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★改憲と労組破壊許さず11月集会の成功へ! 労働者集会と改憲阻止!大行進を一体で闘おう!

月刊『労働運動』34頁(0341号02/01)(2018/08/01)


★改憲と労組破壊許さず11月集会の成功へ!
11月集会は、労働者集会と改憲阻止!大行進を一体で闘おう!

(写真 7・1国鉄集会で発言する田中委員長)

労働組合解体と改憲は表裏一体の攻撃だ! 8月の闘いを成功させ11月集会の本格的組織化へ!

田中 康宏(動労千葉委員長)

 7月23日に行われた「改憲・戦争阻止!大行進」と「11月労働者集会」の共同 実行委員会での動労千葉の田中康宏委員長の発言を掲載します。

はじめに

 11月労働者集会の成功に向けて、改憲・戦争阻止!大行進運動と共同の実行委員会を開催しようと考えました。今回は東京・関東レベルでの議論ですが、今日の議論にも踏まえて大阪に行き、3労組で討議を行って、今秋に向けた闘いをスタートさせたいと思います。

※昨年11月集会から8か月、3・25集会から4か月

 共同実行委員会としたのは、国鉄闘争全国運動も含め、それぞれの運動体が独自の領域をもち、独自の広がりをもっていますが、どちらも、動労千葉、全日建関西地区生コン支部、金属機械労組港合同という3労組が呼びかけ団体の中心を担い、11月労働者集会の発展として大行進運動が生まれたことによります。
 昨年の11月集会は、一部を「労働者総決起集会」、二部を「改憲阻止!1万人大行進」と銘打って呼びかけました。それが発端となって議論が始まり、今年3月25日、日比谷野外音楽堂に多くの仲間が結集し、改憲・戦争阻止!大行進運動が発足しました。秋に向けて、改憲・戦争を止めるために、そして階級的労働運動を甦(よみがえ)らせるためにこの運動を本格的に発展させたいと考えます。
 事の始まりは、昨年5月3日憲法記念日に安倍政権が「2020年新憲法施行」を表明して突き進みはじめたことでした。「2018年秋の臨時国会で改憲を発議し、2019年春には国民投票にかけ、5月から秋にかけての新天皇即位とそれに関わる儀式を『静かな環境』でやり、2020年オリンピックと一緒に新憲法を施行する」というのが安倍政権が考えた政治日程でした。
 戦後73年の中で、改憲が具体的な政治日程にのせられたのは初めてのことです。この攻撃に正面から立ち向かえない運動は絶対に成立しないと真剣に考えました。労働組合も、様々な戦線を担ってきた運動体も、すべての課題の土台に改憲・戦争阻止をすえなければ、闘いが成立しない時代が到来したのだと考えたのです。
 そして、一つの目標をこの秋にすえて運動を組織しようと訴えたわけです。秋と言ったのは、9月に自民党総裁選挙があり、9月26日と言われていますが臨時国会が始まり、さらに9月のUAゼンセン大会をきっかけに、連合がこぞって「憲法改正推進」に雪崩打っていく情勢があるからです。

※全国各地、職場・学園、様々な運動体での討議

 拙速に立ち上げればいいというのではなく、ここに向けて、時代と深く結びついていくことをめざし、基礎から運動を組織しようと訴えたわけです。その際、身内だけで始めずに新しい運動の可能性を取り込む努力をしよう。そのために、様々な運動体や労働組合、地域の中で自由闊達(かったつ)な議論を徹底的につくり出そう。これまでの自らの殻を破って、原則性と大衆性を兼ね備えた闘いを組織しようと。
 もう一つ、強い危機感をもったのは既成の護憲運動が崩壊していく事態でした。昨年11月、安倍政権は「国難」を前面にだしてクーデターのような解散・総選挙をしかけました。今は国民民主党とか立憲民主党になっていますが、その結果、民主党が一夜にして瓦解(がかい)し、「総がかり行動」的な運動が事実上崩壊していく。野党共闘がすべてと言う運動でしたから、「国会議席の3分の2をとれば」という前提条件が潰されてしまったことによって展望を失ったわけです。
 この現実を見ていて、どんなに小さくとも、自らの力で一から運動を作り直す立場に立つしかないと決意したのです。昨年の11月集会から8か月、3・25大行進運動発足から4か月が経ちますが、こうしたことが議論の中心的テーマでした。各地で、職場で、本当に真剣な議論をしてくださったことが、新たな運動の基礎を形成する貴重な経験だったと思います。

