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特集 解雇撤回・JR復帰署名10万筆の達成を国鉄闘争全国運動座談会

月刊『労働運動』30頁(0289号02/01)(2014/04/01)



特集 解雇撤回・JR復帰署名10万筆の達成を

国鉄闘争全国運動座談会
 

 

 
 

6・8集会までに署名10万筆の達成を!

―10万筆署名は階級的労働運動を組織する闘いだ―


 【参加者】
田中康宏さん (動労千葉委員長)
山本弘行さん(動労千葉を支援する会)
阿部啓輔さん (動労千葉を支援する会・新潟)
米山良江さん (国鉄闘争全国運動・東京東部)
別所基明さん(動労千葉を支援する会・東京北部)
井口道子さん (精研労組)
葛本京子さん (三浦半島地区教組)

○司会
 6・8集会までに10万筆を集めようと座談会を企画しました。みなさんからの報告や意見を全国に返していきたいと思います。

 

○山本さん
 署名運動は本格的にはまだこれからです。先進的取り組みをしている地区の方に集まっていただきました。分割・民営化を推進した井手や葛西が、鉄道輸出を推進しています。こういう情勢は、われわれにとってはチャンです。各地区の教訓を出してもらい、全国に方針を出していきたいと思います。

○田中さん
 署名を10万筆集めたいこともあるのですが、なによりも署名運動を組織化に活用してほしいと思っています。組織的自力をつけるためにはどうしたらいいのか。全地区が10万筆署名運動をやった力、その実践の中から組織がつくられると思っています。こういう討論をした、こう動いたということを全国に伝えたい。
 高裁署名をやって運動が広がった。伊藤晃さんからその教訓をもっと討論してほしいと言われていたが、今日はいい機会だと思う。

○司会
 では、最初に新潟から報告をお願いします。

新津車両製作所へ90人の国労主催デモ

○阿部さん
 まず、3・10新津車両製作所の子会社化に対する闘いの報告をします。JR東の車両製作所は新津しかないんです。山手線の電車も新津で製作したものです。JR直営の新津車両製作所を丸ごと子会社化するということを昨夏、知りました。製作所で働いている労働者600人のうち320人がJR正社員です。子会社化されて帰る職場がなくなる、片道切符です。それに対して地区あげて11波のチラシを入れる活動をしました。当初、職制が出てきたり、反発が強かったですが、やりぬきました。そしてついに3月10日、国労新潟県支部と国労新潟地方本部の共催のデモがかちとられたのです。国労新潟地方本部は120人で、そのうちの100人が新潟県支部です。新潟県支部が呼びかけたデモに、国労が29人、そこにJR職場の青年が数人参加し、さらに新潟地域一般労組、新潟交流センター、地区労会議、地区労連など地域の仲間が約50人、合計90人が駅前で集会をやり、製作所にデモをかけたんです。残業をしていた製作所の労働者から拍手が起きたという感動的場面もあったんです。現場には闘う力はあるということです。国労内で「共に闘う国労の会」の会員が動労千葉や国労郡工支部のように闘おう、原則を曲げないで闘おうと討論、決して日和らないでやってきたことが決定的です。それが3月10日に実ったんです。国労も現場はあきらめているわけではないんです。120人の国労でほぼ50代です。「あと10年で組織が終わってしまう」「貨物が賃下げされた」「丸ごと外注化」という危機感と怒りがあります。それが90人のデモになったんです。
 私自身も予想できなかったです。国労を現場から作り直していく可能性はあると思いました。この闘いで何よりも国労現場組合員が自信を持ったことが大きい。
 現在、最高裁にむけた10万筆署名は新潟で2921筆です。新潟の特徴は以下3点です。
 ①私が一番大事だと思ったのは、白石判決、そして難波判決の学習会をやったことです。地区でも国労組合員ですら全面的に語れない
です。まして他産別の人は「勝ってよかった」というレベルだと思います。9・25判決を勝ち取った意義は勉強すればするほど本当にでかいと思います。それが全体のものになり、一人ひとりが自信を持って語れるかということです。学習会を積み重ねたことの意義が一番大きかった。それがなければ外に向かうエネルギーが自分から出てこないと思います。
 昨年夏、9・25判決前に支援する会・新潟で白石判決の学習会をやり、会員と賛同者が来てくれました。白石判決の地平について議論し、それが一定の自信になりました。
 今年1月、第5回総会を新津車両所決戦と10万署名にむけた9・25判決学習の2つのテーマで開催したんです。総会後に国労の星野文男さんを講師に9・25判決の学習会をやり、みんなのバネになったと思います。
 ②次に、支援する会・新潟は、10万筆署名のまとめ役になり、運営委員だけで動くことはやらず、地区を動かす、支援する会が地区に方針を出してスケジュールなどを指示するようにしています。物販も、支援する会が計画もつくり地区を動かし、報告を提出してもらっています。運営委員だけでやっていたら地区全体のものにならない、全体でやり、限りなく共有する。集まった情報は運営委員会が掌握する。そういうやり方をしています。新津車両製作所決戦を闘いながら、4月以降、6・8集会までの2か月間は10万筆署名で動こうと思っています。
 ③三つ目は継続すること、繰り返し労組へ行くことです。全国運動で作った資料はものすごく有効です。特に全国運動の会報は毎月余分にもらって署名をくれたところに郵送し、今の推移はわかるようにしています。情報を共有し、途切れないように関係をつくっていきたいと思っています。それが署名の実績になったり、物販の実績になったりするんだと思います。
 金も時間もかかるけれど、そういう繋がったところは大事にしていくことが必要だと思っています。

