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特集 集団的自衛権を撃つ 7・1閣議決定弾劾! 労働者の団結が戦争を止める 職場に闘う労働組合を!

月刊『労働運動』34頁(0293号02/03)(2014/08/01)



特集 集団的自衛権を撃つ 7・1閣議決定弾劾! 労働者の団結が戦争を止める 職場に闘う労働組合を!

 

(写真 7・1首相官邸前に集まった4万人の抗議行動)

7・1閣議決定弾劾! 労働者の団結が戦争を止める 職場に闘う労働組合をつくり、安倍を倒そう!
飯田 英貴(全国労組交流センター事務局長)
 安倍政権が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更の閣議決定を強行した7月1日は、文字通り戦後階級闘争の歴史的転換点となりました。安倍の戦争政治への突進は、労働者の階級的怒りを呼び覚まし、「安倍を倒せ」「社会を変えよう」という根底的な決起を作り出しています。全国労働組合交流センターは、この渦巻く怒りの先頭に立ち、皆さんとともに戦争を阻止し、安倍を打倒することをあらためて宣言します。

(1) 安倍打倒の青年の決起はじまる

 7・1閣議決定は、安倍政権による憲法9条解体であり、全世界に対する新たな侵略戦争宣言です。安倍は憲法9条に明記された「一切の戦争と武力行使の放棄」を覆すために、憲法前文の「国民の平和的生存権」と第13条「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利」を持ち出し、これらを保障するためには「必要最小限の『武力の行使』は容認される」と全く転倒した詭弁を弄しています。
 しかし、安倍の言う「国民の平和的生存権」「国民の幸福追求のための権利」など全くのウソです。安倍がやろうとしている戦争は、1%にも満たない支配階級の利益と延命のために、99%の労働者階級人民の生活と命を奪う戦争です。閣議決定後、7月14日に行われた衆院予算委員会において、安倍は、中東のペルシャ湾・ホルムズ海峡での機雷除去の必要性を強調し「国の存立基盤は経済だ」と繰り返しています。かつて日本帝国主義は「満蒙は日本の生命線」と主張して中国侵略戦争を強行しました。安倍のやろうとしていることはこれと同じです。
 また、集団的自衛権行使容認を前にした6月16日、フランスで開かれた武器見本市には、初めて日本が大々的に出展し、装甲車や戦車を展示した三菱重工業をはじめ、川崎重工業、東芝、NECなどが顔をそろえました。原発でボロ儲けし、賃下げと非正規化を進め、「命よりカネ」の社会を生み出してきた連中が、今度は戦争で金儲けを企んでいる。「戦争をする国」への転換は、これまでの社会のあり方をすべて壊しながら進もうとしています。そこには何の「歯止め」も「制限」もないことは歴史の教訓からも明らかです。
 「国民を守る」―こんなウソにはもうだまされません! 全国・全世界の労働者は閣議決定弾劾の闘いに立ち上がりました。6月29日には、JR新宿駅南口で焼身抗議を行った労働者がいます。6月30日、7月1日には、合わせて10万人にもなる安倍への怒り、戦争への怒りが首相官邸前を埋め尽くしました。闘いの先頭に立ったのは青年たちです。
 7・1は「3・11」から始まった生きるための団結した闘いを新たな段階へと押し上げています。全国労働組合交流センターは青年労働者とともに、安倍を打倒し、「命よりカネ」の社会を変えるまで徹底的に闘います。

