組合運動の基礎の最近のブログ記事

2019年7月 1日発行 第0352号

熱中症対策ー空調服  以前、「熱中症指数」を計測する機械について書いた。それを読んで、その機械を導入した職場もあると聞いている。あれは指数を計測し、危険を予知するための道具であり、熱中症を防ぐ装置ではない。空調服は熱中症を防止する器具として有効である。一番重要なことはこまめに休憩をとることと、スポーツドリンクなどの飲料水をちびちびこまめに呑むことである。それにプラスして「空調服」もありかなと思う。 私が使っているのは、シーベックスというメーカーのもので、セット価格は1万8千円
月刊『労働運動』34頁(0352号12/01)(2019/07/01)

労働組合運動の基礎知識 第57回
熱中症対策ー空調服

2019年6月 1日発行 第0351号

賃金後払いの原則(定日払い・直接払い・全額払い)  全臨時労働者組合(略称・全臨労)という、私が以前委員長だった合同労組が結成されたのは1969年10月。今年は全臨労結成から50周年だ。私は1974年から関わった。全臨労が問題にしたのが、新聞奨学生制度という名の「前借金相殺」と「損害賠償の相殺」である。 大学の入学金と授業料を貸与するので、4年間は新聞配達をする。途中でやめる場合はやめる前に全額返済しなければならない。もっと凄いのは、未集金を自己負担させる「切り取り制」だった
月刊『労働運動』34頁(0351号16/01)(2019/06/01)

労働組合運動の基礎知識 第56回

賃金後払いの原則(定日払い・直接払い・全額払い)

2019年5月 1日発行 第0350号

 国鉄分割・民営化攻撃と一体で1985年に労働者派遣法が成立し、86年に施行された。この派遣法は戦後原則禁止されてきた労働者供給事業を合法化したものだ。1966年に米国の人材派遣会社の子会社が日本に設立された。その後、この形態の人材派遣会社が蔓延することになる。政府はこれを取り締まるのではなく、違法を追認する形で派遣法が成立した。現在、IT業界に広がる偽装請負も、同様の動きを見せている。 IT業界では、ごく一般的に客先常駐という勤務形態が行われている。客先常駐とは、簡単に言え
月刊『労働運動』34頁(0350号11/01)(2019/05/01)


労働組合運動の基礎知識 第55回
IT業界に蔓延する偽装請負許すな!

2019年4月 1日発行 第0349号

兼業・副業の解禁は8時間労働制の解体  4月1日より「働き方改革」関連法が順次施行になる。3月9日の「東京新聞」朝刊は一面で「副業・兼業解禁」問題を全面的に取り上げた。この記事の内容は極めて重要だ。 「各社で残業ゼロ 足すと過労死ライン」「副業来月『解禁』安全網に不安」「兼業の労災法規定なく」というのが3本の大見出しである。 わかりやすい例として挙げているのが本業のA社で週40時間、月に160時間働き、副業のB社で週25時間、月100時間はそれぞれの会社では法定労働時間に収ま
月刊『労働運動』34頁(0349号16/01)(2019/04/01)

労働組合運動の基礎知識 第54回
兼業・副業の解禁は8時間労働制の解体

2019年3月18日発行 第0348号

「同一労働同一賃金」とは何か?  「同一労働同一賃金」を一言で批判しようとすると結構難しい。何故かというと、安倍が言いだした「同一労働同一賃金」と歴史的に労働運動の中で使われてきた「同一労働同一賃金」は完全に真逆だからである。 歴史的にはどういう時に使われたのか。 戦後の都の「臨時職員」が正規職へ転換していく闘いは、一つの典型的な事例だ。職務の内容、勤務時間などは職場の一般職員とまったく同一で、数年間にわたって雇用されていても「臨時職員」という名の職員は定数外職員だった。昇給
月刊『労働運動』34頁(0348号10/01)(2019/03/18)

労働組合運動の基礎知識 第53回
「同一労働同一賃金」とは何か?

