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教育労働者の正面課題に「非正規職撤廃」がすわる

月刊『労働運動』34頁(0331号07/01)(2017/10/01)


教育労働者の正面課題に「非正規職撤廃」がすわる

(写真 8月5日の教育労働者交流会)

葛本 京子(三浦半島地区教職員組合)
 8・6ヒロシマ大行動に先立って開催された8・5全国教育労働者交流集会は、「戦争・改憲阻止! 非正規職撤廃・評価制度絶対反対の教組拠点を打ち立てよう」を基調に据えて開催されました。

◎非正規職当該の青年が登場

 これまでの集会との大きな違いは、非正規職当該とりわけ青年が登場したことです。すべての矛盾が集中する非正規職のおかれた現実と、それを打ち破り自らの力で未来を切り拓こうという訴えに応えられるのは、「絶対反対」を貫いてきた国鉄決戦と階級的労働運動以外にありません。
 交流集会では、高校の非正規教員Aさんの解雇撤回をかちとった心躍るような報告がありました。Aさん本人は都合で参加できませんでしたが、彼とつながる自身も非正規職である青年と、Aさんが結集した合同労組の仲間が代わって報告をしたというのも感動的です。報告にあったAさんの言葉「自分だけの問題ではないと立ち上がった」「労働者なんだという原点にたったことが勝利の要因」は、私たち労働者がよって立つところは「団結」だということを示しています。
 また時間講師をやっているという青年教員の報告は衝撃でした(要旨別掲★)。彼は時間数の少ない家庭科を担当し、3校、4校を掛け持ちして週5日違う学校に勤務しているそうです。もちろんこれで生活が成り立つはずはなく、「土日はトラック運転手の仕事で生活費を稼いでいる。明日(6日)も運転の仕事に行く」と話してくれました。そんな状況にありながらも、翌朝のドーム前集会・デモに参加し私たちと一緒に「安倍帰れ!」を心底から叫びました。
 非正規職をコマのように使い、パワハラの標的にし、課題を抱える学級をもたせて問題が起こったらクビにする……。そもそも「生きていける賃金よこせ!」よ! 怒りでいっぱいになりました。

◎社会のあり方を変える教組に

 3年前、私の職場で起こった児童の転校による学級消滅を理由にした臨任教員の「解雇」に、体制内の書記長は「臨任とはそういうものだ」と言い放ち、「組合としては何もできない」と切り捨てました。非正規職が「団結」を求めているのに、日教組も、全教も非正規の問題を「待遇改善」に歪小化して非正規職撤廃を決して闘いません。
 今、学校現場は非正規教職員なしではまわらない状況になっています。非正規職を構造化して成り立つ学校現場を変えるには、社会そのもののあり方を変えることです。そのためにも、非正規労働者のネットワークをつくることが必要なのではないでしょうか。本来労働組合はそのためにあるはずです。
 非正規職の決起がついに始まりました! ぼやっとしてたらおいてかれちゃう……三教組を「戦争・改憲絶対反対」「非正規職撤廃・民営化反対」を闘う最強の教組につくりかえるために、正規・非正規の〝壁〟を打ち破り、ともに闘う仲間を増やし執行権力を奪い取る闘いに突っ込んでいきたい!と実感した8・5集会でした。労働組合の可能性は無限大∞です!
(教労全国通信83号から転載)

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★青年年非正規教員の訴え(要旨)

○非正規はあるべきではない
 非常勤で働いています。去年は週5日、違う学校を回っていました。1番たいへんなことは授業の時間を確保するために曜日を動かせないことです。
 非常勤は授業の時間しか報酬が出ません。テストの採点、教材研究も含まれません。テストを持ち帰り、家で採点することが常態化しています。
 同じ非正規でも常勤職もあります。同じ生徒に向かう職でありながら、待遇も違えば収入もまったく違う。非常勤だと研修を受ける機会もない。生徒との関わり合いも授業しかない。関係性を築くのがとても難しい。お客様みたいな空気もある。ほかの先生との情報交換の時間もとれないし、学校の様子が全然つかめません。
 1年雇用で来年があるのだろうかと生活の不安ものしかかってきます。もちろん収入面においても。
 本当は子どもたちを戦場に送りたくないという気持ちを押し出したいが、不安が大きく、そこまで心が回りません。すべてが悪く回る。非正規はあるべきではない。どうにか打開して、子どもたちに胸をはっていい教育をしていける環境をつくっていきたい。