労働組合運動の基礎知識第57回 熱中症対策ー空調服

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0352号12/01)(2019/07/01)

労働組合運動の基礎知識 第57回
熱中症対策ー空調服

熱中症対策ー空調服

 以前、「熱中症指数」を計測する機械について書いた。それを読んで、その機械を導入した職場もあると聞いている。あれは指数を計測し、危険を予知するための道具であり、熱中症を防ぐ装置ではない。空調服は熱中症を防止する器具として有効である。一番重要なことはこまめに休憩をとることと、スポーツドリンクなどの飲料水をちびちびこまめに呑むことである。それにプラスして「空調服」もありかなと思う。
 私が使っているのは、シーベックスというメーカーのもので、セット価格は1万8千円である。服、バッテリー、充電器、ファンが一組になっている。今季、会社が4着購入して使用をはじめた。私の職場は外のだだっ広いヤードであり、炎天下では太陽を遮るものがない場所なので、ここのセクションだけ導入した。今期は、キャンプ用のテントも仮設して、休憩室の他に屋根のある地点もできた。大型のクーラーボックスも購入して、いつでも水分補給できる体制を整えた上で、「空調服」の導入である。半袖のもの、インナーについているもの等、多数あるが、私の使用しているのは長そでのブルゾンである。ファンは取り外しが簡単で、服の洗濯は可能だ。
 空調服の原理は、汗の気化熱で体温をコントロールする。服に小型のファンが二個ついていて、服の中に外気を取り入れ、体の表面に風を流すことで、汗を気化させて涼しく快適に過ごすことができる。ファンから毎秒20リットルの外気がとりこまれる。取りこまれた空気は服と体を平行に流れ、その過程でかいた汗を気化させる。体は気化熱を奪われて冷え、服の中を通った湿った空気は襟元と、袖口から排出される。バッテリーは1回充電すると8時間連続使用可能だ。バッテリーは服の内ポケットに入るようになっていて、防水仕様になっている。ファンの風の強さをボタンで調整できて、最強にするとファンが回る音が強くなる。作業中は感じないが、室内に入ると音が少しうるさい。
 汗はかいているのだろうが、すぐに気化するので汗が流れる感じがしない。そのため汗疹ができない。先日まで汗疹の薬を塗っていたが、あまり必要なくなった。同僚で皮膚病・アトピーを患っている人がいるが、彼にとってはとても良いと思う。  
 メーカーの宣伝文句は「これを使用すると作業効率が上がり、連続勤務が可能になる」と書かれている。しかし、この服を導入することで休憩時間が短くなるとしたら問題である。
 休憩時間をこまめに確保した上で、熱中症防止のために使うなら意味がある。ネットで検索すると、その効用、原理で、メーカーの説明、販売宣伝がいっぱい出てくる。まず1着組合で購入して効用を試してみるのが良いと思う。ウォシュレット・トイレをはじめて使用した時のような感動がある。

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長