参議院選挙闘争の総括 街宣隊からの報告―労働者階級の怒りと結合

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0317号02/03)(2016/08/01)

参議院選挙闘争の総括
―街宣隊からの報告―労働者階級の怒りと結合し、労組拠点建設と一体化した闘いだった

【1】はじめに

 鈴木たつお弁護士を押し立てて闘いぬいた参議院選挙決戦は、直後にかけられたユニオン習志野弾圧、京大反戦ストへの4名無期停学処分という形で、その意義、威力、国家権力への打撃感を明らかにするものとなった。
 「街宣隊からの報告」として、「世界を揺るがした18日間」の一端をできる限り街頭の熱気を損なわぬよう報告したい。

【2】労働者階級の根底的怒りとの結合

 今次参議院選挙闘争は第一に、労働者階級の根底的怒りとむすびつき、それを解き放つものとなった。
 最終日・最終街宣現場となった新宿駅西口では動労水戸の照沼靖功さんの演説が終わった直後、一人の労働者がおもむろに街宣隊に近づいてきた。その男性は人目もはばからず涙を流しながら、「自分はこれまで48年間選挙に行ったことがなかった。やっと本物に出会えた。投票する」と街宣隊の仲間の手を固く握り締めた。
 これは18日間に及ぶ選挙のエピソードのうちのほんのひとつに過ぎない。新橋ではワイシャツ姿のサラリーマンが、蒲田では見るからに肉体労働に従事する労働者が、秋葉原では駅前を通りかかった若者が、候補者や応援弁士の訴えに30分、1時間と聞き入っていた。そして何人もの人が候補者はもとより、私たち街宣隊の一員に飛びかからんばかりの勢いで握手を求めてきた。何人もの聴衆が目に光るものを浮かべながら演説を聴き、私たちと討論を行った。
 労働者だけではない。私の記憶にもっとも深く刻み込まれているのは、双葉町から避難してきている方との出会いだ。その80代の女性は私たちの主張を聴くや否や福島と自分にふりかかった惨状について話し始めた。近くにいた福島の椎名千恵子さんと話し始めた時には、彼女の感情を抑えられるものは何一つなかった。今にも膝から崩れ落ちそうな彼女を必死で支えながら椎名さんはその女性の訴えることを必死で聞き取っていた。椎名さんは後で「言葉にならないほどの感情が押し寄せてきていた。周りの避難者にも広めると言っていた」と語った。
 私たち街宣隊が過酷な選挙戦を闘いぬけたのは、このような労働者民衆の根底的怒りに貪欲に学び、日々自己変革をかちとってきたからに他ならない。選挙戦自身が「新しい労働者の党」を「労働者階級そのものの党」として打ち立てていく過程だったといえる。
 その上でいくつかの特徴点を簡単にあげたい。
 一つに、連合崩壊情勢下において、連合傘下の労働者の怒りとがっちりと結びついた。
 電機連合傘下の労働者や日教組傘下の労働者が現在の組合の腐敗・堕落を口々に弾劾した。それだけでなく「職場の仲間にも広めたい」と語り、ビラやパンフを何枚も持って帰る姿が目立った。
 二つに、日本共産党から目に見える形で労働者が離反を開始し、われわれと結びつき始めたことだ。重要なことは、何十年も日共を支持してきた方が「民進党とくっついたのは許せない」と語り、われわれを選択したことだ。
 三つに、これまで自民党や公明党を支持してきた労働者までもがわれわれを選択し始めていることだ。労組交流センターの代表であった中野洋氏が「労働者階級であるかぎり、必ず立ち上がる」と常々語っていたことが思い起こされた。
 選挙戦を通してひしひしと感じたのは、「生きさせろ」の叫びが右にいくのか、左にいくのかの正念場に入っていることだ。討論になってすぐは「改憲賛成」「安倍賛成」と主張してくるものの、労働現場の話になると共感が生まれ、ストライキの意義を訴えると「支持する」と変わるケースがいくつも見受けられた。1930年代は階級的分岐、歴史選択の時代、労働者階級の闘いがファシズムとスターリン主義によって血の海に沈めらたものとして断固教訓化しなければならない。

【3】労組拠点建設―地域拠点建設と一体化

 第二に、14年2月都知事選~14年12月衆院選に引き続き、街宣隊自身が選挙をも通して労組拠点建設を手繰り寄せるべく目的意識的に闘いぬいた。いくつかの職場を街宣場所として設定し闘いぬいたことはきわめて重要だった。
 特筆すべきは、一つに、幾度にもわたる東京都庁前での街宣だ。
 舛添打倒前は都民からの数万件の抗議電話、そして緘口令によって都庁労働者を緊張感と重々しい空気が覆っていた。ビラもほとんどまけなかった。しかし舛添が都庁労働者を先頭とする怒りによって打倒されるや否や、都庁労働者に解放感が横溢した。当初の2倍のビラが受け取られるようになった。「先週も読んだよ。がんばって」という労働者も現れ始めた。労働者が最も苦しい時、その先頭に立ち、共に体を張って闘い、鼓舞激励する―これこそが真の労働者党、階級の前衛の役割ではないかと私は考える。
 二つに、参院選前に結成されたばかりの動労東京の仲間と心を一つに、JR大井工場前での街宣に立ったことだ。東日本最大の車両工場にはやはり怒りが渦巻いている。50代の労働者はわれわれのビラを受け取ると「この社会全部ひっくり返さないとダメだ」と語りかけてきた。
 以上述べた以外にも、候補者の出身であるNHKをはじめ、JR東日本本社前、JP銀座局、日本機械工業、八王子市役所などいくつもの職場に赴いた。

【4】政治の奪還とプロレタリア民主主義の打ち立て

 最後に、選挙戦を通して「政治の奪還」とプロレタリア民主主義の打ち立て(すなわちソビエト・コミューンの実践的推進)に挑戦したということだ。われわれは選挙をも通して、ゼネスト―革命を真っ向から訴え、労働者民衆を票数としての一票ではなく、社会の真の主人公としてとらえ向き合った。そしてわれわれを媒介に何人もの労働者・学生が労働相談を通して闘う主体へと飛躍し、マイクを取って訴える側に立った。ブルジョア民主主義とは取るに足らぬ少数者、富者のための政治である。したがって、多数者はますます政治から排除されていく。しかし、プロレタリア民主主義は誰もが政治を奪還し、次々と新たな指導者を生み出し、その中で人間による人間の支配をなくすことを原理としている。この原理を選挙戦をも通して貫徹したことの中に「新しい労働者の政党」たるゆえん、他党派との根本的相違がある。
 街宣隊を支えてくださったみなさんに心から感謝を述べたい。今回の選挙はすべての部署の闘いがひとつに融合し、誰一人欠けても成り立たなかった。今回つくりあげた団結を基礎に11月労働者集会、国際労働者共同行動にむけて全力で闘いぬきましょう!

特集0317

Posted by kc-master