○山本さん
 支援する会4人の運営委員と交流センターとの関係はどうなっているんですか。

○阿部さん
 私も交流センターの会員です。支援する会が、物販で何十箇所も回るスケジュールを立て、誰に来てもらうかを組みます。そして、支援する会で行かないところは、交流センターに人数の割り振りを頼みます。地区全体の課題になるんです。署名も同じです。4人だけで動くと新潟地区全体の運動にならない、仲間を動かすということですよね。

○田中さん
 責任をとるということは、自分がやるというところから、全体化するところまで含めて責任をもつということなんですよね。簡単なことのようですごくでかい転換だったんだろうと思いました。そしたら全体が生き生きし始めたと聞こえました。

○司会
 では、東京東部からの報告をお願いします。

要請と支援を一体で!署名運動はおもしろい

○米山さん
 ①動労千葉を支援する会・東京東部があるんですが、別に国鉄闘争全国運動・東京東部の会を立ち上げました。東部には国鉄闘争葛飾支援協があり、動労千葉の新小岩支部が入っていました。「4・9政治和解」後に動労千葉と共に闘うのか否かが問われたんですが、これまでの地域共闘を守っていきたいと葛飾区労働組合連絡会(準)をつくって闘いを続けています。毎月1回の駅頭情宣と会議をやっています。動労千葉、水道、京成、郵政や自治体関連の労組、そして教労、民間などの有志が集まっています。3月12日には50人で春闘デモをやりました。
 こういう経過もあって、国鉄闘争にこだわっている有志が国鉄闘争全国運動が結成された直後に、東部の会を立ち上げたのです。動労千葉と一緒に進み、今の惨憺たる労働運動の現状を変えたいという思いで月1回会議を定例化して運動を進めています。
 ②署名運動ですが、会員の職場・組合で集める、地域労組を回る、駅頭街宣、さまざまな集会に駆けつけて入口で署名を取ったり、4つの取り組みで進めています。東部は2月16日段階で2517筆です。
 労組回りですが、清掃労組や東水労などを回ると、最初は「国鉄闘争はもう終わったでしょう」と言われました。「いや続いているんです」ということから話が始まったんです。
 清掃労組は最初は硬かったんです。でも清掃にも正規職と非正規職がいることがわかり、「清掃職場でも外注化が始まっているんですね」「動労千葉は、解雇撤回だけでなく、民営化以降強行されている外注化を止めてきて、今も闘っています」と話したら、「実はね」と話が盛り上がったんです。外注化・非正規職化攻撃はどこの職場にもかかっていて、みんな悔しい思いをしていると感じました。
