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北千住駅南口改札 終日無人化反対

月刊『労働運動』34頁(0323号08/01)(2017/02/01)


JRで重大事故が続発
北千住駅南口改札 終日無人化反対


 JRは常磐線・北千住駅南口改札を終日無人とする計画を進めています。すでに工事が始まり、3月には実施するとしています。北千住駅は、JR東日本の一日平均の乗車人員ランキングでも10位(20万9994人、2015年度)に入る大規模駅です(9位は秋葉原駅、上野駅は13位で約18万人)。私鉄も多く乗り入れる北千住のような大規模ターミナル駅改札の終日無人化というのは極めて異例の事態です。

■ホームで事故が相次ぐ

 こうした中、1月14日午前7時過ぎ、JR京浜東北線蕨駅で盲導犬を連れた視覚障害のある男性がホームから足を踏み外して線路に転落、列車にはねられて死亡するという痛ましい事故が起こりました。蕨駅は、駅員は平日朝のラッシュ時に限定して配置しており、事故当時はホームにいなかったとのことです。
 昨年10月27日夜には、北千住駅でも同じような事故が起きました。常磐線上りホームにおいて、視覚障害のある男性の白杖がドアに挟まったまま電車が発車したことで、男性が転倒し、けがをしたのです。北千住駅も、上りホームでは朝のラッシュ時以外に駅員を立てていません。
国と鉄道会社は、昨年12月、ホームドアのない駅では、原則、駅員が視覚障害者の介助を行うことを取り決めたとしてますが、駅で働く労働者は、「限られた要員で対応するのは不可能だ」と語っています。業務外注化や合理化によるコスト削減、要員削減を強いておいて、労働者に全ての責任を押し付けるというのは許せません。
 今後、南口改札が無人となれば、駅で働く労働者はいまより少なくなります。北千住駅は私鉄との乗り換えも多く、複雑です。乗客の対応を全て北口改札で行うとなれば、労働強化・安全の崩壊はさらに深刻なものとなることは明らかです。

■鉄道のあらゆる業務を別会社化することが狙い

 JRは、南口改札は利用者が少ないから無人にしてもよいという考えなのでしょうか。しかし、南口は各駅停車の列車に乗るためのエレベーターが設置されており、車いすの障害者、ベビーカーを使う親子や高齢者が利用する大切な改札です。鉄道という公共性の高い仕事が「採算」や「効率」だけで評価されればどうなるでしょうか。カネ儲けが優先され、現場で働く労働者の雇用、地域住民の生活、安全は投げ捨てられてしまいます。これが民営化であり、業務外注化の正体です。
 いま、JRは「水平分業」と言って、駅業務、列車の検査・修繕、車両清掃、運転士・車掌に至るまで、鉄道に関わるあらゆる業務を数百の別会社に切り売りすることを狙っています。JRは持株会社のようになり、鉄道会社ではなくなるということです。今回の北千住駅南口の無人化はその「実験」として行われるということです。北千住駅で成功すれば、どんな駅でも、全国どこでもやれると考えているのです。
 事態は重大です。会社のカネ儲けのために、命と安全が「実験」に使われて良いはずがありません。私たち国鉄東京動力車労働組合は、雇用、地域、安全を守るため、労働組合として北千住駅南口改札無人化絶対反対で闘います。
 (動労東京)