月刊労働運動-Home> 各地の活動 >

戦争と民営化を撃つ国鉄集会を全国各地で

月刊『労働運動』34頁(0293号03/01)(2014/08/01)



戦争と民営化を撃つ国鉄集会を全国各地で

(写真 6・8国鉄全国運動集会に1650人結集)

国鉄闘争全国運動事務局
 国鉄闘争全国運動の今秋の課題と方針は、6・8全国集会の成功と10万筆署名運動の前進を基盤にして各地域で国鉄集会を企画・開催し、地域・職場に分け入って組織化に入り、もうひとまわり大きな運動をつくることです。
(1)
 6・8集会の成功と署名運動の前進は、「国鉄闘争の火を消すな」の呼びかけを発して国鉄闘争全国運動を4年間、必死に展開してきた意義とその地平を示しています。
 2010年の国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐる4・9政治和解は、文字通り国鉄闘争と日本労働運動の息の根を止める攻撃でした。このギリギリのタイミングで「国鉄闘争の火を消すな」という乾坤一擲の呼びかけを発し、1047名の当該である動労千葉や和解を拒否した国労闘争団員をはじめ、関西生コン支部や港合同など不屈に闘ってきた労働組合とその指導者、学者や弁護士など諸人士の呼びかけで国鉄闘争全国運動がスタートしました。
 何より国鉄闘争を継続すること、そして国鉄闘争の支援・共闘を土台に新自由主義と闘う労働運動を創成することを旗印に4年間、必死に闘ってきました。
 その決定的な成果が1047名解雇をめぐる動労千葉の裁判において一昨年の6・29地裁判決と昨年の9・25高裁判決で〈解雇は不当労働行為〉の画歴史的な判決をかちとったことです。
 さらに国鉄とJR設立委員会が共謀して選別解雇を行った決定的事実を暴き出しました。1047名解雇撤回闘争は、4・9政治和解をのりこえ、裁判所に「解雇は不当」と認定させる地平に到達したのです。
 国鉄闘争全国運動は、裁判闘争の展開にあわせて署名運動を提起し、呼びかけ人などの陣形をさらに拡大して、全国の草の根レベルで国鉄闘争支援陣形を結合・拡大して、国鉄闘争の支援と連帯・共闘の具体的な運動展開をつくりだしました。新自由主義と闘う階級的労働運動の実践的運動化・組織化の展望を生み出しました。
 今回の最高裁署名は、高裁時を大きく上回るペースで署名数を積み上げ、労働組合の組織的な取り組みが画然と増えたことが特徴です。
 国鉄闘争全国運動や署名運動には、「国鉄闘争の火を守れ」「日本の労働運動を防衛しよう」という強い情熱をもった多くの労働組合や人びとが結集し、新たな労働運動の可能性を見出しています。6・8集会の熱気はそれをはっきりと示しています。
 「国鉄闘争の火を消すな」というある意味において防衛的要素が、情勢や労働者の意識の変化と結びついて新自由主義と闘う労働運動の可能性という積極的な要素に転じつつあります。
(2)
 この4年間の苦闘と地平は何を示すのか。4・9政治和解はいかにして突破されたのか。
 国鉄闘争全国運動は、国鉄闘争という日本階級闘争・労働運動のもっとも核心的かつ最長最大の闘いを結集軸に、日本の労働運動のもっとも階級的戦闘的要素を結集しながら、必死に職場生産点から団結と闘いを組織して、互いに励まし合いながら、全国の地域・職場に根ざした労働運動再生の運動として展開してきました。まさしく国鉄闘争の歴史的地平とその階級的底力を示すものです。
 さらに国鉄分割・民営化に対してストライキで闘いぬいて団結と組織を維持し、現在的には鉄道業務の丸ごと外注化に対して、〈正規・非正規〉の分断を突破して組織拡大に踏み出した動労千葉の闘いをひとつの牽引力に、国鉄闘争全国運動という具体的実体的な運動と組織をつくりだしたことが4・9政治和解をのりこえる地平です。
 具体的実体的な運動の形成と前進こそが4者4団体の路線を打破して労働運動を再生していくのです。裁判闘争や署名運動も徹底的に労働運動再生の運動として地域・職場で取り組んできたことが決定的でした。6・8集会における韓国鉄道労組からの報告もそのことを示しました。鉄道民営化をめぐる闘いこそ新自由主義への反撃の決定的テコであることを教えてくれました。
 情勢も、国鉄分割・民営化以来の新自由主義的展開と膨張はあきらかにピークを越え、矛盾が全面的に爆発していく過程に入っています。それは何よりも階級支配の危機を生みだし、とりわけ労働者階級の流動化と労働運動の再編情勢―新たな労働組合運動の再生・形成の可能性として進んでいきます。