 夏冬の物販と6月集会と11月集会で、地域の労組を年4回は回っているんです。外注化が進んでいることで、お互いの職場の話をするという関係に入ったんです。昨年の秋闘で清掃労組がストライキを組んだ時、「明日のストライキ頑張って」と応援の電話やメールを送ったんです。すると「ありがとう」と返事が来て、関係がぐっと変わりました。「今まで国労物販をやっていたから、今度は動労千葉の物販を取り組みましょう」と先方から言ってくれました。お互いの現場の苦闘を共有する、お願いするだけでなく、向こうの闘いを見ながら働きかけることが信頼関係をつくる、その経験は大きかったですね。
 清掃は工場と事業所があり、ひとつの組合をぶち抜くと、「俺たちの産別でどこかやってるかな」と賛同や呼びかけ団体を見て、対応してくれるんです。そのあたりを理解して突っ込むことだと思います。
 解雇撤回でやっているから当たり前なんですが、それでも一定の関係がないと労働組合として踏み出すことはなかなか大変です。行きつ戻りつですが、一回駄目でも、続けて訪問することが大事ですね。
 学校に行くと、「早く帰って」という雰囲気で、とにかく教師は多忙です。だから2人で行くと結構話ができます。ある高校職場では、卒業生が相談に来ると「今までは、石の上にも3年だからしばらく我慢しなさいと言ったけれど、今は職場の現状を聞いてとてもそんなこと言えない、あまりにもひどい」という話になって、「すべては国鉄分割・民営化から始まった」という話になる。これはキーワードなんです。「派遣法もそうだね、卒業生の就職事情はこうだ」という話になって10~20分すぐ経ち、今の労働現場の現状や青年労働者、子供たち、孫たちの現状を変えるためにも組合だねという話にもなります。
 労組回りはおもしろいです。でも経験のない人にとっては、労組回りは敷居が高くて行きにくいという人もいます。そういう人は一緒に行くんです。最初は私が言うんですが、7~8件回り、途中から代わって話してもらいました。「署名運動は労働運動復権運動になってる感じー」と感想を言っていました。署名運動は、今の組合を変える闘いだと相手の反応から肌でわかると、署名運動の可能性がわかってくる。署名運動は本当に話が膨らむし、特にこの署名運動は、「闘う労働組合をつくろう」という運動なんだということがわかり、また次も行こうとなるんです。
 新潟からも言われましたが、事務局が切り開くけれど、多くの人の闘いにしていくことがすごく大事だと思います。行った反応を事務局会議の中で報告することで、地域全体の政治地図や産別の状況を共有できていけます。失敗談も話すんです。特に相手の反応の報告を出して、現状をみんなで共有することが大事だと思います。
 あと、学習が大事だと思います。私自身も国鉄闘争をわかっているようでむずかしい。特に若い人が学ぶことが大事だと思います。5月に春闘学習会を持つので『暴かれた真実2』の学習会をしたいです。伊藤さんはこう言っているとか、下山さんはこういう角度で見ているとか、そこでもう一回私たちのやっている闘いが豊かな討論になると思います。実践と学習が大事だと改めて思います。