(2)職場闘争と反戦闘争を一体で闘おう

 集団的自衛権の行使容認の閣議決定という歴史の大転換に際し、私たちは改めて、安倍を倒し、戦争を止め、社会を変えることができるのは労働者の団結した闘いであることを強く訴えます。闘う労働組合を甦らせ、労働運動を甦らせることです。
 全世界の労働者の反対の声を押し切って、安倍が集団的自衛権行使容認に突き進んだことの背景にあるのは、資本主義の末期的危機、新自由主義の崩壊です。
 2007年パリバ・ショックから7年、2008年リーマン・ショックから6年。今日の世界大恐慌情勢は、1929年大恐慌から1939年の第2次世界大戦に向かっていった10年間と同じような過程に世界を引き込んでいます。戦後の基軸国であったアメリカは没落の一途をたどり、ドル暴落や米国債の暴落の危機に直面しています。こうした中で起こったウクライナ情勢は、帝国主義間・大国間の争闘戦が軍事化・戦争化していく時代を告げ知らせるものとなりました。
 アメリカを基軸とした戦後の世界体制が音を立てて崩れ、各帝国主義国が自国の生き残りをかけて侵略戦争に向かっているのです。
 そのなかで一番の危機に立たされているのが日本の支配階級であり、安倍です。「3・11」(大震災と原発事故)が重くのしかかっている上に、日米の間で東アジアにおける市場、勢力圏の争奪戦が激しく進行しています。
 また、外への侵略戦争は、国内の労働者の搾取・収奪の強化と一体です。安倍は集団的自衛権の行使容認の一方で、「成長戦略」に延命の道をかけています。「国家戦略特区」を切り口にして、「解雇自由」や「残業代ゼロ」など、戦後労働法制を全面的に破壊しようとしています。この攻撃の核心は自治体や教育の民営化であり、公務員労働運動の解体です。
 「成長戦略」のいまひとつの柱は、福島切り捨てと一体の原発・鉄道などのインフラのパッケージ輸出です。安倍は国内で大量解雇や非正規職化でコストダウンを進め、原発や鉄道輸出の国際競争に勝ち抜いて、世界の分割戦に打って出ようとしているのです。大企業独占体の利益のための鉄道や原発輸出は地元労働者の反乱を巻き起こしています。こうした労働者人民の反乱を鎮圧し、大企業の利益を守るためには文字通り自衛隊を「地球の裏側まで」(自民党・石破幹事長)派兵する必要があるのです。
 敵はひとつです。戦争に反対する闘いと職場で資本と闘うことは一体です。

(3)国鉄闘争を甦らせる事が戦争阻止の力

 全国労働組合交流センターは、国鉄分割・民営化に反対して唯一ストライキで闘った国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)のもとに、「反連合・反全労連の闘う労働運動の潮流をつくろう」という呼びかけで1989年に結成されました。
 全国労働組合交流センターは、結成当初から「国鉄分割・民営化反対」とともに「反戦を闘う労働運動」を掲げ、総評解散・連合結成をも契機に強行された自衛隊のPKO派兵に全力を挙げて闘ってきました。そこには「自国の侵略戦争および、それへの一切の政策と対決して闘う」という結成以来の理念が貫かれています。
 資本家の行う戦争と労働者は非和解です。第2次世界大戦において、兵士として動員された労働者・農民は「国体護持」=国家を守るための弾除けでしかありませんでした。徴兵制は学徒出陣、特攻隊へと行き着き、青年たちは無残な死を強制させられました。戦死した日本兵230万人のうち、140万人が戦地での餓死を強制させられています。1945年2月、当時の天皇ヒロヒトは、自らの延命のために降伏を拒否し、その結果、東京全土の大空襲、沖縄戦、そして広島・長崎への原爆投下へとつながり、膨大な労働者の命が奪われました。日本の支配者たちは、兵士が生き残り、革命の主体になること恐れ、「玉砕」の道を労働者に強いたのです。
 しかし、労働者の怒りは戦争責任追及の闘いとして爆発しました。敗戦後、全国各地で労働組合が結成され、1945年から50年の過程で「戦後革命」が起こりました。1947年「2・1ゼネスト」に向かう過程で日本中の労働者のほとんどが職場を拠点に全面的なストライキに突入するという状況で闘ったのです。
 日本が再び戦争のできる国になるのかどうか。それは戦後一貫して労働組合をめぐる熾烈な攻防として展開されてきました。その最大の攻防が国鉄分割・民営化との闘いです。
 1982年中曽根康弘首相は、戦後憲法体制下の日本の「戦後政治」を根本から転覆して戦争のできる国へと大改造することを狙い、その攻撃の核心に、国鉄分割・民営化攻撃を据えました。中曽根は後に雑誌のインタビューで「戦後労働運動の中核部隊であった国鉄労働者、その中心的組合である国労を叩き潰せば、総評・社会党がつぶれる。総評・社会党を崩壊させ、お座敷をきれいにして床の間に新憲法を安置する」と国鉄分割・民営化にかけた改憲・戦争の狙いを語っています。
 多くの労働運動指導部が屈服していく中で、動労千葉は国鉄分割・民営化に唯一ストライキで立ち向かい、その闘いは後の「国鉄1047名解雇撤回闘争」を生み出しました。中曽根の狙い通り、総評・社会党は解散、連合が結成されましたが、1047名解雇撤回闘争を中心とした国鉄闘争のもとに、教組や自治体をはじめ100万人の支援陣形が作られました。この国鉄分割・民営化反対闘争が日本の改憲と戦争への道を阻んできたのです。
 2010年4月9日、国労本部を始めとする4者4団体の一部指導部が、解雇撤回も謝罪も不当労働行為の責任追及もない「政治解決案」を受諾し、国鉄闘争解体への道を歩み始めます。それからわずか4年で集団的自衛権行使容認の閣議決定が行われたことは決して無関係ではありません。
 こうした労働運動の危機的状況に対し、動労千葉は「国鉄闘争の火を消してはならない」と全国・全世界の労働者に懸命に呼びかけ、国鉄闘争を土台に新自由主義と闘う労働運動を創成することを旗印にした国鉄闘争全国運動を立ち上げました。そのなかで、1047名解雇をめぐる動労千葉の裁判において、一昨年の6・29東京地裁判決と昨年の9・25東京高裁判決で〈解雇は不当労働行為〉の画期的な判決が勝ち取られました。運動はさらに国鉄と当時のJR設立委員会が共謀して組合員を選別解雇した決定的事実を暴きだして進んでいます。1047名解雇撤回闘争は、国鉄闘争全国運動のもとで「4・9政治和解」を乗り越え、裁判所に「解雇は不当」と認定させる歴史的地平を切り開いているのです。
 国鉄闘争を全国で甦らせることが真に戦争を止める力です。全国労働組合交流センターは、国鉄闘争全国運動の発展に全力を挙げて取り組みます。

