関西生コン支部が和歌山事件で逆転無罪判決勝ち取る!

(写真は、3月2日に行われた大津地裁前での集会)

和歌山事件で逆転無罪判決!

3月6日、大阪高裁で和歌山事件の控訴審の判決公判が行われた。
このなかで和田真裁判長は、武谷書記次長ら組合役員3人へ逆転の無罪判決を言い渡した。一審和歌山地裁は、懲役1年4月~10月、各執行猶予3年としていたが、これをことごとく破棄した。
控訴審判決は「一審判決では2017年の事件の発端となった原因を軽視・見落としている」と批判。和歌山広域生コン協組M理事が組合事務所に黒塗りのBMWに乗った元暴力団員を差し向け、ビデオ撮影や書記次長の在籍確認をしたことについて、組合側が警察官の事情聴取を確認して団結権を侵害する脅威と判断したのは「無理からぬこと」とした。そして、M理事が、元暴力団員が組合事務所前にいたことについて、「債権回収のために行った際、たまたま居合わせただけ」と弁明したことは不自然であり信用できないとした。
事件とされた日、武谷書記次長はM理事に事前に約束を取って会いに行った。その協議が長時間に及んだのは、先に記したように、M理事が明らかに事実でない説明をしたことが原因だった。事務所内に立ち入った人数もM理事側が指定した人数より一人多くなっただけ。控訴審判決は事実経過を録画された動画などで詳細に検討し、この事実経緯を全て認めた。

他方、控訴審判決は、本件起訴前に組合を脱退し、大阪広域協組側に寝返ったK元組合員が、「M理事に謝罪させ、屈服させて、組合の意に従わせることが目的だった」と供述していることについて、現在組合と対立する立場にあることや供述に矛盾があることを指摘し、これを信用できないとし、K元組合員の供述に依拠した一審判決を不合理だとした。

控訴審判決は、関生支部が産業別労働組合として組織され、産業別の運動に取り組んでいることを認定し、雇用関係がないことだけを理由に労働組合の正当行為を認めなかった一審判決を却下。業界団体である和歌山広域協組は労使関係の当事者足りうるとした。本件当日、並行して行われた事務所前街宣については、同協組の名誉を毀損するものとして若干行き過ぎもあるとも言えるが、憲法28条と労組法1条2項の適用あるいは類推適用があるので、「違法性は阻却される」とした。
この日の大阪高裁の判決は産業別労働組合の行動権を全面的に認めるものであり、今後の裁判闘争勝利に向けて大きな武器となる。(その後、和歌山事件高裁判決・逆転無罪判決について、検察が上告を断念したことにより、同判決が確定した)。

『月刊労働運動」23年4月号 細野直也関西生コン支部書記長の記事より抜粋