○司会
 貴重な教訓がたくさん出されてきていますね。では、続いて北部からお願いします。

毎週2回の街宣と毎月1回の機関誌発行

○別所さん
 北部は、3つの大きな柱で署名運動を取り組んでいます。①職場での取り組み、②地域にある拠点での取り組み、③街宣での取り組みです。現在の北部の最高裁署名1274筆はそれぞれ三分の一ずつの数の取り組みになっていると思います。
 私は、街宣での取り組みを高裁署名からやっています。毎週2回、池袋駅の2箇所で2人でやっています。火曜に池袋の丸井の前で、木曜は西口の駅前でそれぞれ1時間ずつやるんです。丸井の前では机を出して、いろんな資料を置き立て看板を立ててやっています。通る人はみんな立て看板を見ていくんです。毎週2回、同じところでやっているので、呼び込みのお兄ちゃんやお姉ちゃん、立教大生とも顔見知りになり、署名もしてくれます。
 私は労働組合で活動していたので、地域、街に出て行くことに最初は抵抗がありました。でも労組回りで、私はエーザイ本社労組の執行委員をやっていたのでそのことを話すと、民間の労組はニコッとするけれど、物販も署名はなかなかやってくれないんです。ほとんどが正規職を組織化している。すでに非正規が2000万人を超えるところまできている。これをキャッチするのはすごく重要だと思っているし、北部としても確認しています。だから非正規職の労働者とつながるのは、街頭がいいと思ったんです。非正規労働者はほとんど労働組合に組織されていなくて、誰も労働相談にも乗ってくれるわけじゃない。その人のためにも出て行って呼びかけることがいいと思っています。
 この間、街宣で労働相談に来た人がいるんです。いつも決まった時にいると、誰か労働相談に来るぞと思って、街宣を見直したんです。東京全体の地区で街宣で労働相談をやり出せば、ずいぶん違うのではないかと思っています。毎週20筆でも月に100筆は集められます。今、北部全体で3000筆をめざしているので1000筆は街宣で集めたいと思っています。
 ただ、新潟の話を聞いて、僕らは学習会をやっていないと思いました。交流センターをスタートさせた時、北部に動労千葉型の労働組合をつくりだすことを目標に取り組んできました。精研労組、一陽会労組、北部ユニオンの3つを拠点にしようと取り組んでいます。精研労組は学習会はやっていると思いますが、北部全体として今更学習会をやるとなるかなという思いもある。外からどれくらい呼べるかが課題になる。学習会を考えなくてはいけないと思っています。
 私は、動労千葉を支援する会の代表で、会員は二桁いますが、代表しかいないんです。私は、北部交流センターの運営委員でもあり、北部ユニオンの執行委員でもあるので、それぞれの会合にも出る。その中で、常に動労千葉の運動が討論されるんです。
 動労千葉を支援する会・北部の機関誌に私は必ず動労千葉の闘いを執筆し、各例会で報告するようにしています。交流センターを通じて各労組に方針が行き、北部ユニオンでは私が常に物販と署名のことを言って全体会でも確認する。動労千葉のような労働組合をつくろうと口をすっぱくして言っているんです。支援する会の総会は年1回やって、労働組合の代表が参加し討論するんです。全体化という意味では、ばっちりやっていると思います。
 毎月発行している機関誌は、 日刊動労千葉に学んだのです。僕が労働運動をやっている時に、週1回組合ニュースを書けばいいと思っていたのですが、毎日出しているというのはすごいと思ったんです。おもしろいことが一杯書いてある。動労千葉のような労働組合をつくろうと言う限りは、支援する会で月1回は絶対に出す。これは決意しています。日刊動労千葉が如何に労働者にとって必要か、世の中のことを労働者が学習するということがどれほど重要なことかをしみじみ感じたんです。毎月1回、8頁のニュースですが、僕の巻頭文だけでなく、それぞれ地域の労働運動の全部を兼ねて報告しているんです。