(写真 7・1首相官邸前での抗議行動)

(4)8・17集会から11月労働者集会へ!

 さらに、戦争を阻む闘いは、資本による合理化(民営化・外注化・非正規化)に対して職場で闘うことと一体です。
 動労千葉は、イラク開戦から1週間後の2003年3月27日、イラク戦争反対、有事立法制定阻止、労働法制改悪(全労働者の不安定雇用化と解雇自由の法制化)阻止を掲げて90時間に及ぶストライキを闘いました。同時に「鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは戦争の加担者になることを拒否する」と戦争協力拒否宣言を発して闘っています。
 動労千葉がなぜ戦争に反対してストライキで立ち向かうことができるのか。これは、動労千葉だけが国鉄分割・民営化に対して唯一ストライキで闘い、「4・9政治和解」以降も解雇撤回の原則を掲げて闘い抜けていることとの共通点があります。ここには、動労千葉が闘いのなかで確立した「反合理化・運転保安闘争路線」があります。
 動労千葉の反合理化・運転保安闘争は、事故を起こした一人の運転士を守る闘いから始まりました。動労千葉はそれまでの労働運動の常識であった「事故は労働者の責任」とされてきたあり方を覆し、「労働者に責任はない。一切の責任は人員削減と労働強化を強いてきた会社にある」と合理化攻撃に対する反転攻勢に打って出たのです。
 労働者はゼニカネだけで生きているわけではありません。「一人の人間として誇りを持って生きていきたい。仲間を大切にしたい」と思っています。この「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の気持ちを、現実の資本との闘いにして労働組合の団結を強化したのが反合理化・運転保安闘争でした。この闘いは「安全は労働者が闘ってこそ守られる」という労働者の誇りを呼び覚まし、「戦争のための物資も兵士も運ばない」という闘いへとつながったのです。
 反合理化・運転保安闘争は、被ばく労働拒否で闘う動労水戸や国労郡山工場支部の闘いにも貫かれています。こうした労働者を死に追いやる政策や攻撃と徹底的に対決する反合理化・運転保安闘争は、軍服を着た労働者=自衛隊兵士の反戦決起と深くつながる闘いでもあります。反合理化・運転保安闘争路線で、職場における民営化・外注化・非正規職化攻撃と闘い、闘う労働組合を甦らせることが全国労働組合交流センターの闘いの基軸です。
 新自由主義の崩壊である大恐慌と戦争の激化は、全世界で労働者階級の革命的決起を生み出しています。民営化と戦争の政策に対し、ストライキで闘う韓国・民主労総との連帯をはじめ、全世界の闘う労働組合との国際連帯で戦争を止めよう。沖縄・辺野古新基地建設阻止、福島の怒りとつながり、被爆69年の8・6広島-8・9長崎闘争から、「戦争・原発・首切りの安倍をともに倒そう8・17日比谷大集会」の成功を勝ち取ろう。今秋、全国各地で戦争と民営化を撃つ国鉄集会を開催し、11・2全国労働者総決起集会(日比谷野音)を大成功させ、労働運動の力で戦争と貧困の社会を変えよう。