月休業」が広がることに追い詰められたセブン資本は12月20日、「クレームが多い」なる理由で、セブンイレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)オーナーの松本実敏さんに「改善催告」と「契約解除通知」を行ってきた。明らかに「正月スト」への見せしめだったが、「正月休業」を理由に契約解除を言えないところにセブン資本の追い詰められた姿が示されていた。
攻撃の狙いは、松本オーナーを脅しつけて、店舗明け渡しの合意解約を迫ることだった。松本オーナーは、「クレーム対応の改善には取り組むのでクレームの内容を開示して欲しい」と求めたが、会社側弁護士は内容開示を拒否、執拗に合意解約を迫った。
これに対し、松本オーナーは、「クレーム内容を開示しないのはおかしい」と批判して、「契約解除を強行するなら、自主営業の実施と、オーナーとしての地位保全の仮処分を申し立てる」ことを通告。合意解約を迫る攻撃は完全に粉砕された。
そして30日から年末年始休業を決行。コンビニのオーナーになって初めて「正月を休む」ことができた。
全国で、同様の正月休業を決行したオーナーは複数にのぼり、「正月スト」はコンビニ各社の激しい「契約解除の脅迫」圧力をはね返して勝利的にうちぬかれた。ついに「24時間365日」の壁は実力で崩された。
松本オーナーは、正月2日から営業を再開、8日くらいまで在庫商品を売り切って、「裁判結果が出るまで休業」と告知して休業の実施に入った。2日からの営業再開には、「これまでで一番忙しかった」という盛況で、多数の客=支援者がかけつけて激励、買い物をしてくれた。
闘いは、いよいよ本格的な拡大をかちとり、本当に要求を獲得することが可能になる段階に入った。
6日には、地位保全の仮処分を大阪地裁に申し立てた。(会社側も、店舗明け渡しを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた)。2か月くらいで仮処分の決定が出され、松本オーナーが勝てば営業再開、本部側が勝てば、いったん本部が直営店として営業を再開するであろうが、いずれにしても本裁判となって、大裁判闘争になることは不可避だ。
大衆的な「松本さんを守れ」「裁判勝利」の運動を広げながらコンビニモデルの根本的転換をかちとる2020年の闘いが始まった。

「労組なき職場」に階級的労働運動を復権するたたかい

この闘いは、決してコンビニだけの課題ではない。「クレームが多い」なるデッチアゲにも等しいキャンペーンで、「物言うオーナー」を押さえ込もうという資本のやり方は、「労働者」と「消費者」を分断させ、「お客様に迷惑をかけない」という言い方で、労働者の労働条件や権利をなきものにしてきた新自由主義の手法そのものだ。今日、「カスタマーハラスメント」の増
加が問題になっている背景でもある。

そればかりか、コンビニの闘いは、「自営業」とされる、ウーバーイーツの闘い、佐野SAなど「労働組合のなかった職場」での決起、俳優やフリーランスが「ユニオンをつくりたい」と声を上げ始めるなど、これまでの既存の「企業内組合」の放置してきた職場からの組合結成の動きを促進してきた。
松本さんの裁判支援を軸としながら広がるコンビニ闘争は、今後、こうした「労組なき職場」に同様の動きを拡大しながら、階級的労働運動を復権する一つの大きな戦場となっていくことは不可避だ。

2020年、新自由主義への労働者の総反乱を作り出す

安倍の働き方改革は、「正社員をなくす」「すべて非正規にする」「雇用によらない働き方にする」というところに狙いがある。
それは、戦後労働運動がかちとった、8時間労働制、休憩、休日、家族全員を養える給与、青年から老年まで安心して働ける―労災、雇用、社会保険といった戦後的労働条件、給与体系を絶滅させる攻撃だ。資本の収奪率をたかめ、労働者への配分を極端に減らす攻撃だ。
剰余価値の増殖を本性とする資本の正体そのものとは言えるが、ロシア革命が世界史的に勝ち取った労働者の権利を、スターリン主義の裏切りに助けられて、最終的に奪い尽くす攻撃である。
だが、すでに人類史は、ロシア革命を転機に資本主義から社会主義への歴史的過渡期に突入しているのだ。資本主義は、8時間労働、民族自決権、土地解放、社会保障など、資本主義の枠内とはえいギリギリ労働者に譲歩することで生き残ってきたのだ。資本の側が「国家独占資本主義」的政策を50年にわたって続け、労働者の権利を一定程度認める「妥協」をしてきたのは、スターリン主義の裏切りに助けられつつも、それ以外に延命のすべがなかったからだ。
1970年代半ばの恐慌を転機に資本主義は新自由主義的政策に転じたといっても、過剰資本・過剰生産力をなんら根本的に解決できたのではなく、中国や東欧の巨大な市場開放に助けられて、延命したに過ぎない。
ロシア革命が200年近い労働者階級の世界史的闘いの到達点であったように、こうした新自由主義の最後的破綻、そのもとでの絶望的とも言える利潤拡大の攻撃は、ロシア革命の世界史的復権、全世界的再現となるであろう。
2020年は、新自由主義40年の生みだした矛盾が、労働者階級の総反乱を作り出す年となるに違いない。

鎌倉 玲司(コンビニ関連ユニオン書記長)