○司会
 それでは精研労組の方からお願いします。

役選と署名運動を一体化し、組合で議論

○井口さん
 運営委員会では、月刊労働運動の田中さんの文章はよく読み合わせしています。
 精研労組は、署名はあまりできているわけではないのですが、高裁署名の時は山本選挙と一緒だったので、病棟の入り口に立て看板を出しました。最初は、山本太郎さんへのピンクの檄布を貼って、みんなに書いてもらいました。これって結構受けるなと思ったんです。知らないドクターが絵も書いてくれたんです。こういう風にしてやっていけばいいかなと思いました。
 山本選挙が終わるや否や、高裁署名に取り組みました。タブロイド版も貼って、JR北海道のことなどいろんな記事も貼りだしました。出勤時は忙しいので、退勤時につかまえて頼むのです。「今うちの病院で非正規が雇い止めされている。これは国鉄分割・民営化から始まったんだ。26年前200人が自殺に追い込まれた」という話から入って署名をお願いするのと、他方で「うちの経営はひどい」と言っていきなり署名をお願いするのと、2通りの方法で署名運動を行いました。どちらが署名が多く集まるのかやってみたのです。説明していると時間もかかり「それとうちのこととどういう関係があるの」という話になってしまうんです。署名が終わって、どちらがいいか組合で話して、今の資本にみんな直面しているからこれをまずバッと出して、即「解雇撤回署名お願いよ。どこもここも同じなんだ。一緒にやろう」と話すのが結構いいかなという話になったんです。でもそれだけやっていると、国鉄分割・民営化がよくわからないこともある。討論の結果、うちの経営の攻撃は新自由主義攻撃と一体だということをサクサクと話ができるようにしようと。その結果、反応がどうだったかを話すんです。反応は言葉ではなく、顔を見れば判るんです。1回署名をやっても、どういう風にやればいいのかを工夫して、早い時間で足を止めてもらうには、「これはあんたのことだよ」と言えるように工夫しながらやっています。
 署名のオルグですが、秋闘をやる時に労働者に向かってどういう風に話せばいいのかの訓練になりました。国鉄の問題は病院の問題と違うと思っている人が多いんです。でも、新自由主義攻撃は同じなんです。うちの病院の攻撃は新自由主義攻撃だよと、組合員をオルグできているかなと思います。
 最高裁にむけた署名の取り組みはこれからです。春闘と一体で取り組んでいきたいと思います。春闘は妥結するかどうかわからないので、3・16集会が終わったらやろうと決めています。
 高裁署名は労働者代表選挙と時期が重なったんです。これはすごいよかったんです。山本太郎選挙、9・25判決にむけた署名運動の勢いで、労働者代表選挙もやれたんです。その結果、組合の執行委員長が労働者代表になったこともありますが、なにより得票数が伸びたんです。組合員はみんな見てくれているよなという自信になったんです。労働者代表選挙と署名運動がつながり、組織化につながりました。

○別所さん
 北部の労働運動が、署名運動で進みました。一陽会労組が5人の雇い止め解雇を阻止したのも、この署名運動と一体で勝利することができたんです。署名運動をやることが各々の労働運動を前進させたということが、僕らにとって一番うれしい。そういう結びつきを最高裁署名でも作っていきたいと思います。

○井口さん
 一陽会で解雇された労働者の人たちも復帰しましたが、始めは組合がやっているから署名をやると言って署名したんです。でも労働委員会をやって、その過程でまだ勝ちもない頃、「自分が闘っているからすごい一体化できた。よくわかった」と。動労千葉と同じなんだと、やはり闘うとすぐわかる。



○田中さん
 組織化していくということと、行動していくということは、別のことじゃなくて、行動していくことの中で初めて組織化される。この辺りのことが大事ですよね。動労千葉も同じですよ。

○米山さん
 昨年の5・1メーデーで、東交の青年が「執行部選挙で勝ちました」と報告しましたよね。今の組合の現状をどう批判するかって結構むずかしいじゃないですか。彼は自分の主張を解雇撤回署名で訴えたんですよね。そのことを通して自分が何を考えているのかを訴えたんです。それが彼の選挙闘争そのものだったんですよ。それで勝って執行委員になって新たな苦労をしています。でも最高裁でもっと広げようとしているんです。そういうのをこだわってずっとやっていると、結局お前が考えていることはこうなのかいと、意外な人がするどい反応をしてきたりするんです。本当に真実のある闘いを持ち込むことが、ある時にある人の意外な反応を引き出せたという、これがおもしろい。
 論議をまじにやることが現場でほとんど奪われているんですが、署名を持ち込むことによって、意外な反応も引き出せることがあるんですよね。意外な人が実はすごい考えてくれている、俺のことをわかってくれているのはあいつだということが、署名の反応を通してわかる。そういう意味で、すごい力があります。

○田中さん
 国鉄のことを語る中で、社会の本質を語れるということが絶対あると思うんですよね。自分がやっててもそう思うんです。ここから見ていくと全部見えてくるという感覚がすごく自分にもありますよね。

