月刊労働運動-Home> 特集 >

全国運動5年の地平-今秋、全国で網の目の国鉄集会を!

月刊『労働運動』34頁(0304号02/03)(2015/07/01)


国鉄闘争全国運動5年の地平-今秋、全国で網の目のような国鉄集会を!


―国鉄闘争全国運動6・7全国集会の総括―白井 徹哉(国鉄闘争全国運動事務局長)

 東京・日比谷公会堂で6月7日、国鉄闘争全国運動の全国集会が開催されました。1650人が結集し、韓国鉄道労組ソウル地本の代表も参加しました。 2010年6月の国鉄闘争全国運動の開始から5年となる節目の集会でした。「解雇撤回・JR復帰の最高裁判決を求める」署名は目標であった10万筆を6月7日当日、集会の場において達成しました。動労総連合をはじめ職場生産点における闘いの息吹を感じる良い集会になりました。集会では「民営化と闘う日韓鉄道労働者共同声明」も発せられました。
 国鉄闘争をテーマにこうした素晴らしい集会が開催できたことは決して当たり前のことではありません。国鉄闘争の息の根を止めることを狙った2010年4・9政治和解から5年余。「国鉄闘争の火を消すな」の旗の下に多くの人びとの力を結集し、国鉄闘争の全国的運動として必死に闘ってきた結実です。
 集会は、国鉄闘争が今なお燦然と全国の労働者を惹きつけ感動させる力をもっていることを示しました。1047名解雇撤回闘争が四半世紀を超えて継続していること、さらにはJRの現場において動労千葉―動労総連合が団結を守り現場闘争を堅持していることが、どれほど全国の労働者に希望と展望を与えるのかを物語っています。
 国鉄闘争を基軸に新自由主義と闘う階級的労働運動を全国の地域・職場につくりだしていく――この国鉄闘争全国運動の綱領と路線のもとで、具体的には裁判闘争や署名運動、地域集会などを実践的行動と組織化の水路に個別の職場における苦闘や危機感を結集してここまで進んできました。その努力によって初めて運動開始から5年目にして運動が収束するのではなく、さらに発展していく展望を示すことができたのだと思います。

解雇撤回署名10万筆を達成

 集会開始の数分前の集計でようやく署名は10万筆を超えました。実を言えば直前まで目標達成は危ぶまれていました。しかし前日と当日に一挙に署名が集まりました。目標を達成したいと最終局面で尽力してくれた人が全国にいて初めて実現しました。執念を持った組織者・活動家なしにどんな運動も成立しません。国鉄闘争全国運動は小なりとはいえ全国の地域・職場にそうした活動家とそれを支える背景をつくりだしたのです。紙面の都合でこれ以上は記すことはできませんがこの点はもっと掘り下げて総括したい点です。
 呼びかけ人の伊藤晃さんは「署名運動は、この現実に対して労働運動ができることを示した」とその意義を語り、動労千葉の田中康宏委員長は「労働運動再生の芽をつくり、国鉄分割・民営化反対闘争のもとにあらゆる怒りの声を集めよう」と訴えました。10万筆を達成した物質力が集会に迫力とリアリズムを与えました。
 国鉄闘争を継続する運動・勢力がもはやほかにはないという消極的ファクターをも動員しながらスタートした国鉄闘争全国運動は、裁判闘争においても〈国鉄闘争の真実〉を暴き出し、裁判所をして不当労働行為を明確に認定させ、「解雇撤回・JR復帰」を改めて訴えて100万人支援陣形に分け入り、署名10万筆を組織したのです。国鉄闘争を継続させただけでなく、その歴史的階級的意義を全面展開させうる条件と情勢を切り開いたのです。
 さらにはJRの現場において動労千葉―動労総連合は、外注化阻止闘争や被曝労働拒否の闘いを展開し、「組織拡大―動労総連合を全国に」の歴史的挑戦を開始しました。
 国鉄闘争全国運動は、国鉄闘争として体現されてきた戦後労働運動の戦闘性を継承し、さらには新自由主義―全社会的な第2の分割・民営化攻撃との対決の中で全国の地域・職場において階級的労働運動をつくりだす(綱領的・路線的にも)積極的な運動へと成長・転化しつつあります。
 具体的な運動として署名運動があってはじめて国鉄闘争全国運動はここまで進んできました。「国鉄分割・民営化絶対反対」「国鉄1047名解雇撤回」はただ言葉だけのスローガンではありません。現実の運動として進んできたことが決定的です。そしてそれが全国の草の根レベルで交通関係をつくりだしながら前進してきたのです。
 国鉄1047名解雇撤回闘争は、現実の闘いとして100%リアリティーを持っていることを示しました。2010年の政治和解のとき「闘争団はもうもたない。1047名闘争は賞味期限切れ。こういう現実だから仕方がない」という言い方がされました。まったく誤った認識であったことは国鉄闘争全国運動の5年間が示しています。
 国鉄闘争全国運動は、1047名解雇撤回闘争がいまなお現実の運動として成立しうることを示し、JR体制の破綻を打ち破って国鉄闘争勝利の展望を押し開きました。
 新自由主義との闘いをどのように現実的な運動として成立させるか――これは国際プロレタリアートにとって本当に大きな課題です。私たちは、国鉄闘争を基軸とした階級的労働運動路線としてそれを確立していきたいと思います。

動労総連合建設の展望開く

 集会のもう一つの見所は、動労千葉を支援する会・木更津からはじまり動労千葉各支部、被曝労働拒否を闘う動労水戸、そして高崎・西日本・神奈川での動労総連合の前進、国労と続いたJRの現場闘争の報告です。現場で団結と原則を守り抜いてきたことが動労総連合を全国で建設する展望をつくりだしました。第2の分割・民営化攻撃との対決をJR労働者の多数を獲得する論理と実践方針へと高めていくことが課題です。
 JRでは転籍攻撃がいよいよ本格化しました。外注化阻止闘争と組織拡大・動労総連合建設は、これと対決していく方針です。動労千葉は、自らの闘いの中で下請け労働者の組織化を自らの組織(化)問題としてはっきりと措定して前進を開始しました。二桁のCTS労働者を組織化した意味ははかりしれないものがあります。
 民営化や外注化においても、あるいは新たな産業部門の形成にせよ、資本主義の新自由主義的な展開にとって非正規雇用問題は核心中の核心です。同時に労働運動の歴史的階級的前進にとって本質にかかわるテーマです。動労千葉の外注化阻止闘争は、労働運動の歴史的階級的復権として大きな意義を持った挑戦です。
 国鉄闘争全国運動は、国鉄闘争の100万人支援陣形の再結集をはかり、労働者階級全体の利害をかけた階級的労働運動復権の闘いです。闘いは1人(少数)から始まり、それが多数を獲得します。1人が決定的ですが、しかし1人だけではなにもできません。国鉄闘争全国運動はこれを多少なりとも実現した闘いではないかと思います。