※怒りの声を具体的運動に組織していく獲得力をもつ運動を

 動労千葉が大行進運動を呼びかけたのにはもう一つ理由があります。それは、戦後最大の労働運動解体攻撃として貫徹された32年前の国鉄分割・民営化です。あの時、国鉄労働者が攻撃をはね返すことができていれば、日本の労働運動がこれほど惨憺(さんたん)たる現状ではなかったはずだ、労働運動の再生をめざす闘いとして改憲阻止闘争の先頭に立たなければならないという思いがつねにあるのです。
 この点では、どうすれば、私たちが組織しようとしている改憲阻止闘争が、戦争政策や新自由主義攻撃への怒りの声と結びつく獲得力をもつことができるのかを真剣に考え、教育労働者、自治体・公務員労働者の決起を呼びかけました。改憲攻撃の核心は、日教組、自治労の最後的解体攻撃としてかけられています。教育労働者、公務員労働者が戦後担ってきた闘いや社会的使命を考えたとき、彼らが、「処分を覚悟し、職をかけても、私たちは戦争に反対するために立ち上がる」と高らかに声をあげた時、その闘いはすべてを獲得して止まない力をもちます。そうした闘いが始まれば、もっとも命に関わる労働に従事している医療労働者、最前線で新自由主義の攻撃にさらされている2千万の非正規労働者の闘い、あるいは様々な戦線で困難に負けず闘いを守りぬいてきた様々な運動体など、すべての戦線でおのずと展望が明らかになっていく。この1年、そう考えて闘いを呼びかけてきました。
 7月1日、国鉄闘争の全国集会を開催しましたが、そこでも、国鉄労働者と並んで、教育労働者と自治体労働者の発言・決意をプログラムの中心におきました。自治労・倉敷市職の委員長が、激しい要員削減、民営化・非正規職化攻撃の中で、月100時間をこす残業を強いられていると発言されていました。元々は、今回最も激甚な災害にみまわれた真備町職の仲間たちです。平成の大合併で真備町が倉敷市に統合されて、労働組合も倉敷市職に名前が変わったのです。今回の災害そのものが、地方切り捨て政策によってもたらされた人災ですが、その前ですら月100時間の残業をせざるをえなかった仲間たちが一体どんな現実におかれているのか。本当に心配です。でも、それこそが新自由主義が生み出した社会の現実です。そういう条件の渦中に置かれている労働者が本気で立ち上がったら、地域を丸ごと組織してしまう獲得力を持つことは明らかです。改憲・戦争反対の闘いは、私たちが、新自由主義によって破壊された地域や人間、福祉、社会保障、教育に対する怒りの声と結びつく手立てをつかんだときに本物になる。困難だけど可能性に満ちた情勢が私たちの前にあるのです。

今夏~秋~11月労働者集会に向けての課題

※国会閉幕、改憲・労働基本権解体をめぐる情勢

 7月20日、通常国会が閉幕しました。すべてがウソ、隠蔽(いんぺい)、偽装、口裏合わせ、開き直りで塗り固められた憲政史上最低の国会でした。黒が白になる「逆さまの世界」が現実のものになっている。とくに、「働き方改革法」の採決強行は、戦後労働法制、労働基本権に最後のトドメを刺す重大な攻撃です。災害対策の予算すら組まずに「カジノ法案」が強行採決されるなど、最悪の国会でした。