○司会
 では、神奈川からお願いします。

不正選挙でいよいよ本当の組織戦になった

○葛本さん
 支援する会三浦半島教組の会員は二桁います。三浦半島教組は99分会で1600人くらいの組合ですが、そこを対象に組織化をすることをやっています。前回の高裁署名の時は、三浦半島で700筆くらい30以上の分会から集めました。伊藤晃さんからもすごいと評価されて「総括しなくてはいけない」と何回も言われていました。
 最高裁署名は今、15分会ほどで400筆くらいです。役員選挙で全分会に選挙ビラを配布した上で、それとは別に各分会にパンフと署名用紙を持って回りました。横須賀が5ブロックに分かれていて、逗子・葉山地区、三浦地区で、計7ブロックです。その取り組みの後に出てきているのは4分会ほどで、これからの働きかけで違ってくると思っています。執行部支持で固まっているような地区もあって、その地区の分会からも20筆集めてくれたところも出てきました。「返信用封筒」に切手を貼って入れて渡しておいたのが良かったのかなと思います。
 それと、無駄になっても組合員数を超える署名用紙を同封しておくことも必要だとおもいます。支援する会の会員の分会でもやっていないところや、新年度には新しい人も来るので、最高裁署名を全分会でやりたいと思います。
 三浦半島教組の役員選挙がありました。私は分会・ブロック推薦を受けて執行委員に立候補しました。信任が519票、不信任が808票で、無効が52~53票あり無効がこれまでになく倍くらい多かったんです。
 いろんな情報が分会から入ってきています。3日前、「不正選挙だという集会をやります」と全分会と個人宛に声明と呼びかけビラを配ったので、それを見て電話をくれた人もいました。「葛本には不信任をつけるようやってほしい」という話があったということもわかりました。執行委員が組合の方針やルールを破って、不信任をつけさせていたのです。そのことも含めて分析途中ですが、信任の519票は、この間署名をやってきてくれた分会が多いことや、執行委員から不信任の働きかけがあった時に「それはおかしいでしょう」と反撃をしている分会も出てきているので、それが基本になっているなと見ています。
 解雇撤回の署名というのは、国鉄分割・民営化の中身がわからなくても「解雇撤回を闘うのは当たり前でしょ」とやってくれることができていたんですが、これからは私たちがやるということだけでいい顔をしない分会も出てきます。それは署名だけでなく、物販でもそうです。すべてが闘い方、路線の問題であるし、選択の問題になってきていると思います。民営化反対・非正規職撤廃を私たちがもっとはっきりさせていくことじゃなかいかと思っています。
 署名は、基本は三教組の分会ということでやっていますが、高校分会とか、地域の労組、街宣も、高裁の時にはやりました。高校は国労を支援してきた経過があり、義務制よりも国鉄闘争ということについては、話が通りやすい、理解が早いと感じています。職場訪問をしただけで、いくつかの分会から高裁でも返ってきていて、最高裁でも返ってきているところもあるので、高校分会にもう少し働きかけをしていかなければいけないと思います。
 支援する会三浦半島として、私は事務局長なんですが、署名を送り返してくれた高校や地域労組を念頭に入れて、6月集会前には学習会を設定してやりたいと思います。

○山本さん
 3・14緊急組合員集会はどうだったんですか。

○葛本さん
 この時期、教員の参加は厳しいから内で固めようと思っていたんですが、青年や非正規教員も参加してくれました。それがすごく大きかったと思います。非正規の組合員は、組合の規約改悪反対の闘いの時にもビラに「非正規職労働者の声」を書いてくれたんです。規約の改悪(正規・非正規で組合員権を分断差別した)はひとつの転換点だったと思いました。
 会員も今回のことで、すっきりしたかなと思います。率直に言って、私たちにも今までひきずってきたものがあり、ここまできても今までの三浦半島教組のあり方に幻想があったんです。愛着もある。でも今回のことで、本当に新しい三教組をつくらなくてはいけないと思いました。

○米山さん
 日教組が安倍政権に擦り寄るという方針転換をしたわけでしょう。その中で、国家戦略特区の中で教育の公設民営化の解禁という、教育の民営化攻撃が音を立てて始まろうとしているわけですよね。その時に彼女なんかがいたら大変だと体制内執行部が激甚に反応したのだと思うんです。不正選挙、えーと思っちゃいますもの。今までは、分会とブロックで推されたら執行委員になれたわけでしょう。それが組合ってものだよね。彼女が開票の立会いに行って、「不正選挙だ」と声をあげたことが大事だと思います。 

○田中さん
 選挙に出たことと比べても10倍、100倍のチャンスじゃないかと思いますね。信任の500人と僕らが獲得できなかった800人まで獲得の対象になっちゃったんですよ。全員を獲得できるチャンスが来ていると思います。

