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国鉄分割・民営化で不当解雇から27年「ついにすべてを覆す闘いの時が来た!」2・16東京集会に655人が結集!

月刊『労働運動』30頁(0288号04/01)(2014/03/01)



国鉄分割・民営化で不当解雇から27年

「ついにすべてを覆す闘いの時が来た!」

2・16東京集会に655人が結集!
 

 

 
最高裁勝利にむけ10万筆署名達成へ檄が発せられた !

 国鉄闘争全国運動が呼びかけた「国鉄分割・民営化で不当解雇から27年 2・16労働者集会」は東京・すみだ産業会館を埋め尽くす655人の結集で大成功を勝ち取った。
 主催者を代表して、全国運動呼びかけ人の花輪不二男さんがあいさつ。続いて田中委員長が動労千葉の報告と決意を語った。「9・25東京高裁の判決は、『不当労働行為の意思に基づいた不採用基準』という判断をした。これは27年の間に分割・民営化で引き起こされた今の現実をひっくり返す大きな手がかりをつかんだ。安倍政権がやろうとしているのは戦争と総非正規職化、解雇自由だ。闘う労働運動が必要だ」と訴えた。
 連帯の挨拶として、動労千葉顧問弁護士の鈴木達夫さんが、東京都知事選を総括し、「私たちの訴えが首都の労働者階級の胸に確実に届いた」と確信をもって語った。
 特別報告が、動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫さん、全国運動呼びかけ人の金元重さん、自治体委託労働者から行われた(別掲)。さらに署名運動呼びかけ人の下山房雄さん(九州大学名誉教授)、芹澤寿良さん(高知短期大学名誉教授)が壇上に立った。芹澤さんは、「国労、全動労そして動労千葉が共同して闘えるよう協力してきた。しかし、最後まで闘ったのは動労千葉で、最高裁まで持ってきた。敬意を払いたい」と述べた。
 続いて動労千葉を支援する会新潟の発言。動労千葉争議団の髙石さん、中村仁さんが決意表明。カンパアピールに続いて外注化粉砕・非正規職撤廃の訴えが行われた。韓国から、公共運輸労組・連盟、鉄道労組、民主労総ソウル地域本部の連帯メッセージが届いた。

最高裁で解雇撤回・JR復帰に絶対勝利したい

葉山岳夫弁護士

 最高裁での闘いが始まりました。白石判決に続き難波判決も、動労千葉9人をJR採用候補者名簿から削除したことは不当労働行為と認定しました。これは国鉄闘争全国運動がかちとった勝利です。
 しかし、難波判決は「動労千葉は公労法違反のストライキをして処分された。JRに採用されたとは限らない」として、慰謝料だけ払えと命じました。不当労働行為なら原状回復は当然です。JRに復帰させるのが労働法のイロハです。
 弁護団は1月27日、上告理由書と上告受理申立理由書を提出しました。上告理由は、国鉄改革関連8法、とりわけ国鉄改革法23条は違憲のかたまりということです。
 国鉄改革法23条は、採用手続きを二つに分断しました。①国鉄が名簿を作成する、②JR設立委員会がその名簿から採用する。
 鉄道事業のすべてを承継法人に移管して空洞化した清算事業団が国鉄と一体という虚構をつくり、国鉄職員は清算事業団に行くのが原則で、JRに行くのはすべて新規採用という仕組みです。これを考案したのは、84年に最高裁調査官から国鉄法務課に出向した江見弘武裁判官です。彼が「JRと国鉄はまったく別。採用は新規採用」と葛西に提案し、葛西は「目からうろこが落ちた」と言ってこれを推進したのです。
 改革法23条は悪法中の悪法です。国鉄は不当労働行為のやりたい放題になりました。悪名高い職員管理調書に労働処分を明記させ、分割・民営化反対の動労千葉、国労は評価を低くし、鉄労、動労は評価を高くしました。
 新会社の労働条件について、団交を一切否定されました。動労千葉、国労は名簿作成について団交を申し入れたが、国鉄は団交を拒否しました。違憲の国鉄改革法23条がまかり通って、1047名が解雇されたのです。その違憲性を認めさせたい。
 最高裁は、国鉄に調査官を送り込んだ反動的組織です。楽観は許されないが、憲法の規定からすれば23条は違憲です。
 JRと国鉄の実質的同一性については、井手の「内幕本」で明らかにされた事実があります。斎藤英四郎(当時、JR設立委員長)の関与で不採用基準が策定されました。仮に23条が違憲ではないとしても、国鉄改革法で設立委員会の行為はJRの行為になります。斎藤英四郎のした不当労働行為はJRに及びます。JR東日本は、9人について解雇無効・原職に復帰させなければならなりません。解雇撤回・JR復帰を絶対にかちとりたい。そのためには階級的労働運動の展開が唯一の力です。署名の拡大を弁護団として心から訴えます。