※改憲・戦争をめぐる主体の危機と改憲・戦争阻止大行進運動

 最終日・19日には8500人が国会前に集まっています。みんな激しい怒りの声、時代への危機感をもって結集している。しかし、その集会発言では「改憲」という言葉すら文字通り一言もない。憲法問題を持ち出したら野党共闘が崩れるからだというのです。少なくとも昨年の段階では、「安倍政権の下での改憲には反対」が野党共闘の統一スローガンだったはずです。それがさらに後退して、「野党共闘が崩れるから憲法問題を持ち出してはならない」になっている。一体何のために野党共闘というのか、その意味すら失われて本末が転倒している。改憲・戦争への雪崩うつ屈服が進んでいるのです。
 この現状を見た時に、私たちが組織しようとしている運動の意味を再確認しなければいけない、小さいか大きいかではなく、戦争には絶対反対、改憲は絶対認めないと、誰かが声をあげなくてはいけないという決意を新たにしました。

※改憲への分岐点としての9月

 もう一点。やはり9月が歴史のひとつの分岐点になる思います。通常国会では国民投票法改正案は通りませんでした。自民党は7月4日の時点で「やらない」と表明しました。総がかり行動などは「秋の臨時国会での改憲発議は絶望的」と言っています。でも本当にそうなのか。国民投票法改定が通せなかったのは、明らかに安倍政権の揺らぎです。改憲に突き進むのは支配階級にとっても簡単なことではない。しかし、だからこそ武装解除させて一気呵成(かせい)にやるしかない問題でもある。安倍は総裁選の焦点は改憲問題だと言っています。絶対に武装解除してはいけない。敵が揺らいだときこそ攻めるのが運動の鉄則です。秋の臨時国会での改憲発議を絶対に止めると声を大にして訴えて闘いを組織しないといけないと考えます。安倍にとってはそれしかタイミングはないのです。

※世界史の分岐点―危機が戦争に転化する反動的エネルギー

 この間の新聞報道を見て、もっと大きな意味で歴史の分岐点に立っていると感じたことがあります。2016年のパククネ政権を倒した韓国のロウソク革命のとき、戒厳令を発動し軍が鎮圧に出動する寸前だったことが明らかになったのです。軍の反乱を恐れて発動できなかった。だからこそロウソク革命は南北分断体制を揺るがす影響力を持ったのです。そして、私たちは、その闘いと深く連帯し、共に闘っていたことの責任と可能性を考えなくてはいけないと感じているのです。200人の訪韓団を派遣し、青瓦台の阻止線を目前にして共に闘っていたのです。歴史は動きはじめている。私たちは傍観者ではない。日本において労働運動の再組織化のためにすべてをかけなければなりません。
 この闘いを一番恐れたのはアメリカ・トランプ政権でした。ロウソク革命が切り開いた地平を換骨奪胎(かんこつだったい)し、民主労総に襲いかかるものとして米朝会談を組織し、米中の関税戦争、貿易戦争に訴えたのです。報復合戦を繰り広げる恐るべき現実が進行しています。北朝鮮が中国の手駒になるくらいならアメリカ側に取り込む。そしてそれが破綻した時に戦争が現実のものとなる。そのターゲットは、北朝鮮であると同時に民主労総に他なりません。その時に、日本の労働者はどう闘えるのか、まさに歴史選択が問われています。
 ぐらぐらになっているとはいえ、安倍政権の改憲にかけた執念を決して甘く見てはいけない。それはこうした情勢を背景としたものだからです。「独自の軍事大国化」「戦争のできる国」「核武装化」しかないと腹を決めているのです。

※8月の闘いを成功させよう

 8月の闘いが重要です。国際連帯闘争の大きな発展と、教育労働者、自治体労働者の組織化をかけた8・5~6ヒロシマ大行動、敗戦74年の8・12集会にも民主労総ソウル本部の2人の代表が参加してくれることになりました。今日を出発点にして、秋に向けてひと回りもふた回りも僕らの力をつけていかなければなりません。

戦後最大の労働運動解体攻撃が進行

※安倍が進める「働き方改革」の正体

 何よりもわれわれが立ち向かわなければならない課題は、労働運動の危機を打破することです。労働組合が潰されたとき、戦争が現実化する。それは何度も確認してきた歴史の教訓です。そして今、改憲攻撃は何よりも労働運動解体・根絶攻撃として進められているのです。
 あらためて今国会で成立した「働き方改革」法の重大性について一言だけ訴えたいと思います。国会最終日に労働弁護団が「解雇自由化」に向けた検討が始まっていると訴えていました。解雇金銭解決です。今回の攻撃とこれがセットとなった時、労働基本権は文字通り打ち砕かれる。それは改憲攻撃そのものと言っても過言ではない重大な攻撃です。

