新たな闘いの一歩
5・2動労千葉が下請け労働者を守るストライキ
5月2日、JRから千葉鉄道サービス(CTS)に強制出向に出されている動労千葉幕張支部の組合員13人は、幕張車両センターで始業時から午後1時までストライキに起ち上がった。このストライキで、動労千葉の外注化粉砕闘争は下請け労働者を守るストライキとして貫かれる新たな段階に突入した。
この日からCTSは、昨年春に採用されたプロパー社員(CTS直雇いの正社員)を仕業検査に従事させるという安全無視の暴挙を強行した。CTSプロパー社員の労働者は、採用された後、JRに出向して交番検査(機能保全)の業務に従事したことは半年間しかない。国鉄時代、仕業検査は交番検査を10年以上経験したベテランでなければできない仕事だった。それは、列車を本線に出す前の最後の検査であり、安全にとって最後の砦と言える業務だからだ。
しかも、あらかじめ手順が決められ、全体で行う交番検査と異なり、仕業検査は2人のチームで故障をその場で発見し、その場で修繕する仕事だ。だから、交番検査を長年経験し、車両の構造を熟知した労働者でなければできないこととされてきたのだ。JRになってから技術継承はなおざりにされてきたが、それでも最低3年は検査の経験を積むことが必要とされていた。
そうした業務を、CTSはまともな教育や訓練もせず、経験も積ませないまま、入社1年の労働者にやらせるというのだ。もし事故が起きたら、全責任をその労働者に押し付け、切り捨ててくることも目に見えている。
CTSは、動労千葉との団交で「5月中はプロパー社員を本務に入れない」と明言していたにもかかわらず、4月25日に発表した5月の勤務表でプロパー社員を本務に入れてきた。しかも、プロパー社員同士をペアにして仕業検査を行わせるというシフトまで組んでいたのだ。動労千葉の激しい抗議でCTSはプロパー社員をペアにすることは撤回したが、これ自身、CTSが今回の施策の危険性を自覚していることを示している。
大きな意義を持った新たな闘い
午前7時半、幕張本郷駅前にストに入る幕張支部組合員を先頭に、組合員、動労千葉を支援する会70人が結集し、情宣活動を行った。
出勤してくる労働者に、川崎執行委員は「今日のストはプロパーの仲間を守り抜くためのストだ」とその意義を訴えた。幕張支部の山田支部長は、「プロパーの仲間に仕業検査をやらせるのは、明治以来の鉄道の歴史の中で築いてきた安全を崩壊させる暴挙だ」と激しく弾劾した。青年部の木科さんはスト当該として「仕事も人もJRに戻せ! 実力でJR本体に帰る」と決意を述べた。
午前10時、DC会館でスト突入総決起集会が開かれた。田中康宏委員長が、「今日のストは規模は小さくても大きな意義を持っている。新たな闘いへの出発点だ」と述べた上で、ストの意義を3点にわたり提起した。「一つは、反合・運転保安闘争を団結の核にして闘ってきた動労千葉にとって、目の前で安全がつぶされることに対し真剣にならなければいけない。2012年10月に外注化が強行されて1年半でここまで安全が破壊された。未経験の労働者に検査をさせてやったことにするのはJR北海道と同じだ」「二つ目に、この問題は今日のストだけでは決着がつかない。継続的・波状的に闘わなければならない。解決する唯一の方法は、プロパーの仲間たちが動労千葉に結集し、『こんなことはできない』と自ら声を上げることだ。そうすれば外注化も粉砕できる」「三つ目に、今日のストはプロパーの仲間を犠牲にしないためのストだ。事故が起きたら責任を取らされるのは彼らで、管理者は絶対に責任を取らない。JR北海道のデータ改ざんは23歳の青年と定年間際の59歳の労働者に責任が押し付けられ懲戒解雇された。こんなことを絶対に許さないための闘いだ」
さらに田中委員長は、JR北海道や韓国のセウォル号沈没事故に触れて、「安全が崩壊している現実は現場の労働者も知っていた。しかし団結が破壊されて声を上げられなかった。その積み重ねがあの大惨事に行き着いた。だから、労働者の団結は人間が生き、社会を社会として成り立たせるための一番大事な要素だ」と力説した。