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特集 今秋国鉄決戦へ!ついに反撃の狼煙はあがった! 決戦の9・11郡山へ総決起を訴えます

月刊『労働運動』34頁(0294号02/01)(2014/09/01)

特集 今秋国鉄決戦へ!

ついに反撃の狼煙はあがった! 決戦の9・11郡山へ総決起を訴えます

(写真 7・31熱海で国労本部を弾劾してデモ行進)

橋本 光一 (国労郡山工場支部)

被曝車両K544と闘った職場を外注化

 日本中に吹き荒れている民営化・外注化。利益のみを追い求めた結果、今や社会全体が崩れ落ちる事態になっています。その象徴が福島原発事故であり、JR北海道の安全崩壊です。JR東日本でも7月3日、山手線の電車から白煙が上がる事故が発生しています。
 7月1日、安倍政権は集団的自衛権行使容認を閣議決定。中曽根首相は「国労をつぶし、総評を壊滅に追い込むことを明確に意識して国鉄分割・民営化をやった」「行革でお座敷をきれいにし、立派な憲法を床の間に安置する」と言った。逆に考えると、戦争・改憲阻止のためには、労働組合が強くなることが求められているのではないでしょうか。
 JR東日本は、郡山総合車両センター(=郡山工場)における機器着脱業務、主電動機大修工事の一部業務、車輪旋盤業務の外注化を10月1日に実施しようとしています。
 特に機器着脱業務は私の所属する職場であり、支部の委員長、書記長、副分会長、分会書記長がいる国労の拠点職場でもあります。そしてなによりも昨年の夏、動労水戸がストライキを断固打ち抜き被曝労働を阻止したK544編成を、郡山において防護服着用で迎え撃ち、職場の運動の中で平成採用の青年の作業除外を勝ち取った職場でもあります。
 政府と一緒になって原発を推進するJR東日本にとって憎悪の対象であり、そこを潰しに来たということでもあります。

(写真 図 郡山工場=郡山総合車両センターにおける合理化の経緯)

「外注化には反対」東労組組合員も表明

 しかし、この外注化には弱点があります。外注化にあたっての教育期間は7月から9月までのたったの3か月。外注化されたら、そのうち要員数も減らされます。
 現場長が行った個人面談では、次々と外注化反対の声が出されました。「機器着脱業務は、配線作業や配管作業も含むものであり、たった3か月で覚えられるような簡単な業務ではない。覚えないまま無理に外注化したら品質や安全性は保たれない」「その証拠に、2009年に車体抜き乗せ業務が外注化された当初、様々な不具合が生じ、車両の品質・安全性が低下した。そして現在に至っても、劣悪な労働環境は一向に改善されていない。今回の外注化は、それをまた繰り返すことになる。たまたま大事故にはなっていないが、なってからでは遅い。労災が起きてからでは遅い」「3か月という教育期間中においてさえ、安全と品質が損なわれる要素がある。過去には教育実習生が起こした配線ミスで、床下機器を燃やしたこともある」などです。
 国労、東労組問わず出されたこの抗議の声に対して、現場長は「車両故障や労災が起きないように努力してもらいたい」を繰り返すのみで、まともな回答は何一つありません。
 しかも「外注化を無理やり進めるのなら、何かあったときに責任は会社がとる覚悟はあるのか」という質問に対しては、「すべて、教える人の責任でやってほしい」という答えしか返ってきません。結局、すべて現場任せ、何か事が起きれば現場の責任となることが明らかになっています。
 なによりも一番は、当該労働者の、今の職場で長年培ってきた仕事、技術、知識を奪われる、培ってきた人間関係を壊される。会社の勝手で、自分が努力して積み上げてきたものが奪われることに対する心底からの怒りが噴き出しているということです。

ニューフロンティア21(NF21)以降、 本格化した外注化

 郡山工場においては、国鉄時代から外注化が行われてきていますが、2001年に始まったNF21以降のJRの外注化施策は、NF21以前のような要員不足を補うための、3K職場をなくすための施策としてではなく、また、車両検修の付帯業務に限った外注化としてではなく、コスト削減のため、車体や台車の解体組立という基幹業務にまで範囲を広げた、全面外注化として進められています。
 資本の側の言い分はこうです。「高品質を維持するために必要な自前主義による組織の肥大化が、人件費圧力として重くのしかかっている。これを解消するためには、部分的な外部委託ではなく、部門全体の委託を検討すべきである。全面外注化を進めることによって、大きなコスト削減効果が期待できる」「また、外注化を実行する過程において、労働者を分断し団結を弱め、労働組合の力を弱めることが出来る」というものです。JR東日本が車両製造業の海外進出を唱え、海外企業とのコスト競争に勝つため、また、労働組合を弱体化するため、今年4月、新潟の仲間の強い反対を押し切って新津車両製作所の全面外注化を強行したのはその典型です。

