月刊労働運動-Home> 時代を解く > | 連載 >

時代を解く 第19回パククネ打倒 切り開いた情勢

月刊『労働運動』34頁(0322号06/01)(2017/01/01)


時代を解く 第19回
パククネ打倒 階級的労働運動が切り開いた情勢


 韓国で進行している激動情勢をどうとらえるか。日本では、パククネのスキャンダルに民衆が怒って起ちあがった「民主主義を求める動き」と報道されている。だが本質はもっと深い。韓国情勢が決定的なのは、新自由主義の末期の攻撃に対し、民主労総という労働組合が軸となり社会変革の闘争が行われ、それが全民衆の心をとらえ、ついにひとつの革命的情勢にまで発展したということだ。100年前のロシア革命と同じ質の革命的な情勢が生まれているのだ。

パククネ政権の労働改悪攻撃

 パククネは、「財閥を規制する経済民主化」という欺瞞的な公約を掲げて2012年末の大統領選に勝利した。だがパククネは、財閥規制どころか手の平を返して労働者階級に対する全面攻撃に出た。鉄道をはじめ公共機関の民営化を進め、さらに成果年俸制や非正規化・外注化の労働改悪攻撃を仕掛けた。財閥の意を体した「改革」を推進し、民主労総を軸とする労働組合を攻撃することで体制危機を乗り切る勝負に出た。
 だが現実はすべて裏目にでた。13年末の鉄道労組の23日間にわたる長期ストライキ闘争は、国家的弾圧を跳ね返し民衆の圧倒的支持を獲得した。セウォル号事件とも重なり「効率を優先し人間を否定する民営化は悪である」という考えが社会的確認となった。

国鉄分割・民営化と今の韓国

 日本の80年代国鉄分割・民営化の時と比較すれば、その地平がどんなに決定的かがわかるだろう。日本では国鉄分割・民営化強行の結果、一切の社会的な絆がズタズタにされて、労働者の団結すら悪とされる状態が作り出された。韓国ではそれとは違う情勢が生み出された。
 民主労総はハンサンギュン委員長体制下、パククネの労働改悪攻撃との全面対決に打って出た。パク政権は16年1月、就業規則改定で労働改悪を強行実施する動きに出たが4月総選挙で敗北。民主労総はパククネ打倒を掲げ、ゼネスト闘争を「政治的」に拡大した。鉄道労組を中心に公共運輸連盟は9・27から無期限ゼネスト闘争に突入。この中でパククネの驚くべき行状が暴露され、民衆的怒りが爆発、空前の民衆決起情勢が生まれた。与党セヌリ党は分裂し、12・9パククネに対する大統領弾劾が可決された。

逆襲許さず革命を前進させよう

 大統領選挙の前倒し実施、次の大統領を合法的に選出して情勢を鎮めるという反革命の動きが強まっている。大事なことは、韓国資本主義の財閥独裁的実態と分断された朝鮮半島における米帝の軍事体制、国家保安法体制の下、本当の勝負はこれから始まるということだ。パククネ体制を実力で打倒し、韓国における労働者権力の樹立と朝鮮半島の革命的な統一にまで進まない限り、さしあたりの決着すらつかない。東アジア規模の革命が問題になっているのだ。
 動労千葉と民主労総とりわけ鉄道労組との連帯は、この情勢を規定する重要な内在的要因である。日本と韓国の階級闘争はますます現実的に一体なものとして進む。国際的連帯を強化しながら、日本における階級的労働運動の前進で労働者階級人民の勝利の情勢をきりひらこう。
 藤村 一行(動労千葉労働学校講師)