(写真 12月28日韓国民主労総のゼネスト)

韓国鉄道労組のストライキは民営化反対の世論を生んだ

金 元重さん 国鉄闘争全国運動呼びかけ人

 韓国の全国鉄道労働組合は、スソ発KTX設立を鉄道民営化の前段階ととらえ、その撤回を求め12月9日からストに入り、12月30日まで22日間の長期ストを打ち抜きました。このストは、明確に民営化反対闘争として闘われ、同時に多くの国民の支持・呼応を得ました。
 この闘争の始まりは、6月22日に韓国政府・国土交通部がスソ発KTX民営化を含む鉄道産業発展案を示し、労働組合は鉄道民営化を推進するものだと反対しました。しかし政府は強行の構えを崩しませんでした。鉄道労組は11月22日に投票率91%、スト投票は賛成が80%で争議行為を決議し、12月9日にストに突入しました。
 KORAIL(韓国鉄道公社)は、鉄道労組委員長を始め194人の鉄道労組幹部を刑事告発し、スト参加者7608人を職任解除しました。職任解除とは、職場から外して、あとで懲戒審議に回すという懲戒に準ずる扱いです。
 政府は12月10日に子会社法人を発足させました。12月11日にパククネ大統領はストを非難しました。12月22日に警察は鉄道労組の幹部9人を逮捕するとして、5500人の警察を民主労総本部に強制突入させました。業務妨害罪が適用されました。韓国では業務妨害罪がスト弾圧の常套手段になっています。12月22日、鉄道労組執行部は退避していましたが、代わりに136人が連行されました。民主労総は直ちに非常中央委員会を開いて、12月28日に全面ストに突入すると宣言しました。
 12月24日、韓国労総はストに参加せよと組合員に指示しました。
 12月28日にソウル市庁前広場で行われた「民営化阻止・労働弾圧粉砕・鉄道ストライキ勝利・第一次全面ストライキ決起大会」には、民主労総と韓国労総の旗の下に組合員と市民10万人が結集しました。パククネ政権発足以後最大規模の集会であり、97年の労働法改悪阻止闘争以来16年ぶりのものです。
 22日間におよんだストライキは12月30日、国会に国土交通委員会の傘下に鉄道発展小委員会を構成するということで収束しました。スト収束のあり方については、労働界内部でも批判の声が上がっているのは事実です。しかし、今回の鉄道労組の歴史で最長期の闘争記録を立てたストの成果をどう見るべきか。
 「鉄道をはじめとする社会の公共財を民営化するなという国民的合意がなされた。政府による一方的な政策樹立と執行という慣行を打破した」と鉄道労組は言っています。外部からは、「ストを通して民営化反対の国民世論が組織されたのは大きな成果」「単一労組のストで民営化全般に対する世論が形成されたのは驚くべき事件だった」と評価されている。「ストを中心に世論が形成された」と評価されています。われわれも同意できます。
 鉄道ストの成果と教訓は何か。国会での小委員会の設置が成果なら敗北だ、と考えるのか。民主労総が政権退陣要求の国民ストライキをどこまで発展させられるか。
 ストライキは民営化反対の世論を生みました。スソ発KTXは子会社として設立されましたが、民営化は良くないという世論がわきたったのです。ストを支持する1人デモ、アート文化祭などが各駅前で行われ、社会運動体の民営化反対の集会も行われました。国民世論を勝ち得たのが、大きな成果です。
 日本では分割・民営化に警鐘を鳴らしても、なかなか浸透しませんでしたが、韓国ではそれができました。『ハンギョレ21』1月14日号に、映画の新人賞を獲得した人が、「公共の財産を守るために努力するお父さんたちがいる。支持し応援する。頑張って下さい」と発言したという記事が掲載されました。NHKで新人賞をとった人が「動労千葉のストを支持する。頑張って」と言えるようなことが起きたということです。こういうことを日本でもつくりたい。国鉄闘争全国運動はそれを課題にしているのです。