外注化による車両の安全・品質低下

 最近の合理化を振り返れば、1995年の電車と気動車の検修ライン統合、2001年の一両流しと多能工化、2004年の区所検修との統合、2005年の塗装外注化からはじまった本格的外注化、エンジンと自連は2007年、台車解体は2008年、車体抜き乗せは2009年、保全とB・D倉庫は2010年、2012年にコンプレッサー、そして昨年2013年7月にはA・C倉庫、8月にはパンタグラフが外注化されました。
 このような合理化の結果、車両の安全=品質の低下、労働条件の低下が進んでいることは皆、肌身で感じています。最近の会社発表では、今年度に入ってからの車両故障(A故障)は東日本全体で105件、そのうち42件が郡総の検修に起因するものです。しかも昨年6月分は4件だったのに対して今年6月分は17件と4倍増しているのです。
 事故対策会議、チェックシート、責任施工体制、点呼では科長が「車両故障件数は他の工場と比べ、ダントツに多い。作業後の確認を徹底してもらいたい」と言っていました。つまり労働者の「意識改革」なのだと。会社は、それが付け焼刃だということを十分知っていてやっている。会社は車両の安全・品質低下の抜本的対処をしないどころか、さらに10・1外注化というリスクを郡総に背負わせようとしているのです。

外注阻止闘争で「安全・品質」を労働者の手に取り戻す!

 それでも、外注化・合理化を推し進めるのはなぜでしょうか。資本は労働者には使い捨ての機械の部品になってもらいたいのです。人格や、ましてや人としての誇りなんかを持ってもらっては困るのです。社会問題になるほどの大事故が起こらない限りにおいては、車両故障が起きることは資本家にとっては都合のいいことなのです。なぜならば、車両故障が多い、しかも他の工場よりもダントツで多いことは、車両検修労働者としての誇りを踏みにじるには好都合なことなのです。会社の利潤のためには、労働者の団結を破壊する。そのためには不安全な状況をも積極的に利用して労働者の誇りを奪う。そのためなら列車が脱線転覆しても構わない、利潤のためならどんなことだってやる! これが資本主義の真髄です。会社は点呼や場内放送で、毎日「安全・品質」を唱えます。場内いたるところに「安全・品質」の掲示物があります。それは全部、検修労働者の誇りを奪うための呪いの言葉なのです。
 外注化は、郡山工場90余年の歴史で蓄えられた技と知恵をさらに奪いつづけます。JR東日本の外注化拡大施策が向かう先は、JR北海道問題であり、JR西日本福知山線事故なのです。これを断固阻止し、「安全・品質」の言葉を労働者側に取り戻し、車両検修労働者の誇りを取り戻すことが10・1外注化阻止闘争に課せられた使命なのです。

動労千葉の「シニア制度」に対する闘いを教訓に!

 現場の管理者たちは、耳を塞ぎ聞こえないふりでいます。次の人事異動までの2年をつつがなく過ごせればいいという自己保身のかたまりです。
 御用組合東労組はどうか。彼らはもともと国労組合員でした。工場を守るために、職場を守るためという大義を掲げて、国労を脱退していった人たちです。会社が工場の全面外注化に手をかけ、工場の命運が問われるこの時に、「エルダーの雇用確保のために外注化には反対しない」、しかし「安全が確保されないうちは、外注化するべきではない」などと、団交でか細く主張するだけです。東労組も労働組合ですから、「仲間を守る」「東労組を守る」と当然のことを言います。
 しかし、「だけ」が入ります。仲間「だけ」を守る、東労組「だけ」を守るのです。そして自己保身のためには安全・品質はないがしろになっても仕方がないと言うのです。この点では管理者たちとさほど変わりません。
 確かに、外注化反対とエルダー雇用の場の確保という矛盾は、簡単に解決できるものではありませんが、闘いの中で克服していけるものと信じています。動労千葉が外注化に反対し、シニア制度に反対し、組織の血を流しながらも職場を守ってきたことを教訓にして、闘いをつくっていきたいと思います。

(写真 7・16外注化阻止の学習会)

ついに反撃ののろしはあがった! 9・11郡山闘争を決断!

