月刊労働運動-Home> 各地の活動 >

変える力はここに、3・11福島反原発行動1050人

月刊『労働運動』34頁(0313号03/01)(2016/04/01)


変える力はここにある、私たちが歴史を動かす-3・11 福島反原発行動'16 に1050人が結集!

 東日本大震災と福島第一原発事故から5年を迎えた3月11日、晴天に恵まれ、郡山市で3・11反原発福島行動'16を開催した。
 昨年の「3・11」前の2月、福島大学での宣伝活動中に暴力事件デッチ上げ・学生の不当逮捕があり、今年も「福島圧殺、3・11つぶし」で、埼玉の楢葉町現地調査を「道路運送法違反」とした不当家宅捜索があり、京都大学反戦ストライキを「威力業務妨害」として京都大学当局と公安警察が大弾圧に踏み込んできた。「福島圧殺、3・11つぶし」弾圧を全国の労働者・学生の団結で押し返し、3・11反原発福島行動'16を開催することができた。「変える力はここにある、私たちが歴史を動かす」のスローガンの下、動労千葉、動労水戸、動労福島をはじめ1000人を超える多くの労働者・農民・市民・学生が県内外から参加し、大成功をおさめた。全国から駆けつけてくれた仲間のみなさんありがとうございます。

被曝労働拒否を闘う労働組合の力

 集会の冒頭、動労福島の橋本光一実行委員長は「昨年9月、ついに福島の地に動労総連合の旗を打ち立てた。被曝労働拒否をストライキで闘う動労水戸の階級的魂を受け継ぐ動労福島の登場で、福島の労働運動の階級的大転換をかちとっていく心棒が立った」と宣言。「すさまじいまでの復興キャンペーンにも決して屈することのない福島の怒りは、資本主義・新自由主義と絶対非和解の階級的で根底的なものです。労働者、農民、漁民らの怒りを束ねることができるのは労働組合しかありません」と、労働組合との結びつきが反原発運動の発展に不可欠だと熱烈に訴えた。
 京都府職労舞鶴支部の「高浜原発止めたぞ!」という発言は輝いていた。2月28日、地元の集会とデモで被曝労働と再稼働のための避難計画動員に反対を宣言して闘い、3月9日に大津地裁による高浜原発3、4号機の差し止め仮処分決定の勝利をもぎ取った。原発から70㌔メートルの住民の権利を認め、新規制基準を批判した画期的判決を出させた根底には、自治体労働組合の非妥協の闘いがあった。参加者から喝采が上がった。
 3月5日、安倍首相は南相馬市に入り、「東京オリンピック前の2019年度末までに常磐線全線開通する」と宣言した。オリンピックを口実に福島の現実に蓋をして、常磐線の開通で避難地域の解除と帰還の強制をするものだ。「常磐線開通を阻止する」と宣言した動労水戸の石井真一委員長の発言は力強く、全体を牽引した。「JRでは常磐線全線開通のために、運転士、車掌、駅員などを原ノ町運輸区に転勤させようとしている。労働者への配転と被曝の強制です。組織を拡大し、常磐線全線開通を断固阻止します」。原発事故以来、被曝労働拒否で闘ってきた動労水戸の新たな戦闘宣言が発せられた。
 原発労働者のメッセージは労働者の誇り、生きることの根底的意味と被曝労働拒否の闘いの内実を問うものだった。「原発で働く誇りとは何か。汚染と被曝の中で、息も絶え絶えに働き続ける若者たちを少しでも被曝から遠ざけることができるのであれば、それを貫いてほしい」

福島5年目の現実

 原発事故によって今なお9万8500人が避難生活を強制されている。昨年9月に楢葉町の避難解除が行われたが、帰還した住民は6%。除染で出た廃棄物は12万8500か所の仮置き場や現場に置かれたまま。搬出先の中間貯蔵施設は用地取得が全体の1%程度。完成はありえない。子どもたちは心臓病、喘息、白血病、甲状腺炎を患っている。体育の授業に出られない子どももいる。小児甲状腺がんが167人を数える。
 原発事故から5年、溶け落ちた燃料がどうなっているのかも解らない。汚染水もフレコンバッグも増え続ける。何の見通しもない中で国や県、学者や医者までが、「放射能は怖くない。心配する方が悪い」と言い、「安全だから補償も止める」「逃げるな、帰れ」と帰還の強制を言う。白血病で労災認定を受けた原発労働者の累積線量よりも高い年間追加線量20㍉シーベルトが安全なはずがない。
 ふくしま共同診療所院長の布施幸彦さんは「小児甲状腺がんが167人に増えた。世界では放射能の影響だと思われている。韓国・ドイツなどの世界のマスコミが診療所に取材に来ている。うちの診療所だけが『避難・保養・医療』を掲げて活動している。これからもこの運動を大きくし、国を変えるために頑張っていく。参院選で鈴木たつおさんの当選を実現しよう」と呼びかけた。

ふくしま共同診療所を守り支えていく

 3・11原発事故から5年目、「避難・保養・医療」をかかげて地元の労働者人民の拠り所となっているふくしま共同診療所を守り支えていくことは決定的に重要な闘いとなっている。「150万人を避難させたら国家が滅びる」と、山下俊一はじめ御用学者が総がかりで安全・安心キャンペーンを繰り広げ、160人を超える小児甲状腺がんの発症にも「被曝の影響とは考えにくい」と言い放つ政府と福島県。さらに、ふくしま共同診療所攻撃の先兵となっているのが日本共産党・民医連である。福島大学の清水修二やわたり病院の斎藤紀らが言っていることは山下俊一と一言一句違わない。「避難のストレスの方が被曝のリスクよりも大きいから、折り合いをつけてここで暮らせ」と言って帰還強制の旗振り役をつとめている日本共産党とそのイデオローグ達を許してはならない。これから本格的に現れる被曝の影響を今から否定することで国家を救済し、労働者階級人民の命を売り渡す日共スターリン主義は、「国民連合政府」構想で安倍政権の侵略戦争に積極加担する道に舵をきった。日本共産党との党派闘争に勝ち抜くことが戦争を阻止し革命をたぐり寄せる道である。
 3・11集会では、ふくしま共同診療所の応援歌「希望の診療所」も発表された。昨年冒頭からのマスコミを使った過激派キャンペーンにも動じることなく、全国・全世界の労働者人民に支えられてきたふくしま共同診療所を、職場と地域に根ざした階級の拠点として打ち立てていく闘いは、これからが本番だ。
 動労福島とふくしま合同労組が被曝労働絶対反対の闘いを組織していくことが、福島の労働運動を打ち立てていく具体的な水路だ。ともに闘いましょう。
渡辺 馨(福島労働組合交流センター)