民営化される側とされた側の一体的闘いで外注化阻止を

自治体委託職場の民間労働者

 自治体の民営化の代表的なやり方は業務委託と指定管理者制度です。
 私の職場は業務委託です。業務委託は、競争入札によって受託業者を決めます。請負金額の安いところに決まります。だから前年より安く、他企業より安くとなるのです。それは労働者の賃金、労働条件に直結し、労働者は非正規化を強いられます。
 指定管理者制度も、公募という形で競争させられます。今まで事業を請け負っていた公社、財団が民間企業と競って、「これだけ安くなる」とやることを強いられ、非正規職化とつながります。
 これは当然、矛盾があります。本来、利益を見込めない自治体業務を利潤追求の民間企業に任せれば、現場の労働者と住民に矛盾がしわ寄せされます。
 足立区の窓口業務の民間委託化について、区の言い分は「人件費抑制」「歳出削減」です。委託すると、企業の管理費、企業の利益、さらに消費税が入ります。そのトータルが直接雇用の費用より安くなり、現場労働者の賃金、労働条件が低められるのです。
 横浜では、戸籍証明と移送業務の民営化が、うまくできなくなり、業務が破綻しました。
 安全の崩壊は、現場労働者とサービスを受ける側の両方の問題です。2006年、埼玉県のある市の市営プールで死亡事故が起きました。江東区では、清掃工場で委託労働者の労災死亡事故が起きたのです。09年には品川区でも委託労働者が労災事故で死亡しました。外注化は人の命まで奪っていくのです。
 これに対する労働者の課題は、民営化の論理を突破し、労働者の論理を自らのものにすることです。「民間でできることは民間で」「民間活力の導入」などの論理を断ち切ることが必要です。
 それには第一に、民営化される側が外注化・委託反対の闘いに取り組むことです。
 第二は、外注化されたところでの闘いです。「雇用が守られればいい」と自己合理化することも多いのですが、委託された側も、外注化粉砕の闘いとして直営化を求めることです。賃上げ、委託の過程で変えられた労働条件の改善を目標にして闘うのです。
 委託された側と委託される側とが手を結んで団結し、新自由主義粉砕へ闘いましょう。その中に展望があるのです。

最高裁で解雇撤回・JR復帰を認める判決をかちろとう!

下山房雄さん(最高裁10万筆署名呼びかけ人・九州大学名誉教授)