 〈職場に階級的労働運動の芽をつくりだすこと〉〈日本労働者階級の主体的な転換をつくりだすこと〉が国鉄闘争全国運動の使命です。この情勢に対して労働運動再生の決定的な戦略として国鉄闘争全国運動を位置づけたいと思います。
(3)
 動労千葉は、幕張車両センターでの5・2ストライキをもって新しい挑戦を始めました。外注先である千葉鉄道サービス(CTS)で働くすべての仲間の雇用や安全を守り、団結を求めて本格的な闘いに踏み出しました。
 5・2ストライキは、従来から訴えてきた外注化反対に加えて、「CTSで採用された仲間を犠牲にさせるな」をスローガンに掲げました。直接のきっかけは、CTSで採用されたプロパーの労働者が車両検修の経験がまったくないまま仕業検査をさせられようとしたことでした。
 まさしく鉄道140年の歴史の中で営々と築きあげられてきた輸送業務の安全を根底から覆す暴挙です。このままでは重大事故は不可避です。しかし、その責任を負わされるのは現場の人間です。管理者や経営幹部は絶対に責任をとりません。
 今回のストライキは、小規模でしたが、外注化とは現場労働者をJRとCTSに分断するものであり、これを打破することが課題であることを示しました。JRは鉄道業務のあらゆる現場を外注化しようとしています。これを止める力はJRと外注先の労働者がひとつになって声を上げることです。5・2ストをきっかけにCTSから動労千葉に加入する動きが始まりました。
 動労水戸は5月10日、30~31日、さらに6月30日、JR東日本水戸支社が東日本大震災と福島第1原発事故で運休していた福島県内の常磐線のうち広野(広野町)―竜田(楢葉町)間の運転再開を強行したことに対して、連続ストライキで闘い抜きました。安倍政権とJRは、運転再開を「福島復興と安全のシンボル」に仕立てあげ、まるで原発事故などなかったかのように原発を再稼働し、原発を海外に輸出しようとしているのです。
 福島現地では、政府のウソによって真実は覆い隠され、住民は不安や怒りを声に出すこともできない状況です。動労水戸は労働組合として職場から実力でこの現状を打ち破り、運行強行を止める闘いを開始したのです。
 動労水戸は、動労千葉とともに国鉄分割・民営化以後の厳しい試練を闘い抜いて団結を守り抜いてきました。動労千葉の5・2ストや動労水戸の闘いは、国鉄闘争の歴史的意義と地平と底力を示すものであり、同時にまた国鉄闘争こそが労働運動再生の新たな展望を生み出すことを示しています。
(4)
 集団的自衛権行使容認7・1閣議決定は、情勢をさらに転換させました。日本の労働者にとって「戦争」は決定的な問題です。戦争の記憶が残る世代にとっても、これから戦場に送り込まれる若い世代にも真に重大な問題です。安倍政権はこのことを完全に見誤っています。
 7・1は歴史的な分岐点です。実質的に憲法9条がなきものにされ、戦後69年間のあり方が一変していきます。秋以降に関連法案が次々と国会で審議され、教育や自治体、労働法制、司法などすべてを一変させる攻撃との攻防に入っていきます。
 中曽根元首相は〈国鉄分割・民営化によって労働運動を解体して改憲を実現する〉と公言しました。今まさにそれが問題になっています。すべては国鉄分割・民営化から始まりました。労働運動の後退に次ぐ後退に重ねて戦争政策は進んできました。今こそ労働運動を復権させることが必要なのです。労働運動を復権させることが真に戦争をとめる力になることを決意として国鉄闘争全国運動を進めたいと思います。
 国鉄闘争全国運動が少しずつ求心力を持ち始めています。一歩も原則を譲らずに闘いぬいてきたことがついに情勢とかみ合い、労働者を獲得する力となっていく〈兆し〉が見えてきました。
 6・8集会でそのことを感じた人も多いと思います。6・8集会と署名運動の地平の上に、「今だからこそ労働運動をよみがえらせよう」と本気になって地域・職場に分け入ろう。
 「この程度で」という感覚を打破して、私たち自身が本気になれるかどうかが問題になっています。安倍政権に対して労働者の怒りと危機感は猛烈にわきあがっています。これとどう結合するのか。もうひとまわり大きく組織して、5割増し10割増しの結集で地域の国鉄集会を実現しようではありませんか。そのために議論も方針も実践もあと一歩ずつ突破していくことを訴えます。