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高浜3・4号機を止め、全原発廃炉へさらに闘おう

月刊『労働運動』34頁(0314号05/01)(2016/05/01)


高浜原発3・4号機を止めた力で、全原発の再稼動阻止・廃炉へさらに闘おう

(写真 2・28 高浜原発再稼働阻止舞鶴闘争)

長岡 達也(京都府職員労働組合舞鶴支部長)

●大地震が起きても原発再稼動を強行する安倍政権

 4月14日以降、九州熊本地方を中心に地震が続発、最大震度7を記録し、多大な被害が発生している状況です。しかし、安倍政権は鹿児島県川内原発について、安全上問題ないと開き直り、運転継続を強行しています。九州地方の交通網は寸断され原発事故が起これば逃げられない事態が目の前に現れています。  愛媛県の伊方原発も熊本地震の震源地と連続した断層帯に位置しており、いつ大地震が発生するか予断を許しません。政府は「どんな事態になろうとも」原発を止めない、止めたらもう再稼働できないかもしれないという、力関係を労働者の側が強制している。だから絶望的に稼働を強行する――これが川内原発を巡る情勢の根幹にあります。今の社会を根底から覆さない限り、原発廃炉はありません。

●昨年9・13高浜原発再稼動阻止の現地集会が情勢を変えた

 今、若狭湾の原発はすべて止まったままです。昨年の秋から今年3月にかけて、高浜原発の再稼働を強行しようとしてきた安倍政権に対して、京都府職労舞鶴支部は文字通り絶対反対でたたかい、関西電力の一度は再稼働した3、4号機を再び停止させるところに追い込みました。それは、福島の根底的な怒りと結びついた全国の労働者・住民の圧倒的な反原発の声の力と、原発地元の絶対反対のたたかいが結びついてかちとった地平です。
 京都府職労舞鶴支部では、昨年9月13日、戦争法を許さない全学連を先頭にした国会前での実力闘争と一体となって、高浜原発再稼働阻止の現地集会・デモを開催しました。当時は、福井地裁で運転を差し止める仮処分が出て半年弱、しばらく再稼働はないだろうという空気が色濃い状況でした。しかし、政府・関西電力がこれから必ず再稼働を強行してくることを見据え、労働組合が主体となった原発絶対反対のたたかいが絶対必要だ、地元の自治体労働組合が立ち上がることが情勢をつくると執行部で議論しました。実際、集会を取材に来た新聞社も、なぜこの時期に集会をするのですかと聞いてくる状況でしたが、今思い返しても昨秋の集会を打ち抜いたことが以後の情勢をつくったと間違いなく言えます。
 若狭湾の原発はすべて福井県に立地しています。しかし、京都府北部の舞鶴市の全域が、高浜原発の30 圏内に入ります。地理的な近接性だけでなく、経済的にも舞鶴市に住む多くの労働者が原発で働いて生活している現実があります。原発に近づくほど反対の声があげられなくなるという典型のようなところに舞鶴市が位置しています。

●京都府職労舞鶴支部は愛媛県職労、動労水戸に学び連帯した

 京都府職労は、自治労連傘下の単組として原発に反対する立場を取っていますが、現場からのたたかいをつくることを放棄し、他人のふんどしで相撲をとることしか出来ません。そこで働く職員は実際に否応なく原発と向き合うことを余儀なくされる中で、中途半端なたたかいは通用しません。右往左往しながら掴(つか)み取った大きな教訓は、労働安全の問題として伊方原発再稼働とたたかう愛媛県職労から学び、つながり連帯を生み出せたことです。原発立地自治体の労組が共にたたかう団結の力こそが、舞鶴支部のたたかいを支え、強化してくれたと思います。
 当然、職場の労働者には色々な意見があります。「原発のことは政治的なことだから労働組合がすることではない」といった意見や、原発再稼働に賛成する意見もあります。そういう中で、支部執行部は、自ら判断し、決断してたたかうことではじめて議論が生まれる、自らの労働問題として労働組合がたたかうことが住民に責任を取ることであり、かならず地域の信頼を得て地域の新たな団結を生み出すことができる、と議論ではっきりさせました。その根底には、動労水戸が被ばく労働拒否を自らの労働問題としてストライキでたたかっていること、福島の地で新たな団結が生み出されたことが、決定的な確信を与えてくれています。

●体制内執行部とは「今、たたかっているかどうか」で決する

 当然ながら、舞鶴支部が動労水戸とつながることに府職労本部は激甚に反応しました。
 しかし、絶対反対でたたかっていることに文句などつけようがなく、私たちは堂々と集会を成功させ、有無を言わせない力関係を本部に強制しました。体制内労組との対決は、今は、「たたかっているかどうか」がすべてを決します。たとえ少数でも、屹立(きつりつ)してたたかう団結をつくることの重要性を身を持って経験しました。

●2・28高浜原発反対舞鶴集会があきらめムードを一変させた

 高浜原発3号機は1月の末に、4号機は2月の末に再稼働を強行するという中で、「あきらめ」ムードを一変させたのが、2月28日の舞鶴集会でした。絶望的でデタラメな再稼働などすぐに破綻する、危機に陥ったのは敵の側だと9・13集会からのたたかいの中ではっきりさせたことで、本当に高揚した集会・デモを貫徹することが出来ました。飛び入りの参加者も、絶望的な思いだったが逆に勇気が出たと感想を語ってくれました。集会翌日の4号機緊急停止から3月初めの3号機ストップへ、電力資本は以前に増してそう簡単には再稼働出来ないところに追い込まれています。やはり墓穴を掘ったのは敵の側でした。

●多くの仲間との出会いと団結が最高の力

 福島から、9・13集会に「希望の牧場」の吉沢正巳さん、ふくしま共同診療所の杉井吉彦医師、動労水戸の照沼靖功さん、2・28集会に椎名千恵子さんに来ていただけたこと、1月には動労水戸の石井真一委員長に学習会講師として舞鶴支部に来ていただけたこと、そして、愛媛県職労や八尾北医療センター労組との団結が生まれ、元原発労働者の斉藤征二さんと固くつながることが出来たこと、関西の自治体労働者を先頭に多くの労働者の結集で舞鶴ではかつてない力強いデモとなったことなど、多くの方々との出会いと団結こそが、舞鶴支部がこの過程で得た最高の力です。この力で、まだまだ途上の現場での苦闘に必死に向き合い、団結の強化・拡大で、自治体労働組合として全原発廃炉、戦争阻止の最先頭でたたかいます。