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時代を解く 第20回 2020年オリンピック丸ごと粉砕の対象

月刊『労働運動』34頁(0323号10/01)(2017/02/01)


時代を解く 第★回 
2020年オリンピック 丸ごと粉砕の対象だ!

※利権と民営化 労働運動解体と治安弾圧

 東京オリンピックまであと3年となった。労働者にとってオリンピックなど粉砕の対象だ。 2020年オリンピックは第一に、ゼロ成長のまま展望も描けない日本経済に息継ぎを与えるためのカンフル剤、税金を湯水のように使って資本家ブルジョアジーにぼろ儲けのチャンスを与えるための巨大プロジェクトである。後には借金とカジノ以外何も残らない。IoT(物のインターネット)やAI(人口知能)などを軸に「第4次産業革命」を一気に開花させるなどと宣伝しているが、オリンピックで労働者は丸ごと民営化の地獄に叩き込まれるだけだ。石原慎太郎がオリンピック誘致にこだわったのは、2011年東日本大震災の「直撃」情勢下、築地の豊洲移転も含めて東京湾臨海副都心開発計画を破たんから救おうとしたためだ。津波や地震による液状化現象によって東京ガス跡地の毒物が噴き出すという条件下で、石原はそれまでの利権事業をオリンピックと合体させて隠ぺいし、もっと膨らませようとした。嘘と犯罪は大きければ大きいほどよい、と。

※福島圧殺し原発再稼働を狙う

 第二に、オリンピックは国家的事業である。金と利権から始まった話を引き継いだ安倍は、福島原発事故を覆い隠し原発再稼働に走るため、「復興オリンピック」と名づけ、アベノミクスの柱とするため、さらに戦争・改憲、国威発揚のテコとするため、嘘まみれ金まみれ買収まみれの誘致作戦で呼び込んだ。それなしにはアベノミクスなるものは格好すらつかなかっただろう。安倍は、なんと2020年オリンピック時も首相を続け、そのなかで改憲にまでこぎつけることを夢見ている。3期9年の任期でそこまでやらしてくれと言っている。安倍にとってオリンピックは、福島を圧殺するためのプロジェクトなのだ。

※オリンピックをエサにする安倍=小池を倒せ!

 第三に、小池百合子は、オリンピック利権争いで舛添も放逐されたのを見て「決起」した。オリンピック政治に噛むことによって右翼ファシスト政治家としての最後の勝負に出る腹を決めたのだ。石原以来の東京都政が事実上破たんしたことを受けて、「東京大改革」をメインのスローガンに掲げた。国鉄闘争支援陣形の柱であった都労連の解体の先兵を買って出た。安倍の「働き方改革」つまり非正規労働の全面化で、労働者に無権利状態を押し付ける主戦場は東京、東京丸ごと「民営化=戦略特区」だと狙いを定めている。
 東京10区で勝利した小池の手先・若狭勝は、オリンピックに向かってテロ対策を具体化することが最大の任務と述べている。小池自身が、労働運動対策イコール治安対策を正面課題にしているのだ。安倍政権は今国会で「共謀罪」を「テロ等準備罪」として強行しようとしている。また、天皇問題で野党を黙らせ、18~19年に事実上の戒厳令状態を作り出し、オリンピックにつなげようとしている。安倍は、韓国パククネ打倒情勢に打撃を受け、トランプ政権登場で危機に陥っているが、ますますオリンピックをかざして労働運動解体と治安弾圧を強める。安倍=小池を打倒する闘いへ、オリンピックを許さない大闘争で情勢を切り開こう。

藤村 一行(動労千葉労働学校講師)