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関西のたたかいの中から 保育の民営化との対決

月刊『労働運動』34頁(0334号06/01)(2018/01/01)


関西のたたかいの中から! 深町 加代子(関西労組交流センター自治体労働者部会)
保育の民営化との対決は新自由主義との闘いだ!団結を拡大しよう!

今回の保育集会の持っている位置

 今、戦争、改憲、民営化攻撃が進む中で自治体の保育、現業が焦点化されています。安倍は、働き方改革、子育て安心プラン、教育の無償化を柱に公立保育所の民営化を一気にすすめよとしています。
自治労、自治労連は民営化から目をそらし、闘わない中で、保育労働者の責務、役割など
を大きく押し出して、公立保育所は必要だと主張しています。
 特に自治労本部は、 民営化を認め、仲間の首を差し出し、働こう運動に埋没しています。今の社会の中ではどこまでいっても解決することのない虐待・貧困対策に自分たちの生き残りの道があるといっているのです。さらに保育士の資質と保育の質の向上が必要だといって専門性を強調しています。これは、私たちのいう公立保育所が必要だという考えと全く違うものです。闘わないための口実でしかありません。
 どれだけ働かされるのか、現場は怒りの渦です。子どもの虐待・貧困はなぜ起きているのかは、現場が一番よく知っています。
 今の労働者は、お前はダメだ、賃金が安いのは自分のせいだと能力主義で競争させられ、落とし込められているのです。子どもをどう育てることよりも、今生きることです。なりふり構わず生きています。その中で起こってきていることなのです。子育てに社会の矛盾は凝縮しています。この社会そのものを変えることなく何も解決しません。このことをはっきりさせる集会でした。

子育てを労働者の手に取り戻す

 集会では基調に続き、神戸市の保育労働者の、民営化との闘いが報告されました。
 本当は民営化反対という思いは同じなのに、共産党、自治労連の妨害の中で結果として、保護者と一緒に闘えない、完全な分断が生まれました。にもかかわらず彼女は孤立を恐れず、当局、組合本部と徹底的に闘っています。その思いを保護者が知ったとき、団結が生まれ、闘いの輪は拡大しました。そのことをつかんで、彼女は今も元気に先頭で闘い続けているのです。
その後の意見交流では民営化とは何か。どう闘うのかを巡って討論が深まりました。
今まさに、民営化攻撃に直面している京都の保育労働者をはじめとして、怒りや意見が出されたのです。
 そして、職場と地域の団結で社会そのものを変えていけることがはっきりしました。
闘う労働組合を潰されない武器が、保育、医療、教育などの現場にあります。民営化絶対反対で戦争も止められます。

自治労、自治労連がやってこなかった「保護者との団結で民営化を止める」

 今回の集会の画期的特徴は、保護者を、保育労働者と団結する労働者とはっきりさせたことにあります。今まで保護者と保育士は、預ける側と預かる側として、利害の対立を理由に団結してこれませんでした。実際、保育時間やケガなどを巡って、利害や意見が対立することはあります。そのことを困った事柄にし、対策的な位置付けで保護者と話し合ってきました。もしくは、保護者に言い渡すのです。そこで保護者が納得いかず、役所にクレームとして訴えたりして、どんどんこじれて溝は深まっていくのです。
 これは本当は、子育てを考えるいい機会なのです。次の時代を担う子どもをどう育てるのかという、大切な話し合いの場になっていくはずなのです。しかし現実は、そうはなっていません。つまり保護者と保育士の分断という構図が強いられているのです。コンプライアンスや、情報漏洩問題にして、団結できないようにしているのです。
 しかし、我々はその分断を保育の中身で突破することができるのです。子どもの話を具体的に保護者とするとき、実際毎日の仲間との生活の中で、自分の子どもがどんな姿、立場をとるのか。様々な話し合いの中でどんな意見をいっているのか。そのことを保護者として、保育士としてどう思うか話し合うのです。それはどんな社会をよしとするのかの話し合いと同じです。それは、民営化、非正規職化、戦争絶対反対の中身です。だから、同じ労働者として団結することができるのです。
 保育の民営化を、子育てをもうけの対象にするという、今の新自由主義攻撃との闘いとして位置付けたとき、怒りと闘いは拡大します。
 この闘いは子育てを労働者の手に取り戻す闘いです。労働者の手で子どもを育てましょう。保育署名をやり、このような保育集会を全国で開催しましょう。