 国労郡山工場支部は、動労水戸がストライキを決行した日、6月30日に、支部全員集会を工場門前で開催し、「鉄道車両検修職場で働く労働者として、10・1外注化は絶対阻止する。職場でふんばってる東労組組合員や、頑張っている外注会社労働者、そして心ある地域の仲間と一緒に闘い、外注化阻止に責任を取る」ことを決断しました。長年の資本の抑圧、体制内の制動を押しのけて、ついに反撃ののろしは上がりました。
 7月16日には、動労総連合強制出向無効確認訴訟の森川文人弁護士を講師に招き、支部主催の公開学習会を開催し、労組交流センターの仲間とともに学習しました。言われていたのは、「現場から声をあげること。おかしいものはおかしいと現場で闘うこと。そして、組合の違い、会社の違いを越えた団結をつくりだしていくことが、外注化阻止につながる道だ」ということでした。
 今回対象になっている私の職場は13人で、そのうち国労は6人です。7人の東労組組合員とともに、外注先の労働者との団結をつくる取り組みも始まっています。ストライキでCTS労働者の組織拡大をした動労千葉のように、外注化阻止の闘いをきっかけに組合も会社も越えた団結をつくりたいと思います。
 そして、9月11日には外注化阻止の大衆闘争をやることを決断しました。組合員には年休闘争としての参加を呼びかけるとともに、内外にも呼びかけることで、社会問題化していこうと考えています。当日の詳細は決まっていませんが、「JRの安全破壊を許さない!」「郡山総合車両センター外注化阻止! 9・11集会」「本町緑地に13時集合」という案内を先行してファックスしました。闘争の内容は、本格的には午後からになると思いますが、郡山工場一周デモ、集会などをやって、夕方、郡山駅前にむかって再度デモ行進をして駅前で解散としたいと思っています。
 そして、やっぱりストライキで闘いたい。ストライキを本部に要求することも執行委員会で決まっています。ストライキというのは戦術を超えた影響力があります。郡工がストライキに立ち上がったら、階級的な影響力ははかり知れないと思います。

9・11を巡り率直な議論

 郡山工場支部も、あらかじめ組合員の強固な団結があるわけではありません。この間の集会では、率直な議論が交わされています。
 外注化やそれにむけた教育のデタラメさについては一様に怒りがある一方、「ストライキについては、何年も国労はやってないからあきらめがある」「デモをやったって、周りの人は何もわからないで、うるさいと思うだけじゃないのか」「分割・民営化の時は本気でやったが、今はその時のような気持ちにはならない。今回の提起はみんな戸惑うことはあると思う」などネガな意見も多く出されました。ある意味これが国労の現状です。
 しかし、いっさいは指導部の意識性にかかっています。また、「外注会社の労働者の気持ちに寄り添う形で運動を進めていくこと。究極の目的は仲間を増やすこと、組織拡大、団結を強めること」といった集会での発言に示されるように、外注会社労働者の組織化を展望しながら、東労組平成採の青年に影響を与える闘いにしようという一致点をもって団結が作られつつあることは決定的です。

9・11が成功すれば、国労が変わり、労働運動が変わり、社会が変わる!

 郡山工場の闘いが10・1外注化阻止で爆発すれば全国の国労に波及する。そうしたら国労が変わる。変わるといっても原型をとどめないほどぶっ壊れて、改めてつくる的な変わり方。そうなったら日本の労働運動全体も変わるし、そうしたら世の中、社会が変わる。郡山工場の国労組合員の苦悩は、JRの現場すべてにある。郡工で突き抜けたら全国に波及するはずです。
 今年の国労全国大会は、名称変更、組織再編を巡って大荒れでした。我々が責任勢力として一切を引き受ける時代への突入です。
 小なりといえども動労水戸が情勢決定要因たりえているように、国労郡山工場支部も情勢決定要因に躍り出たいと思います。
 10・1郡山工場外注化阻止闘争はそういう位置にある。そういう意味では、9月11日の闘争は、JR外注化阻止にとどまらず、改憲反対、集団的自衛権容認に反対する人たち、反核、反原発、原発事故で苦しんでいる福島の人たち、そういう人たちまでも結集する大きな闘いにしたい。国労郡山工場支部が、我々の拠点にとどまらず、郡山地域の全国の闘う労働者の拠点となるような、そういう展望を内在する10・1郡工外注化阻止闘争にしたいと思います。
 9・11はまさに決戦です。決戦の郡山へ、総力決起を訴えます! 共に頑張りましょう。

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郡山工場の概要

 社員数はJR東日本と貨物を合わせて全体で650人位。正規が350人位、下請けが300人位。下請けは出入りが激しい。下請けは、JR社員と同じように検査・修繕(略して検修)を行っている東北交通機械(略称TKK)、孫請けの部品洗浄や塗装、清掃をしている東北鉄機がある。他にも短期業務の小さい会社がいくつも入っている。コスト削減が約20%で、単純計算でJR社員の賃金の20%減がTKKの賃金、そのまた20%減が東北鉄機の賃金。
 10月1日から車体科1組の機器(コンプレッサーとか汚物タンクなど)着脱業務などが外注化されようとしている。1組には13人がいて、そのうち国労は6人、支部の委員長、書記長(橋本光一)、副分会長、分会書記長もいる。

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集会案内
JR郡山総合車両センターの外注化阻止!

9・11集会

○9月11日(木)13時集合
○本町緑地(JR郡山駅から南に徒歩5分)