12・14銀座局死亡事故は本人の責任ではない!
2009年12月26日発行
12・14銀座局死亡事故は本人の責任ではない!
「会社に殺された!」民営化がもたらした大事故
営利優先、安全無視の民営化こそが元凶だ!
12月14日午後9時20分頃、東京・銀座局で電動けん引車(3輪車)を運転していた特殊郵便課の労働者(59歳)が、業務用エレベーターの扉と接触。その衝撃で扉が開き、乗っていたけん引車の下敷きになる形で1階に転落し、死亡するという大事故が発生しました
テレビや新聞では、当局のコメント通り、「本人の操作の誤りで、エレベーターのドアを突き破り(突っ込み)、転落死した」と報道しました。また当局は、翌15日の集配課での朝のミィーティングでも、「本人の責任。安全運転を」として、情報を操作し、事故を隠蔽しようと躍起になっています。
支店長を始め当局は、管理者として職場の安全の確保の責任を100%開き直っています。絶対に許すことは出来ません。構内で死亡事故を引き起こした管理者の責任こそ、問われなければなりません。
一切の責任は当局にある!
当局は、何よりも遺族に心から謝罪し、全ての責任を取れ。一体、何が起き、何が原因なのか、社会的に明らかにせよ。
現場労働者の力で、職場の安全を確保するために闘いに立ち上がろう!
JRの尼崎事故と本質は同じ民営化が事故の元凶だ!
銀座局では、東京中郵の廃局と銀座局への移転統合、そして民営化のもとで大変な作業環境にさらされています。人員も削減され、「昼休みも泊まりの休憩もなくパンをかじりながら区分している」「極限的に余裕がない」「泊まりのシフト(本務者)も埋まらない欠員状態」です。エレベーターは、渋滞し、パレットと郵便物で埋もれている。本務者の削減と非正規職への置き換えも、労働者の間に安全が継承されなくなり、大きな事故の原因になっています。
これと同じ状況が全国の職場の現実ではないでしょうか。この中郵始まって以来の事故は、民営化(営利優先、コスト削減、労働強化と非正規職化)の柱である無謀な局の統廃合が元凶です。当時、中郵の仲間が、民営化に絶対反対し、中郵廃局阻止を訴えた闘いが、今改めて重要性を増しています。
また、この12月に入って、「全国で3人の集配労働者が事故で死亡(巻き添えで3人死亡)している」と言われています。JR(国鉄)職場に置き換えれば、尼崎事故(脱線事故で107人の死亡者を出した)と同じ現実が、郵政職場にもあるのです。
「闘いなくして安全なし」。かつて職場にたたかう労働組合があったときには、当局・資本とたたかって職場の安全が確保されていました。現場労働者の力で、当局・資本と闘って、安全な職場を作っていこう。
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事故を報じた東京新聞(12/15)
フォークリフト転落し男性死亡日本郵便銀座支店
十四日午後九時十五分ごろ、東京都中央区銀座八の日本郵便銀座支店で、二階からフォークリフトがエレベーターのドアを突き破り、一階で停止していたエレベーターのかごの上に転落。フォークリフトの男性が頭を強く打つなどして間もなく死亡した。築地署は男性が同支店の職員(59)とみて身元確認を進めている。同署によると、男性は郵便物の仕分けをしていたという。同署は男性がフォークリフトの操作を誤った可能性が高いと見ている。
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中郵廃局=銀座移転がなければ労働者は死ぬことはなかった!/h3>
事故原因を検証する
①銀座局への統廃合が職場の安全を根本から奪った
今回の事故の原因として、何よりも大きな問題は、郵政民営化そのものである東京中郵廃局と銀座への統廃合問題があります。
事故が起こった郵便課は、全国からの郵便物を仕分けし、またそれを発送する仕事をしています。中郵の時には、1階と2階のフロアーを使い、荷物もエレベーターの1階から2階への移動と、後は平面な移動だけでした。
しかし、銀座移転に伴い、築41年の古くて狭い建物(旧・南部小包局)に押し込められたうえに、2つの建物にまたがる仕事場になりました。「到着便と発送便は同じフロアーでなければならない」原則は破られた。無理矢理つけられた渡り廊下は勾配があり(長さ30mで本館側が50㎝高くなっている)、1階から5階まで物を運ばなければならなくなりました。
JPEXに何百億円の金をつぎ込む当局が、仕事に不可欠のエレベーターを更新しなかった。坂のある渡り廊下のために導入されたけん引自動車は、狭い作業場では、そもそも危険が一杯です。継ぎ接ぎだらけの作業所と勾配のある渡り廊下そして古いエレベーターは、作業場建設上の欠陥といえます。
② 電動けん引車の運転訓練は一度も実施されていなかった
当日も、死亡した労働者は「運転したくない」と漏らしていたという。当日も、事故のあったエレベーターの周辺は、郵便物とパレットが置かれていました。その中で、パレットをけん引車から切り離して、エレベーターに積み込み、車を方向転換して切り返すときに、エレベーターの扉に当たっています。そして、エレベーターのかごが来ていないにもかかわらず扉が開いて転落し大惨事となったのです。
けん引自動車は、3輪車だ。特徴は小回りをきかすためにバックにしろ前進にしろ急回転します。今回も方向転換の切り返しの時に、扉にあたった可能性が高い。荷物に囲まれた狭い空間の中で、運転にそもそも無理があるのです。
また、当局はけん引車の運転訓練を要求されているにもかかわらず一度も実施していません。
運転の仕方も、牽引するパレットの数、パレットの荷物の積載量によって、電動自動車のアクセルの踏み方、ブレーキのかけ方、切り返しのタイミングなど、全く違ってきます。しかも、人員の削減で仕事は時間通りに終わらず、焦ってしまうのは当然です。その上、定年前の夜間の勤務で、年末も重なり、
体力的にも肉体的にも限界だったのではないでしょうか。こうした作業環境の中での強労働が、事故を引き起こしたのです。
② かごが着いていないのにエレベーターの扉が簡単に開いた
当局は、「扉を突き破った」と嘘のコメントを出しました。しかし、実際は、けん引車の連結器が扉に当たって開いてしまった。
銀座局の仲間によると「以前にエレベーターの扉を手でひっぱたら、簡単に開いてしまった」とも言われています。扉は一体どうなっているのか?扉が簡単に開くこと自体が大問題です。扉の安全装置はどうなっているのか?
エレベーターは、旧日本エレベーター工業株式会社製造で現在シンンドラー・エレベーター会社のもの。2006年の国土交通省の調べによると、「同社エレベーター6273基の『閉じこめ』事故175件を含む1294件の不具合があり、1基あたりの発生割合は、1・7%であり(他5社は1・2%)高い」と発表されています。
当局は、なんでこんな危険なエレベーターを設置しつづけているのか。
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「本人のせいではない」「何でも職員のミスで片付けるな」
「中郵始まって以来の事故。原因の究明を」
「エレベーターは相当古い」「エレベーターに乗りたくない」
「エレベーターのドアが簡単に開いたのが問題。以前、手でひっぱったら開いたということもあった」
「電気自動車に乗りたくない。乗りたくないけど、それがないと仕事にならない」
「他労組だけの問題ではない」「全逓でも見解を出せ」
「局長に責任をとらせろ」
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