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4・28AGU結成大会かちとる!

月刊『労働運動』34頁(0317号06/01)(2016/08/01)


4・28AGU結成大会かちとる!
4月28日に行われたAGU結成大会の報告を掲載します。

(写真 AGU結成大会参加者)

織田翔子さん 私はアメリカンアパレル分会です。今まで3拠点で闘ってきて、自分の職場で闘うにも孤立ではなく、APPAREL GENERAL UNION(アパレル・ゼネラル・ユニオン)を結成して闘おうとなりました。AGUを正式に結成したいと思います。(拍手)
 結成にいたる経緯とアメリカン・アパレル・ユニオン(アメ・アパ)の報告をします。2012年8月、有限会社アメリカン・アパレル・ジャパンに対して組合を結成しました。当時、自由が丘店で、私とハナコさんが働いていました。全員非正規で、店長もアルバイトも時給1200円、99%非正規のブラック企業でした。給与の遅配や計算ミスもあったり、会社の金庫から200万円が消えたり、ひどかった。
 組合結成の準備をしていたのですが、自由が丘店の閉店と同時に、ハナコさんの解雇攻撃があり、結成しました。すぐに団体交渉を申し入れ、1週間後に行いました。いきなり団体交渉だったので、労働法もわかっていないけれど、「ハナちゃんの解雇は不当だ」と言ってやりあいました。現場の仲間が4人来てくれました。若い子が解雇はおかしいというのがあり、団交の3日後に「解雇は撤回します」と解雇撤回を勝ち取ったのです。仲間を増やそうと引き続き団交をしました。翌2013年3月にもう一度解雇攻撃が来て労働委員会を闘いました。
 二度目の解雇通告があって、たくさんの仲間が組合に加盟してくれたり、3月31日ストライキではたくさんの仲間が休みをとってデモに参加しました。「仲間が好きだ」「仕事が好きだ」「人間らしく生きたいだけだ」というコールも生まれました。2年間闘い、解雇されたので、ハナコさんは仕方なく職を探し、入った会社がマナマナです。
 アメ・アパでは、西部ユニオンとして労働委員会闘争をやり、解雇理由は「買ったズボンのサイズがX、XLと違うから、ハナコはアルバイトもダメだ」という、ひどい理由でした。会社側の弁護士が言ったのですが、労働委員会闘争をやり続け、2015年3月に解雇は無効、原職復帰という完全勝利命令を勝ち取りました(拍手)。「今すぐ命令を履行しろ」と追及したら2015年4月にアメ・アパに復帰することができました。
 解雇されていた期間に働いていた株式会社マナマナがおかしな状況になる。経営改革としてパワーハラスメントをやり、対策会議をつくるような人が出てきたので、仲間をつくり2016年1月にマナマナ分会を結成しました。すでに団体交渉も2回行っています。最初の団交は、アルバイト雇用の仲間に対して「ピアスを取るのか会社を辞めるのか決めろ」という退職勧奨がかけられて、これを撤回させ謝らせました。第2回団交は、アルバイト社員に対して有給休暇が付与されていなかったことを追及し、有給休暇付与とその日数を通知させる勝利をかちとりました。女性の社長ですが、組合員に暴言を吐きまくり、なかなかの状況です。
 そして、丸田さんがマツオインターナショナルで、4年越しの恨み辛みを引っさげて、2016年3月に組合結成、団交を行いました。アメアパもマナマナもひどかったけれど、マツオも団交は一番ひどかった。
 以上の経緯で、3つの分会を結成してやっています。奇しくもみんな渋谷区です。若い人が「自分の好きなことで働きたい」と思って就職していますが、「好きなことをやっているのだから給料安くても文句言うな」みたいなことがあるのです。低賃金で、長時間労働。でも、私たちが会社を回しているという誇りは、正規でも非正規でもすごく強くあるのです。非正規ですが、現場に近い人間が闘ったら会社が一番困る。これこそ醍醐味だと思った。非正規でも闘ったら会社との力関係を変えられる。仕事をしている時は、一番偉そうな人に対して組合としてちゃんと物が言える。それが仲間をつくれたコツかなと思います。みんな我慢していますが、闘えば力関係を変えることができる。賃金が安いから誇りが持てないのではなく、誇りを持っているのにこんなにひどい扱いをされていることに怒りをぶつけることが組合によってできる。誇りを取り戻すこと、仲間を取り戻すことができると思います。誰でもどんな職場でも闘える時代って最高じゃないですか。ポジな感じで働いてやっていきたいと思います。(拍手)