※連合内で進行していること

 さらに、労働組合を内部から現代の産業報国会に転落させていく攻撃がドシドシ始まっています。先日、ある地方の自治労の方の話を聞いたら、「もう連合県連の会議に行きたくない」と言うんですね。防衛産業の組合の役員が、当たり前のように「これからは防衛産業をもっと強化しなければならない」と平然と発言するというのです。
 UAゼンセン173万人は「憲法9条2項削除、国防軍の新設」という「国の基本問題に関する方針」を9月大会で出そうとしています。

※JRで進む労働運動解体攻撃

 JRでも、さらに重大な攻撃が進行しています。2月中旬、官邸がJR東日本の社長を呼んで、「2020年のオリンピックまでに東労組をつぶせ」と指示したのです。以降、職場では激しい労組破壊攻撃が吹き荒れ、すでに3万5千人が東労組から脱退しているのです。国鉄分割・民営化の手先になった労働組合すら許さないという攻撃です。JRを「労働組合のない企業」にすることによって、「労働組合の存在しない社会」をつくろうとする重大な労組破壊攻撃です。
 こうしたことの行き着く先は、日教組、自治労等、旧総評系の労組を解体一掃するということです。実はこれこそが改憲攻撃の核心問題だと私は思います。さらにそれは、沖縄の基地反対闘争をつぶす攻撃でもあります。改憲は、条文だけの問題ではなく、現実にこうした形をとって進行しています。こうした攻撃に職場から立ち向かうものをつくりたい。それを改憲・戦争阻止!大行進運動の中心にすえなければいけないと思います。
 JRの職場で始まっている攻撃は、国鉄分割・民営化に継ぐ歴史的な労働運動解体攻撃です。それは乗務員勤務制度を改悪し、鉄道業務を全部バラバラに分社化し、労働者ごと放り出す攻撃でもあり、地方を切り捨てて不採算線区を廃線化していく攻撃でもあります。こうしたことが戦争反対の闘いと一つの課題として問われています。この現実の中にこそ、労働運動再生の可能性があると感じています。
 アメリカでは、ウエストバージニア州における教育労働者の2週間に渡るストライキの勝利をきっかけに、数十万の先生たちが闘いに起ちあがっています。教育予算が削られて、教科書もない、学校は週4日しか開校しない、教師も給料では食べていけない、給食でしか食事を摂れない子がたくさんいる。こうした現実へのやむにやまれぬ怒りが爆発したのです。
 改憲・戦争阻止闘争が力をもつには、職場・地域からの組織化が必要です。動労千葉は、JRの廃線攻撃に地域の労働者や住民と一緒に闘っています。
 先日も「外房線と地域を守る会」の結成集会を行い、100人近くが参加しました。9割が地元の方です。会の代表になった元勝浦市長の藤平さんは、「一寸の虫にも五分の魂」を行動原理にしようと発言されました。理不尽に切り捨てられようとしている地方にも五分の魂があるんだという激しい怒りの訴えです。戦争反対と一体の運動です。改憲阻止にむけ、新自由主義攻撃によって打ち砕かれ続けてきた怒りの声を思い切って組織する。そのために生命をかけて闘いぬく決意が求められています。

2018年11月労働者集会について

 今年の11月労働者集会は、昨年を引き継いで、《1部》労働者総決起集会、《2部》改憲阻止!1万人大行進という構成で呼びかけたいと思います。
 呼びかけ団体は、動労千葉、全日建連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械・港合同、国鉄闘争全国運動、改憲・戦争阻止!大行進運動になります。
 安倍政権の改憲発議を止めるために8~9月を闘い、11月4日、日比谷野音に結集し、労働者総決起集会、改憲・戦争阻止!1万人大行進を大成功させましょう。