2019年2月 1日発行 第0347号

 国鉄分割・民営化攻撃と一体で1987年の労基法改悪で「変形労働時間制」が導入された。1か月単位、1年単位、1週間単位の変形労働時間制とフレックスタイム制である。これらについては何回か書いてきたが、繰り返しこの問題に言及する必要があると考える。これは8時間労働制の解体攻撃の中心軸であり、様々な美辞麗句、手を変え品を変えてかけられる現在進行形の攻撃だからである。 JR東が、コアタイムなしのフレックスタイム制を導入するという。小池百合子都知事は、「満員電車ゼロ」を公約に掲げて都知
月刊『労働運動』34頁(0347号15/01)(2019/02/01)


労働組合運動の基礎知識 第52回
変形労働時間制のあれこれ

2019年1月 1日発行 第0346号

「インターバル規制」とは?  「働き方改革関連法案」が連合の裏切りによって成立したのは周知のことである。2017年3月28日の政府の「働き方改革実現会議」(議長・安倍総理大臣)直前の3月13日に「時間外労働の上限規制に関する労使合意」が為され、「1、上限規制」という項目の中に「一時的な業務量の増加がやむを得ない場合の上限については......(時間外労働について)休日を含んで、単月は100時間を基準値とする」と明記されている。「2、勤務間インターバル制度」という項目で、「終業
月刊『労働運動』34頁(0346号11/01)(2019/01/01)

労働組合運動の基礎知識 第51回
「インターバル規制」とは?

2018年12月 1日発行 第0345号

 10月30日に「2018年版過労死等防止対策白書」が厚生労働省から発表された。本文は382頁に及ぶ膨大な文書であるが、「過労死防止対策」は何も書かれていない。過労死の実態と過労死を促進する「働き方改革」が宣伝されているだけだ。怒りなしには読めない資料だ。 「~過労死等が多く発生していると指摘のある重点業種・職種(教職員、IT産業、医療)の過労死等の要因等について分析しました~」と書かれているように、分析とデータが羅列しているだけである。 「過労死等防止対策白書」は、過労死等
月刊『労働運動』34頁(0345号07/01)(2018/12/01)


労働組合運動の基礎知識 第50回
長時間労働が過労死・過労自殺の最大の原因

2018年11月 1日発行 第0344号

■年休を取る人は社会人の常識に反する? 関西合同労組の新しい分会の会社では「年休を取得するのは社会人としての常識に反する」と言う社長がいるそうだ。組合を公然化してからはそういうことは言わなくなったそうだ。 年次有給休暇については、労働基準法の規定を知っているしそういう権利があることがわかっていても、有給の申請をして年休を全部消化している職場は少ないのではないだろうか。 人員がギリギリで、自由に有給休暇を取得できない職場が多い。この有給を全部消化できない人員体制の中で、会社側の
月刊『労働運動』34頁(0344号18/01)(2018/11/01)


労働組合運動の基礎知識 第49回
年次有給休暇について

2018年10月 1日発行 第0343号

 ある職場で始業時間が8時30分からとなっているのに、8時15分から仕事を始めていることが明らかとなり、この15分の早出残業時間の未払い残業代を請求することになった。毎日15分でも3年も働けば20万円を超える金額になる。一般的には2年間の請求しかできないが、団体交渉次第ではさかのぼって3年分支払わせたいところだ。 こういう職場で団体交渉を行い、問題になるのが資本の側は「8時15分から仕事を始めるようにと会社は指示はしていません。自主的に15分前から仕事をしていたわけでしょう。
月刊『労働運動』34頁(0343号12/01)(2018/10/01)


労働組合運動の基礎知識 第48回
「早出残業」について

2018年9月 1日発行 第0342号

サマータイムは「働き方改革」攻撃 自民党安倍政権は、東京オリンピックを口実にサマータイムを導入しようとしている。これは働き方改革と一体の8時間労働制解体攻撃である。過重労働、健康被害、システム障害など百害あって一利なしのとんでもない大攻撃である。東京オリンピックもろともサマータイム導入攻撃を粉砕しよう! 自民党の2020年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部の本部長を務める遠藤利明は、9日夜のNHKの番組で「サマータイムは東京オリンピック以後も継続する。2年限定ではな
月刊『労働運動』34頁(0342号11/01)(2018/09/01)


労働組合運動の基礎知識 第47回
サマータイム導入は8時間労働制解体攻撃

2018年8月 1日発行 第0341号

コンビ二加盟店の店長は労働者か否か  2014年3月13日に岡山県労働委員会は、セブンイレブンの加盟店ユニオンの団体交渉を拒否したことに対して、コンビニ加盟店の店長の労働者性を認め、労組法7条2項の団交拒否にあたるとの命令を下した。2015年3月17日には東京都労働委員会が、ファミリーマートがコンビニ加盟店ユニオンの団交を拒否したことに対して、その労働者性を認め、不当労働行為の救済命令を出した。現在その二つの命令が併合されて、中央労働委員会で争われている。 今回、両方の命令を
月刊『労働運動』34頁(0341号12/01)(2018/08/01)

