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6・11国鉄闘争全国運動集会の総括

月刊『労働運動』34頁(0328号03/05)(2017/07/01)


※6・11国鉄闘争全国運動集会の総括

労働運動の変革と再生を展望する集会

国鉄闘争全国運動事務局

 国鉄闘争全国運動の呼びかけで6月11日、東京・江戸川区総合文化センターで全国集会が開催され、全国から1600人が結集しました。2010年6月の旗揚げ集会から8回目となった集会は、国鉄分割・民営化30年を迎え撃ち、国鉄闘争を先頭に労働運動の変革と再生を展望する集会となりました。

戦争と民営化を阻止する労働運動を

 国鉄闘争全国運動の呼びかけ人である鎌倉孝夫さんは、国鉄分割・民営化から始まった新自由主義は、30年を経て、全世界的な人間社会の破壊を生じさせているとして、戦争を阻止する労働運動を訴え、ロシア革命の指導者レーニンが祖国防衛主義と社会排外主義と対決し、労働者階級の力こそが戦争を止める力であることを信じ、その力でロシア革命を成功させたと熱烈に訴えました。
 同じく呼びかけ人で北海道の河野晃興さんは、発言の冒頭で動労総連合・北海道の結成を報告し、「国鉄分割・民営化反対―解雇撤回闘争の生き証人を核に小さな火が灯りました」とアピールしました。河野さんは、JR北海道の現状と現実を明らかにすると共に、北海道で怒りは必ず爆発すると訴え、その決定的な核心の一つが国鉄闘争と国鉄1047名解雇撤回闘争であることを示しました。
 韓国からは、昨年74日間のストライキを闘い、パク政権打倒の労働者民衆総決起を生み出した全国鉄道労組のパクソンス・ソウル地方本部長とウォンミョンス組織局長が参加しました。

共謀罪粉砕闘争と一体の集会

 港合同執行委員の木下浩平さんの開会あいさつから集会がはじまり、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の葉山岳夫弁護士が主催者あいさつ。福島診療所建設委員会呼びかけ人の佐藤幸子さん、三里塚反対同盟の市東孝雄さんから来賓のあいさつをいただきました。
 動労千葉の田中康宏委員長は〝国鉄分割・民営化と闘って30年。戦争と民営化に対決する労働運動再生の新たな闘いを開始する〟と宣言し、1047名解雇撤回に向けた決意を動労千葉争議団の中村仁さん、動労総連合1047協議会を代表して動労総連合九州の羽廣憲委員長が行い、国鉄闘争全国運動・新潟から阿部啓輔さんがこの間の新潟での闘いの前進と教訓を報告し、JRへの署名の取り組みを訴えました。
 集会に先だち、午前中に国鉄闘争全国運動の呼びかけで共謀罪反対銀座デモを行いました。 国鉄闘争の陣形で、共謀罪や改憲・戦争に反対する行動を提起したことは大きな意義がありました。委員会採決の手続きをも無視して共謀罪制定を強行した安倍政権に対する怒りは、日々増しています。戦争と改憲との闘いは労働組合の重要な課題です。

国鉄闘争の基軸性が鮮明に

国鉄闘争の全国集会に1600人が結集したことは、あらためて国鉄闘争に対する支持と期待を示し、国鉄闘争の基軸性を鮮明にする集会となりました。
 世界で起きている階級情勢の転換は、日本の階級情勢の問題そのものです。
 トランプを大統領に押し上げ、米国社会の変化の象徴として、ラストベルト(錆び付いた工業地帯)がクローズアップされています。デトロイトなど五大湖周辺の自動車産業や鉄鋼業の海外移転によってもたらされた白人労働者階級の失業と貧困、地域社会の疲弊と荒廃の問題をとらえたのが、唯一トランプだったとして記事や書籍が話題です。
 もっとも、それは民主党から共和党へ転じてトランプを大統領に当選させたというレベルではなく、まして根本的な資本主義の矛盾と没落がトランプに解決できるわけでもなく、もっと巨大で深い階級的流動化をはらむものです。
 韓国では「民営化は悪である」という民主労総や鉄道労組のゼネストが、パク政権打倒にまで発展しました。
 英国では、先日の総選挙で保守党は過半数を維持できませんでした。労働党の党首コービンは、ブレアらニューレイバーとは明確に違う潮流であり、公共事業や鉄道の再国有化、炭鉱再開、企業への課税強化、公共部門と福祉への予算復活などを政策としています。それを若者が支持し、民営化を軸とする新自由主義に対する怒りの現れだと分析されています。
 フランスでは、階級情勢の流動化の中でさしあたり「第三の道」「中道」と称する強烈な新自由主義推進のマクロン政権が生まれました。

社会の流動化と転換を階級的視点でとらえて反撃を

 日本でも深部で激烈な社会の流動化と転換が起きつつあります。それがJR北海道問題や内房線切り捨てに反対する館山の運動として先行的にあらわれています。日本の社会―都市・郊外・地方で何が起きているのか。労働者階級の労働と生活、地域社会において何が進展・進行しているのかを、私たちは原則的かつ階級的立脚点に立ってみていかなければなりません。
 国鉄集会の成功(支持と結集)は、それを間接的に示しています。国鉄分割・民営化と30年にわたって闘い続けてきたことは、直感的に言っても大きな意味と展望があるはずです。北海道の河野さんの発言や動労千葉木更津支部の発言は、そのことを示唆しています。ささやかなアクションであっても、その火は、労働者階級(住民)の心をとらえる可能性を指し示しています。

団結した労働者の闘いが社会に登場することだ!

 やはり最大の核心は、団結した労働者の闘いが社会的に登場することです。国鉄分割・民営化反対闘争が30年間の闘いを継続し、国鉄闘争全国運動と動労千葉の闘いはついに「国鉄分割・民営化は間違いだった。不当労働行為だった」と最高裁判所に認めさせ、さらにはJR資本に解雇撤回と採用やり直しを迫る運動として展開していることが、階級情勢の転換と流動の中で決定的な起動力や求心力になるはずです。今こそ国鉄闘争の旗のもと、東京・大阪を先頭に反民営化闘争を爆発させ、戦争と改憲を打ち破る力強い労働運動を社会に登場させるときです。
 JR東日本は、水平分業と原則出向を前提として、60歳定年後のエルダー社員の職種として運転士や車掌を提案してきました。十数年前のシニア協定の構図で、東労組とJR資本が結託して、運転士や車掌の別会社化と転籍を狙う、きわめて重大な攻撃です。第二の分割・民営化との闘いも急展開しています。
 闘いはこれからです。国鉄闘争を先頭に労働運動の変革と再生に向かって闘おう。階級的労働運動の力で都議選に勝利し、改憲と戦争を止めよう!