■労働者の目
辻川 慎一
代表運営委員 動労水戸副委員長
私の父は、坑夫だった。発破の名人だったと自慢する時の顔は、誇らしげだ。私が小学生の頃、その父と母親が固唾を飲んで深く静かにテレビを見ていたシーンを思い出す。炭鉱事故のニュースである。総資本対総労働の闘いと言われた三井三池闘争をその指導部によって敗北に導かれたあと 、60年代から70年代は炭鉱事故の続発で多くの労働者の命が奪われ、その家族を破壊した。殺された炭鉱労働者の姿とその家族の慟哭は、父と母と私の姿であったかもしれないのだ。「石炭から石油へ」を抵抗できない流れのように描き、労働者の団結と生命を破壊した資本は、今や膨大な石炭を輸入している。これを進めた人間と原発を進めた人間、そして国鉄を分割・民営化した人間は重なっている。そして、そのインチキを労働者に飲ませてきた労働運動指導部の系列も同じだ。
(写真 検修構内外注化阻止! 闘う労働運動の復権をめざす7・14動労千葉総決起集会(千葉市・生涯学習センター)