労働組合運動の基礎知識 第46回
コンビ二加盟店の店長は労働者か否か

2018年7月 1日発行 第0340号

 前回は1か月単位の変形労働時間制について書いた。今回は1年間の変形労働時間制について。 1年間の変形労働時間制は、1か月以上1年未満で労働時間を設定する変形労働時間制だ。基礎になる労働時間は365日2085.7時間、366日(閏年)2091.4時間である。 1年単位の変形労働時間制は極端な話、閑散期に丸々休ませて、繁忙期に31日全部働かせるようなことがないような制限がある。1年あたりの労働日数280日(年間休日85日)、1日あたりの労働時間10時間まで、1週間あたりの労働時
月刊『労働運動』34頁(0340号17/01)(2018/07/01)


労働組合運動の基礎知識 第45回
1年単位の変形労働時間制

2018年6月 1日発行 第0339号

※8時間労働制解体のための―労基法32条の2(1カ月単位の変形労働時間)  変形労働時間制が導入されたのは1988年。国鉄分割・民営化攻撃以降のことである。ただし、1947年に労働基準法が施行されて以来、現実には就業規則において4週間を平均して1週あたりの労働時間が上限(当時は48時間)を超えない定めをしたときは、特定の日又は特定の週において労働時間の上限を超えて労働させることができることとし(4週間単位の変形労働時間制、施行当時の第32条2項)、多くの企業がこの方法を採用し
月刊『労働運動』34頁(0339号12/01)(2018/06/01)

労働組合運動の基礎知識 第44回
8時間労働制解体のための変形労働時間制

2018年5月 1日発行 第0338号

8時間労働の歌「おれたちは仕事をほっぼりだそうと思う。おれたちはやっとこさ、生命をつなぐだけの金で働くことにまったくつかれきってしまった。考える時間なんか一時間もないのだ。おれたちはお天とうさまの光をあびたい。おれたちは花の匂いをかぎたい。神さまもきっとそうしたことをのぞんでいられるはずだ。だからおれたちは8時間労働がほしいのだ。おれたちは造船所や大小の工場から、おれたちの仲間をよびあつめよう。 第一の8時間は仕事のために、第二の8時間は休息のために、そして残りの8時間はおれ
月刊『労働運動』34頁(0338号10/01)(2018/05/01)


労働組合運動の基礎知識 第43回
メーデーと8時間労働制

2018年3月 1日発行 第0336号

 全国労働組合交流センター第25回総会時に開催された機関誌担当者会議において、このコーナーが「難しい」「分かりにくい」「残業代などについてわかりやすく解説を」という意見が出たと聞きます。そこで今回は残業代について書くことにしました。 今国会で労働法制が全面的に改悪されようとしています。何としても阻止しなければなりません。「働き方改革」関連8法案として一括して法案を改悪しようとしていますが、その核心に8時間労働制の解体があります。今回からこの8時間労働制の問題を焦点にしてシリー
月刊『労働運動』34頁(0336号12/01)(2018/03/01)

労働組合運動の基礎知識 第41回
残業代について

2017年9月 1日発行 第0330号

 暑さ指数の事をWBGTという。熱中症チェッカーとアマゾンで検索すると、数千円台の安い測定器が出てくるが、これは正確な数値が出ないので使い物にはならない。WBGT-Monitorと検索すると3万円くらいの測定器が出てくる。私の職場で使っているのはWBGT-Monitor AD-5695という機種で、このレベルだとWBGTだけでなく、乾球温度や相対湿度、絶対湿度が別々に表示されるので暑さ指数の全体像をつかむことができる。 暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランス
月刊『労働運動』34頁(0330号07/01)(2017/09/01)

労働組合運動の基礎知識 第35回
日本WBGT-Monitor(熱中症測定器)を各職場に常備させよう!