 27年前の今日、つまり1987年2月16日、1万人近い国鉄労働者がJRに採用されず清算事業団行きとなる通知を受けました。国鉄民営化に反対していた国労、全動労、千葉動労組合員を労組法7条、憲法28条に違反して採用差別した第一の首切り通知でした。そしてその3年余の後、その清算事業団に滞留を余儀なくされていた1047名が解雇されました。第二の首切りです。
 賃金雇用などの労働条件を差別することで団結権を侵害する不当労働行為の禁止は、第二次大戦後「労働民主化」のために制定された最初の法律=旧労組法(1945年12月制定)の11条規定に始まり、1947年5月施行の最高法規=日本国憲法28条に定められたものです。
 しかし、組合活動家にたいする差別的解雇は、戦後一貫して繰り返し行われてきたのです。高度成長が始まる以前と高度成長終焉後は、整理解雇=経済的解雇の対象者リストに組合活動家を多く含める形で、失業が無くなったとまで言われた高度成長期には活動家を個別的に解雇する形で、行われたのです。
 それらの不当解雇に反対する争議は、もちろん闘われてきました。その解雇反対争議の多くは、労組―争議団―支援者組織の三層を主体として、労組全体が「会社派」の場合は争議団―支援者組織の二層を主体として、労働委員会―裁判所の労使第3者機関の場を主軸とする闘いでした。当然に勝利もあれば敗北もあります。スタンダード・ヴァキューム自主労組のように約30年の不当解雇撤回闘争を続けている所もあります。
 解雇撤回がなされ職場に戻った勝利の他に、職場に戻れなかった金銭解決も勝利と言われてきました。しかしこの金銭解決の勝利は、為された解雇を撤回し争議和解成立日までのバックペイを行った上で、その日に自己退職をするというものです。雇用問題を切り離してなされた「4者4団体」2010年6月の「政治解決」は、ゼロ+αと言われた四党合意の線=80万円と比べればはるかに高額の2千万円を超える個人配分獲得の成果ではありますが、戦後争議史上の勝利的金銭解決のカテゴリーではありません。
 改革法23条是認の2003年12月最高裁判決に従って、JRに法的責任は無く、国鉄継承法人としての鉄建公団が不当労働行為の責任をとるとするならば、白石判決が認めた3年のJR雇用(第一の首切りを無効と、第二の首切りは有効としたようなもの)から続いて高石さんら9人の定年時までのJR雇用を認め、その間の賃金を保障し、加えて対応する年金損失分の保障をする損害賠償を鉄建公団にさせてこそ勝利的金銭解決となるのです。来たるべき最高裁判決はその線のものでなければなりません。
 この線に照らしての2005年の難波判決と13年9月の難波判決に共通する難点・弱点は、実際のJR発足の際には採用候補名簿記載者は全員が採用されたのにも関わらず、そのJR当局の実践を超えての法解釈、すなわち名簿に記載されても実際に採用されないことがあり得るとの法解釈を行って解雇撤回・JR採用を認めないところにあります。この点でJR当局の経営実践よりもいっそう反労働者的な法理念というほかありません。
 百歩譲って、改革法に拠ってJRを法的責任をとらない位置に置いても、JR採用があって定年までJRに勤務し損ねたのは国鉄の不当労働行為に拠るわけですから、最高裁判決は地裁白石判決内容をJR雇用3年から各自の定年時まで延長しての賃金バックペイを含む損害賠償を鉄建公団に払わせる内容に修正しての判決であるべきです。その修正判決実現に向けて10万人署名運動を是非成功させましょう。

動労千葉の闘いにきっちり協力していく

芹澤壽良さん(最高裁10万筆署名呼びかけ人・高知短期大学名誉教授)

 本日はじめて皆様方にお会いすることになったと思います。本日は、動労千葉の原告団、動労千葉の労働組合、弁護団、全国運動の皆さん方に、お礼を申し上げるためにやってきました。本当に長年闘い続けてきた闘いを、最高裁闘争までもってこられた奮闘と努力に心から敬意を表したいと思います。私と下山さんは、4者4団体の闘争に対して、大同団結という観点からできる限りの努力をしてまいりました。しかし、残念なことに、この二つの闘いが統一されることなく、それぞれの裁判闘争の道を歩むことになりました。そのために、私たちは4者4団体の運動に一定の協力をしながらも、政治解決、裁判闘争は和解、政治交渉は雇用ゼロで終わりました。その後、闘い続けている動労千葉の闘争に、私たちはきちっと協力していこうという話の中から、後から参加させていただくことになりました。しかし、その最後の闘いに参加できることになったことを、私たちは大変喜んでいます。今後とも、この闘いの勝利のために、全力を挙げて第2次10万人署名運動をぜひ成功させて、解雇撤回の最高裁判決をかちとるよう、共に頑張りたいと思っています。

解雇撤回へ最高裁にむけて頑張ります!

中村 仁さん(動労千葉争議団)

 私がここに立てているのは、動労千葉の組合員がJRの中で闘い、全国の闘う仲間が支えてくれているからです。
 解雇撤回まで最高裁にむけて頑張ります。それ以降もずっと闘っていきますので、よろしくお願いします。