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都庁議事堂レストランKさんの不当解雇徹底弾劾

月刊『労働運動』34頁(0327号04/01)(2017/06/01)


被曝強制阻止・非正規職撤廃を闘う
都庁議事堂レストランKさんの不当解雇徹底弾劾!


※解雇撤回と都議選勝利の闘いへ!

山本敏昭(東京西部ユニオン副委員長)

 新宿の都庁議事堂1階のレストラン厨房で働く非正規労働者のKさんが、4月3日に出勤すると、突然「4月末で雇止めにする、今日から出勤しないでよい、4月分賃金は支払う」と通告され、職場から追い出された。
 4月1日、JRが、原発の爆発した間近の常磐線小高―浪江間を開通する攻撃に対して、動労水戸はストライキで阻止する闘争に立ち上がり、浪江駅前で式典粉砕の抗議闘争を展開した。この動労水戸の被曝労働拒否の闘いに参加するのは自分の使命と感じたKさんは、NAZEN東京としてはせ参じ共に闘い抜いた。レストランの店長には「浪江に行く」と伝えていたのだ。
 浪江から戻り、週明け最初の出勤の4月3日に「解雇通告」が待っていた。
 Kさんは原発事故以来、小学生だった息子を放射線被害から守り抜くことに細心の注意と努力を重ねた。食べ物は放射能に汚染される回遊魚は避けるほど念入りに選択した。同時に原発事故に怒り、原発産業、原発行政、原発再稼働、被曝労働強制等々と闘い続けた。国会前やさようなら原発集会から、2012年、NAZEN運動と出会った。いずれ将来は東北で暮らす夢を追いながら原発事故でその未来の夢を奪われた無念さが、原発、戦争への怒り、安倍や小池への怒りへ、そして韓国民主労総の闘いと共に進もうと決意を育んだ。
 昨年9月3日に「アルバイト契約」をして以来、週5日、9時~16時の勤務で昼休憩が45分、勤務中は手を休める暇も全くない戦場だった。誰もが原発問題も戦争情勢も知ることから遠ざけられた。そこでKさんは昨年来、勤務時間前や休憩時間に原発反対、福島共同診療所などのビラの手渡しや署名取りを続けてきた。
 レストランはなまる本社がKさんの活動を知るようになり、とりわけ3月31日の都庁デモと浪江闘争行きが、レストラン本社と委託元東京都・小池知事と一体でKさん解雇に踏み切る要因となった。
 もう一つは、2月にレストランはなまるの委託契約が3月から解消される話が持ち上がったとき、Kさんが数人の仲間と「組合を作って闘かおうか」と組合結成を呼びかけたことがあり、これも解雇の原因となった。
 Kさんは「雇止め通告」当日に東京西部ユニオンと相談して夕刻には、解雇撤回の団交申入書を職場に届けた。すると会社はなんと、「4月分の給料を支給するにあたって、退職届を今週中に出すように」と伝えてきた。こんなデタラメな解雇などありえない。
 5月15日までに団体交渉を開催するよう突きつけられ困った会社は、「これから事実調査する」という回答書を渡してきた。組合が抗議すると弁護士から「これから当職が調査する」とさらに団交開催を引き延ばしてきた。
 Kさんは団交申入れ当初から「ユニオンは大々的に都庁へ抗議行動をやってほしい」「ユニオンはなめられている」と強力に訴えた。4月21日に都議会レストランに向けた都庁前解雇抗議行動を行うことになった。

小池都知事がKさんを解雇

 なによりも、小池都知事が3月末から「自主避難者」の住宅補助を打ち切り、追い出したこと、原発や核武装の推進論者であるからこそ、「帰還強制反対」の署名を絶対に許せずにKさんを解雇したのだ。
 さらに、議事堂レストランの委託元である東京都と小池都知事が都営地下鉄はじめ築地市場の豊洲移転をもって民営化、非正規雇用化を進め、労働組合を壊滅しようとしていること、安倍政権と一体で働き方改革、共謀罪と改憲、戦争への踏み込みの先頭に立って推進していることに真っ向から対決し闘っていくこととなった。

都議選と一体で解雇撤回へ

 4月21日に第1回、5月1日メーデー集会デモ後に第2回、さらに5月8日の第1回団体交渉終了後に第3回の都庁抗議行動が闘われた。
 第3回目は16時半から40人が集まる大闘争になった。西部ユニオンの北島邦彦さん、Kさん、各ユニオンはじめ、根津公子さんには団体交渉を含め参加していただいた。
 Kさんは、「なぜビラを渡し署名を集めたのか、職場では新聞も読めない、テレビも見れない、何も知らない現実がある」「浪江の山火事、1週間も消せなかったのは何でだか知ってますか、線量が高すぎて、誰も住めなくて、山の中に入っていけなかった」「山火事のセシウムは東京に舞い降りている。子どもたちが真綿で首絞められて殺されている」「オープニングセレモニーまでやって、電車無理矢理伸ばして、帰れってやってる。これが小池が、安倍がやってることなんだ」と職場で闘ってきた正当性をアピールした。
 西部ユニオン北島邦彦副委員長は、「小池都知事は、都の議事堂レストランを外注化することで、労働組合を作ること自身を禁圧しようとしている」「小池都知事が、まさに戦争推進論者、核武装論者であるからこそ、安倍政権と一体となって戦争の出来る国造り、その中心の東京を軍都にしている」と訴えた。
 アピールは、都庁前を通る労働者に大注目された。そして3日後に都庁内の労働組合をKさんと西部ユニオンとで回り、支援と「帰還強制反対署名」を訴えたとき、励ましの声が返ってきている。
 第1回団体交渉で会社は、就業時間中にビラ配布や署名取りはなかったと認めざるをえず、唯一解雇理由としたのは、仕事中に「署名はもうやってくれたか」と話しかけたこと、署名を頼まれた人が迷惑したというだけの話である。こんなことで解雇などできない。
 そして会社は、「退職届けを出すよう求めたことは知らないので、調べる」と、追い詰められた。さらに「契約期間の4月末で雇止め」と通告したが、本人が受け取った雇用契約書は「9月5日から10月末日」が雇用期日であり、11月からは契約書がないまま雇用され続け、「期限の定めのない雇用」となっていたのだ。これがはなまる資本の3つの破綻点であり、これらはブラック企業である証明だ。
 全国の仲間のみなさん、西部ユニオンとともにこの闘いを都労連、都議選をめぐる大闘争にして、必ず勝利させよう!