2016年12月 1日発行 第0321号

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度だ。 最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の2種類がある。なお、地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される。特定最低賃金は、特定地域内の特定の
月刊『労働運動』34頁(0321号05/01)(2016/12/01)

労働組合運動の基礎知識 第26回
最低賃金制度について

2016年11月 1日発行 第0320号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) 安倍首相は「働き方改革」に関連して「長時間労働を抑制することは非常に重要と考えております。…三六協定の在り方を含め…長時間労働抑制策を取りまとめていきたいと考えています」(2016年3月14日 参議院予算員会における総理答弁)、「三六協定において、健康確保に望ましくない長い労働時間を設定した事業者に対しては指導強化を図ります」(同年3月25日 第6回一億総活躍国民会議における総理発言)などと述べ、長時間労働を是正していくかのような
月刊『労働運動』34頁(0320号12/01)(2016/11/01)


労働組合運動の基礎知識 第25回
三六協定について

2016年10月 1日発行 第0319号

「専修大学労災患者解雇事件」差し戻し事件高裁判決について  この判決は労災による休業期間中は解雇はできないとする労働基準法19条を空文化し、75条の解釈を逆転させる反動判決である。75条には「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない」、第81条には「第75条の規定によって補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千
月刊『労働運動』34頁(0319号09/01)(2016/10/01)

労働組合運動の基礎知識 第24回

2016年7月 1日発行 第0316号

 小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)  国鉄闘争全国運動の6・5集会は安倍政権によって戦後労働法制が根底から解体されようとしていることに全面対決する宣言を発した。 攻撃の核心は「正社員ゼロ・解雇自由」の社会を生み出すための雇用と労働政策の歴史的転換であり、国鉄分割・民営化攻撃の全社会化である。その攻防の基軸にCTS(千葉鉄道サービス)の就業規則10・1改悪をめぐる闘いがある。 このコーナーは毎回具体的・実践的課題のポイントをリアルタイムでとらえる形で書いてきた。今回
月刊『労働運動』34頁(0316号12/01)(2016/07/01)

労働組合運動の基礎知識 第21回
いまひとつの改憲攻撃ー労働法制改悪

2016年6月 1日発行 第0315号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) 団交拒否・不誠実団交  労働組合法第7条の2号は団体交渉拒否、不誠実団交の定めだ。小竹運輸グループ労働組合の茨城県労働委員会の4・20勝利命令の大きな柱が経営法曹・石嵜事務所との闘いだった。 団体交渉の当事者は労働者であり、労働組合だ。しかし石嵜事務所の前嶋や安藤弁護士らはそのことを否定する。団交場所は会社が一番良いのは当たり前だ。運転手が仕事から帰ってきて、会社の中で団交を行えばよい。しかし彼らは当初から会社から車で30分もかか
月刊『労働運動』34頁(0315号11/01)(2016/06/01)

労働組合運動の基礎知識 第20回

2016年5月 1日発行 第0314号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)「同一価値労働同一賃金」再論 UAゼンセンの157万の組合員の半数以上は、正社員より時間が短い短時間労働者であり、フルタイムの「契約社員」、派遣社員、有期労働契約の非正規雇用労働者を組織し、「路線」として「同一価値労働同一賃金」を掲げている。松井健(UAゼンセン・政策・労働条件局・常任中央執行委員)は、賃金については「賃金決定において生計費を反映することを一概に否定することはできないが、少なくとも基本賃金は狭義の労働の価値に応じて決
月刊『労働運動』34頁(0314号10/01)(2016/05/01)


労働組合運動の基礎知識 第19回

2016年4月 1日発行 第0313号

 改正労働契約法は2012年8月10日に立法化された。18条、19条、20条がその条文だ。19条は即日施行になり、18条、20条は2013年4月1日に施行になった。 現在、千葉鉄道サービス(以下、CTS)において就業規則の改悪攻撃がかけられている。この攻撃はCTSにとどまるものでなく、全産別の課題だ。18条に関しては5年の無期転換の前に雇い止め解雇が強行されることが予見されていた。現実にそれが今、全産別で始まっている。この攻撃は、改悪派遣法と一体でこれから全国の職場で大問題化
月刊『労働運動』34頁(0313号09/01)(2016/04/01)

労働組合運動の基礎知識 第18回
千葉鉄道サービスの就業規則改悪は公序に反する

2016年3月 1日発行 第0312号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) 同一労働同一賃金・同一価値労働同一賃金  安倍が1月22日の施政方針演説で「同一労働同一賃金」の実現を掲げ、5月にまとめる予定の「ニッポン1億総活躍プラン」に具体的な制度を盛り込む考えを示したことで、「同一労働同一賃金」の問題が一気に焦点化してきた。 安倍は「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」(2015年9月16日公布・施行)の具体化の検討を指示した。これは改悪派遣法を補完する立場で、自民・公明・維新
月刊『労働運動』34頁(0312号08/01)(2016/03/01)

労働組合運動の基礎知識 第17回