ハナコさん 解雇攻撃を受けて組合をつくったのですが、原宿という場所でアパレル労働者が組合をつくるってすごいことだと思っています。マナマナのアルバイトの男性が解雇されるかもしれない状況の中で、彼と一緒に団体交渉をやりました。彼は普通の言葉で社長に話しかけるんです。「もっと暴言吐いていいのに」と言ったのですが、「本当にわかってもらいたい」と言葉を選んで話しているのを聞いて、すごく感動しました。解雇はさせなかったのですが、今は彼は近くの職場に移って働いています。
 長時間労働で休憩2回挟んで拘束時間は10時間が普通です。賃金が20万円いかないのが普通で、家賃を6万~7万円払って、どうやって生きていけるのか。安倍首相は非正規職労働者のことを全くわかっていない。若い人が貧困生活をしているのです。マナマナは正社員がほとんどですが、給料は変わらない。アパレル業界は、デザイナーなどいろんな職種がありますが、長時間労働で土日も仕事で、労働環境を話す場がないのです。
 AGU結成をきっかけに、同じ職種の若い労働者と集まって話し合いたい。自然に給料や長時間労働の話になると思うんです。AGUは新しい労働組合のあり方をつくる。若い人が「労働組合って何?」って思っても、絶対に希望を持てるようになっていくと思います。そういう場を提供する、みんなが話せる場をつくっていく。団体交渉は、「労働組合と会社は対等」ということがわかるのでこれからも進めていきたい。
 現場で働いている私たちが会社を回しているし、私たちがいなかったら会社は回らないという気持ちになれるだけで、負けている感じがしない。自分の存在が重要な存在に思えれば、この業界も変わっていくと思います。3つの組合は5年間全く給料も上がらない、ボーナスなしという状態です。残業も多い。身の回りの不満から会話から始まる。それを今の若い人は求めている。そういう感じで広げていきたいなと思っています。

丸田雅臣さん 「なぜ労働組合なのか」の基調提起(別掲)

Sさん 役員体制発表。

織田翔子さん アメアパをつくって、仲間がいれば生きていけると確信を持った。お金がなくても誇りをもって生きていける。賃金が安くても、どんなひどい時代でも、私たちはみじめな存在じゃない。仲間がいることでそのことを再確認できる。労働組合のパンフレットをつくろうと思っています。もっと豊かな労働組合のイメージを出したい。渋谷近辺で働いている人たちに労働組合のことを伝えたい。仲間を増やして闘います!

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【AGU結成大会の基調提起】

 丸田 雅臣
 AGU結成を本当に嬉しく思っています。「なぜ労働組合を作るのか」それは「労働者の権利を取り戻すため」です。給与や勤務日、休日、人員体制などが労働者の中心的な権利です。労働組合がなければ、会社は権利を無視して違法なことでも都合のいいようにやりたい放題になります。これらの権利は、労働条件だけではなく生活に直結している事柄です。労働組合は働き方の主導権を労働者の手に取り戻し、労働者の生活を守るためにある組織です。
 労働者の権利やそれを守る法律、労働組合も私たちにとってはあって当然のものです。しかしこれらは最初からあったものではありません。世界中の労働者が長い時間をかけて、粘り強く、時には命をかけて闘って勝ち取った大切なものです。産業革命時代のイギリスでは1日16時間労働は当たり前、休日は無し、子どもも長時間働かされて早死にする状況で、工業地帯の労働者の平均寿命は30歳くらいでした。1886年5月1日、アメリカ全土の労働者が8時間労働制の要求を掲げゼネラルストライキをしました。スローガンは「1日24時間のうち、8時間は労働のため、8時間は睡眠のため、8時間は自分のための社会を作ろう」でした。これがメーデーの起源です。労働者が団結すれば、一つの会社の状況を変えることが出来るし、それが企業や産業をこえて広がれば、社会全体を変える力がある、と私は信じています。
 労働者派遣法が改悪され、派遣労働者が同じ事業所で3年以上働くことができなくなりました。2015年からのカウントで2018年には職を失うことになります。また、労働契約法も改訂されました。「有期労働契約が通算5年を超えれば無期労働契約に転換できる」ということが謳われています。しかし実際には通算5年を迎える前に契約解除になる。2013年からのカウントで2018年が期限です。2018年には1400万人もの労働者が職を失う。正規職も無関係ではありません。経営者団体「日経連」が「労働者の9割非正規職化を目指す」と発表したのは1995年です。
 しかし、私は労働者が幅広く団結するためのチャンスだと思います。「正規職」「非正規職」という区別に関係なく生活を脅かす攻撃にさらされている。ともに闘う条件ができている。正規職にとっても非正規職にとっても労働組合が絶対必要です。立場をこえて団結できる。核心は非正規職撤廃だと思います。
 私は3月22日に在籍するマツオインターナショナルで労働組合を結成しました。人員体制や膨大な業務量、引き継ぎゼロの人事異動などおかしいと思うことについて会社のあり方を変えたいと思ったからです。私の職場は、給料も低く、十分な指導もないまま酷使される毎日の中、生活や将来に希望が持てず失望してやめていく人が多い状況です。若い人は使い捨てです。こんな状況は絶対に変える。
 今日のAGU結成を迎えて着実に前進していると感じています。 会社は労働組合の要請に対して誠実に対応しなければいけません。でも、組合にとって法律以上に大切で本質的なことは、仲間と団結することです。労働組合にとって一番大切なことは、どれだけ仲間を増やすことができるかです。今日結成したAGUは合同・一般労働組合(合同労組)、自分の職場で組合を作るための組合で、一人からでも入れます。重要なことは、職場や産業の区別をこえて労働者は団結できる、それ自体が労働者の強いところだと考えています。 「労働組合に入ってともに闘おう」と呼びかけたい。職場で仲間を作ると同時に、職場をこえてつながりを作ろう。