○葛本さん
 「×」をつけた人は、たぶん不信任になると思わないで書いた人も多いんじゃないかと思うんですよね。
 何もなく信任されて執行部に入ったことより、よかったかもしれませんね。

○山本さん
 新潟の新津車両製作所をめぐる闘いと全く質的には同じだね。国労に切り込むとことと、三浦半島にこれをチャンスにして切り込む。だから笑いが止まらない、いつもニコニコしていた方がいいですよ。(笑)

○田中さん
 公設民営化反対ということは、アメリカで起きていることと同じで、ワタミが来るわけですよ。教師は全員基本的には非正規になる。成績をあげろとやられるから出来の悪い子を事実上放り出す。成績のあがらないクラスの教師は首になる。公設民営というのはこういうことだとわかったら、怒りは僕らが考えている以上に一気に爆発する。起きていることの本質をつかむことが大事です。
 新潟地本までが動いたのは理由があるんです。やらなかったら自分たちが終わりになってしまうという攻撃のひどさと現場の渦巻く怒りがある。三浦も同じだと思うんですよね。
 10万筆署名というのは、そういうことを引き出して、それを組織する運動なのかなと思っている。27年間よく頑張ってきたという話ではなく、現在の問題だと考えたら、すごく意味のある重要な組織建設方針かなと思うんです。

○葛本さん
 体制内は方針だけは私たちと変わらないような方針をあげている。でも民営化反対は全くないし、非正規職を撤廃するたたかいも本気でやろうとしません。

○田中さん
 安倍政権の攻撃はマスコミと教育に集中している。本気で戦争と民営化をやろうとしている。だから今は全部が戦争と民営化と結びついていく絶好のチャンスだと思う。

○司会
 今日はありがとうございました。10万筆署名運動で階級的労働運動をつくりだす展望が見えた座談会になったと思います。
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国鉄闘争全国運動事務局からの10万筆署名達成への要請

 最高裁で解雇撤回判決をもかちとるために署名10万筆を達成したいと考えています。昨年9月25日の高裁判決直後から最高裁署名を開始し、10月から今年2月の5カ月で2万筆を集めました。高裁署名と比べて早いペースです。毎月4~5000筆の署名が集約されています。
 最高裁での早期反動判決の策動を打ち破り、解雇撤回判決を押し込むためにも早期に10万筆を集めて最高裁判所に提出したいと思っております。6月8日に文京シビックホールで開催される全国集会を山場に10万筆達成のめどをつけたいと考えております。そのためには少なくとも2倍のペースで署名を集める必要があります。
(1)街頭署名
 全国運動・支援する会の会員の全員参加型の街頭署名を月1回以上行うことを要請します。国鉄闘争や解雇撤回の訴えに対する街頭の労働者の好反応を全体で経験することが各職場などでの取り組みになっていきます。
(2)地域戦略
 地域全体の労働組合を対象化して署名を拡大してください。地域によっては三桁の署名を集めてくれる単組が複数に上っている所もあります。事務局に寄せられる教組や自治体などからの署名の束をみても、大きな可能性があります。
(3)職場での取り組み
 職場の仲間に一人ひとり署名をお願いすることは、職場の要求や思いと結合し、闘う労働運動を職場につくるオルグの第一歩としてきわめて意義のある闘いです。(全国運動会報43号=2013年12月号=での伊藤晃さんの提起、裏面の神奈川の自治体職場の取り組みの投稿など)
(4)学習会
 『暴かれた真実2』を発行しました。ぜひご活用下さい。7~8ページの「井手元会長が語る『国鉄改革前後の労務政策の内幕』」は、井手や葛西、JR設立委員会、松崎らによって動労千葉や国労の組合員が名簿から排除された経緯をまとめています。断片的な事実は知られていますが、決定版です。パンフレット学習会を広げて下さい。
(5)教訓や経験の集中を
 「外注化阻止ニュース」をあらゆる場面で縦横に活用してください。また、地域や職場の署名運動の経験や教訓を事務局に集中して下さい。全国の経験をニュースや会報などに生かして各地の運動を豊かにしていきたいと考えています。